【#75】1998年の日本、怪物とワールドカップ
【社会編】
スポーツが日本を熱くした年だった。
★長野冬季五輪
まずは、2月の長野冬季五輪。スキージャンプ団体で、原田は思うように飛ぶことができず、飛距離が伸びなかった。
しかし、2本目で意地の大ジャンプを見せ、日本は劇的な逆転勝利を収める。
4人目ジャンパーの船木が飛ぶ前、原田が言った、
という神頼みのようなつぶやきに、共感した人も多いのでは。
★野球
甲子園で松坂大輔を擁する横浜高校が春夏連覇を果たした。決勝ではノーヒットノーランを達成し、『平成の怪物』と呼ばれた。
また、準々決勝ではPL学園との延長17回を250球を投げ抜いたことも話題だった。
プロ野球において、横浜ベイスターズが38年振りにセ・リーグ優勝を果たした。その勢いのまま、日本シリーズで西武ライオンズを4勝2敗で下し日本一に輝く。
優勝の立役者となったのが佐々木主浩投手である。握力が非常に強く、佐々木の投げる落差の大きなフォークは「2階からのフォーク」とも形容された。
マウンドで仁王立ちし、次々にバッターを打ち取る姿に『ハマの大魔神』という愛称がついた。
★サッカー
6月にW杯・フランス大会が開催され、日本は初出場することになった。
ただ、大会直前に波瀾が起きる。
岡田武史監督は、登録メンバーを発表する会見で日本中を震撼させる。
「外れるのは、カズ、三浦カズ。それから北沢……」
三浦知良と北澤豪は、二人とも、1993年前の「ドーハの悲劇」を経験しながら、夢舞台をあきらめずW杯初出場に貢献した選手だった。
特にカズは、日本サッカー界の象徴。15歳で「王国」ブラジルにサッカー留学し、「日の丸をつけてW杯へ」と夢見て日本人で初めてブラジルでのプロ選手契約を勝ち取った選手である。
当然、私自身も震えた。このとき、岡田監督や中田英寿が何を考えていたかなんて知るはずもない12歳のガキにとって、【カズ=日本でいちばん上手いサッカー選手】である。
「カズを外すなんて、このメガネの人どうかしてるんじゃないか」と思った記憶がある。
帰国会見において、カズが発した言葉、
「日本代表としての誇り、魂みたいなものは向こうに置いてきた」
は、クッソかっこいいと思っている。
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騒動はあったが、それで日本のサッカー熱が冷めることはなかった。
私も、友人と共に日本代表のユニフォームをサッカーショップに見に行ったり(買うお金はなかった)、録画用のビデオカセットを準備したりと興奮していた。
6月14日、日本はアルゼンチンと戦う。
観戦ツアーに参加して、現地入りするサポーターが多数いた。現地までやってきたものの、チケットが入手できずスタジアムに入ることができない日本人も大勢いた。
初戦、二戦目のテレビ視聴率は60%を超えたことから、いかに注目度が高かったかがわかる。
しかし、現実は厳しかった。結果は0勝3敗。ニュースで「決定力不足」という言葉を聞くたびに悲しい気持ちになった。
「海外でプレーしている選手がいないのは日本とサウジだけ」
敗退が決まった後の会見で、岡田監督が言った言葉である。
フランス大会の日本代表は全員がJリーガーだった。つまり、今でいう海外組が「0人」だったのだ。(直近のW杯ロシア大会では15人)
だからこそ、私はジャマイカ戦で日本人初ゴールを決めた中山雅史のことをクッソかっこいいと思っているし、思い出したときにyoutubeで見るほど好きである。
【文化編】
音楽業界では、さまざまなシングルが売れた。個人的に記憶に残っている2曲を紹介したい。
1曲目は、KinKi Kidsの『愛されるより 愛したい』。サビの「愛されるよりも 愛したい ま・じ・で~」の部分は男女問わず多くの人がマネしまくっていた。
2曲目はSMAPの『夜空ノムコウ』。歌詞の本当の意味など理解できていなかったが、それまでと雰囲気の違う曲で新鮮だった。
今では教科書の載るほどの国民的な名曲になっている。
【ゲーム編】
プレステの『メタルギアソリッド』(1998年9月3日/コナミ)が仲間内で大人気だった。
「敵と戦う」というより「敵に発見されない」ことに重きを置いたスタイルに、最初は「そんなの、かっこよくない!!」と思った。
が、隠密行動のスリルを知ってしまったことで見事にハマる。学校の掃除時間に『メタルギアソリッドごっこ』=かくれんぼをやって、何度怒られたことか・・・・・・。
主人公のスネークが、たまらなくカッコよかった。
たった一人で敵地に潜入し、武器や回復アイテムを現地調達しながら任務の遂行(=二足歩行戦車メタルギアの破壊)を目指す姿に惚れた。
通信機器での会話やイメージイラストはハードボイルドで、ドラゴンボールの『悟空』や幽遊白書の『浦飯幽助』とは違う大人のかっこよさがあったのだ。
敵キャラクターも魅力的である。スナイパーウルフは、名前からしてかっこいいうえに女性という意外さがあった。
サイコ・マンティスの超能力攻撃には、多いに混乱させられた。サイボーグ忍者は、名前がかっこいいだけでなく、
という言葉がかっこよ過ぎた。
透明な下敷きに書き写していたほど、好き。
ストーリーも重厚である。
戦術核兵器、ヒトゲノム、クローン人間、現実世界の問題を組み入れたことで、単なるゲームストーリーではない、メッセージ性の強いシナリオになった。まるで映画を観ているような展開に、『やめどき』を見つけられなかった。
このゲームの監督である小島秀夫氏は、政治や社会情勢を扱うアメリカの週刊誌『ニューズウィーク』において、「世界を変える10人」に選ばれている。
【セガ編】←ゲームに関心がない方はスルーしてください
『シャイニング・フォースⅢ』のシナリオ2とシナリオ3が発売された。あの『シャイニング・フォース』の続編がセガサターンで・・・・・・!!それも三部作!!セガっ子が買わないはずがない。
いま振り返ると、三部作というアイディアを出した人、天才だと思う。
3人の主人公が各々の視点(共和国・帝国・無所属の傭兵)で物語は進んでいく。バラバラだったピースが最終的に収束していくのにただただ感心した。
自分の行動(敵にとどめを刺す/刺さない、など)がのちのシナリオに影響を与える『シンクロニシティシステム』は、実にすばらしい。
必殺技のシステムは爽快。終盤になるとバンバン必殺技が出る(2回に1回程度)ので、クリアするのがもったいなかった。
仲間がどんどん増えていくのも、頼もしかった。特に本作は武器相性(剣は斧に強い、など)があるため、戦略性がアップしているので本陣でいろいろ思考する楽しみがある。
シビれる場面はいくつかあるが、個人的にはシナリオ2のラストが最高に盛り上がった。
シナリオ1の主人公シンビオスとシナリオ2の主人公メディオンが、本来は戦いたくないのに激突必至・・・・・・そこでまさかの!?という展開は、全身の血が沸騰するほど興奮した。
リメイクが出たら絶対買う。
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