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雑記97 心の世界の描き方、遊戯王とバルザックの"ふくろう党" 部屋と広漠たる土地

雑記97 心の世界の描き方、遊戯王とバルザックの"ふくろう党" 部屋と広漠たる土地


文字数1800


記事見出し画像は、2巻だが、本当は1巻の画像を載せられると良かった。
以下に述べるバルザックのふくろう党は1巻に収録されている。



漫画 遊戯王の作品世界で、一人の人の心の内側は一つの部屋として描かれている。
エジプトから来たシャーディーは不思議な力で、主人公遊戯とその友人の杏 アンズ の心の部屋を覗き見る。

アンズの部屋を覗き、その後、遊戯の心の部屋を覗く。
すると、遊戯の心の部屋の外に、どうももう一つ部屋があることに気づく。
それが遊戯に宿るもう一人の遊戯、闇遊戯の心の部屋で、そちらは普通の部屋の様子ではなく、空中に浮かぶ迷路のような階段やその途中に唐突に設置されたドアのような姿で表現されている。
(うろ覚えで、どこか間違いがあるかもしれない。とにかく趣を表現したく思って書いている。)

シャーディーはそこを探索し、その途中で階段から足を踏み外すが、闇遊戯に助けられる。
遊戯王の作品世界では、人の心の世界は部屋として描かれている。
(闇遊戯については、どう言えばいいかわからないが。)



バルザック全集の一巻に、「ふくろう党」という集団についての話がある。
ふくろう党という風変わりな一派がかつてフランスにあったようで、自分としては大雑把に言えば、日本で言う忍者や忍のような、秘密裏の行動や工作に長けたものたちの集団と解釈しているのだが、

(本当はそれだけで言い尽くせない、実に奇妙な集団のように読んでいて感じられるのだが、話を簡略にするためにこうした説明でここは済ませたい)


そのふくろう党の物語の中で、本当なら恋仲になってはいけない2人がだんだん恋仲に陥りそうになる。
(ふくろう党の人間と、非ふくろう党の人間の間の恋仲のように自分は解釈した)


バルザックは、その時の2人の心理について、人の心とはこんなものだ、という記述をしている。
その記述は面白く、引用できると一番いいのだが、都合上今はそれが難しいので、自分の言葉で勝手にバルザックの論旨を解釈し説明したい。

以下が自分の言葉でのバルザックの論旨の説明である。


「人間の心は、広大な山や谷、平地、などで構成された巨大な土地のようなもので、自分自身そうした土地全体をほとんど誰も把握していない。全体像を把握できていない。
住み慣れたごく狭い領域に限って、心の生活をしている間は当然のように過ごせるが、いったん偶発的な出来事におそわれ、心の慣れた領域から追い出されると、その人は、自分の心の中の荒漠とした土地の中で遭難した状態になる。
もともと住み着いていた、慣れたる領域へ戻る道筋がわからず、それでも暗中模索で闇雲に道を進むと、急に崖口に遭遇し、間一髪助かった、などということになる。
人の心の内側は、普段は誰も意識しないが、未開拓の領域が広く広がっているものだと自分には感じられる。そのごく一部は開発され都市化、文明化されているが、その開発された領域の全体においてしめる割合は少ないものでしかない。」



以上が、ふくろう党の読書の思い出から、自分が解釈したバルザックの論旨である。


遊戯王、ふくろう党とで、どちらの描写がより現実に近いか、という話をしたいのではない。
自分としては両方の描き方があれば、人の心という不思議なものを探索する上で、より助けを得られそうに感じる、ということを言いたい。

複数のアングルからものを見ると、よりものの実像をつかめることがあるが、遊戯王、バルザックのふくろう党、それぞれの「人の心の世界の描き方」について、併せて頭に置いておくと、より面白いように感じている。

(アングルが増えることでかえって実像がつかみにくくなるケースもあるようにも思う。噂話を集めると、かえって何もはっきりしたことがわからなくなり、逆に当人との密な接触経験を煮詰めることに専念することでこそ、より明確で正確な認識を得る道筋につながるケースがこの世には確かにある、と自分は考えている。)



脈絡のない話だが、以前、ナイチンゲール著作集全3冊を知人の好意で入手した。
手元にあるが、全く手をつけていない。

リットン・ストレイチーはこうしたナイチンゲール自身による著述にも目を通したのは確実なように自分には思えるが、ナイチンゲール自体への探求と共に、ストレイチー探求の助けとしても、そのうちナイチンゲールの著述を読んでいきたいと今、思いつき的に思っている。

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OndokuAikouka(音読研究×小林秀雄散策)
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