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僕が読んだ本の概要・要約・感想をまとめたノートをまとめたマガジンです。
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記事一覧

『幸せな未来は「ゲーム」が創る』内容まとめ

『幸せな未来は「ゲーム」が創る』 Jane McGonigal(原題『Reality is broken』)について どんな本か 現実世界にゲームを応用することでもっと生きやすい世の中が作れるということを語る本。三部構成となっている。 第一部「なぜゲームは人を幸せにするのか」では、ゲームに必要な要素を分析し、それらがどう人間の幸福に影響しているかを解説。 第二部「現実を作り変える」では、第一部で分析した結果を応用し、現実世界の退屈な作業や仕事にもゲーム性を取り入れるこ

『生物と無生物のあいだ』

『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)について紹介&感想 どんな本か 生物学者が、生命の定義とはなんなのかを改めて検討する本。DNAの複製機能やタンパク質の構造に秘められた機能など、生命の構造美をひしひしと感じさせられる。とはいえ、中身はゴリゴリの学術書というわけでは全くなく、専門的な解説の合間にその事柄に関する歴史的経緯や自身の研究体験などが展開されるため、生物学を知らない人でも比較的とっつきやすい。内容的にはやや専門的な部分まで踏み込んでいるため、ある程度生物学について知

ホモ・デウス(上) まとめと要約

『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ)の簡単なまとめと要約です。ハラリは歴史学者であり、『サピエンス全史』の著者でもあります。本書は「人類とは何なのか?」「人類はこれからどういう方向に向かっていくべき(でない)か?」ということが書かれています。 とても簡単にまとめると…・人類は今後、不死・幸福・神性を求めるようになる。 ・科学革命により人間至上主義という宗教が確立した。 ・人間と他の動物の違いは「柔軟な協力ができるか否か」である。

『日本語の作文技術』要約と感想 原則さえつかめば「読点の打ち方」や「修飾語の順番」に悩まない

『日本語の作文技術』(本田勝一、朝日新聞出版)の要約と感想です。 ● 概要 日本語で文章を書く上で注意すべき点や句読点の打ち方など、学校では教えてくれない作文技術を世の悪文を校正しながら解説する。注意すべきことを原則化してくれるので非常に実践に移しやすい。1976年に初版発行、2015年に新版の発行に伴い、8章、9章が追加されています。 ● 内容 第1章 なぜ作文の「技術」か 第2章 修飾する側とされる側  かかる言葉と受ける言葉はなるべく近い方が良い。 第3章 修飾

『お金2.0』の要約

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽、幻冬舎)の比較的良い要約。ビジネスに関心がある人におすすめ。 お金の正体現実は、お金・感情・テクノロジーの3つのベクトルから成り立っており、どんな組織やサービスもこの3つがなければ成功しない。お金が普及し始めたのはたった300年ほど前である。当初は交換のツールの役割しかなかったが、資本主義が発達するにつれてお金はお金を生み出すものとして捉えられるようになった(手段の目的化)。現在の中央銀行が通貨をコントロールする仕組みは

『多数決を疑う』要点整理 多数決より良い方法とは?

『多数決を疑う』(坂井豊貴)の要点を書きだしました。主に第1章、第2章、第4章を中心に、どの集約ルールが優れているのかをまとめます。 多数決には欠陥がある  多数決は有権者の意思を正しく反映すると思われがちだが、実は全くそんなことはない。選択肢が2つの場合は問題なく機能するが、3つ以上になると票割れの問題が発生してしまう。たとえば、選挙でAとBが立候補しており、それぞれの得票率は60%と40%だとする。この時点で選挙を行えばAの勝利である。しかし、そこに新たな候補者Cが立候

『貨幣の「新」世界史』要約と感想

『貨幣の「新」世界史』(カビール・セガール、早川書房)についての要約と感想。 要約第一部  精神 アイデアのルーツ 1. ジャングルは危険がいっぱい  お金の根源は生物同士のエネルギーの交換である。共生や協力は進化に必要な要素であり、進化的アルゴリズムのひとつに組み込まれている。道具を作る能力と表象的思考能力(→集団的知性)によって貨幣という概念が生まれた。 2. 私の心のかけら  われわれのお金の使い方は感情や遺伝子に左右される。これは神経経済学、行動経済学、生物学的

『ゲーム理論はアート』概要と感想

『ゲーム理論はアート』(松島斉、日本評論社)の概要と感想です。 概要東京大学経済学研究科教授によるゲーム理論の入門書。基本的にゲーム理論を全く知らない人でも読めるように書かれている。難しい数式は出てこない。入門書なので基礎的なゲームについての解説と身近な事例が紹介されているのはもちろんだが、一般的なゲーム理論入門書と違い、「経済学とは何か?」「学問とは何か?」というところまで深堀りして書かれている。さらに、いわゆる経済学的な「合理的な経済主体」から一歩踏み込んで心理的ゲーム