歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読む。
歌集『パルティータの宙』(福田淑子氏)を読んだ。
歌集について
福田淑子氏の第二歌集である。
宙と書いてそらと読ませる。
この漢字の読み方は歌集の内容に大いに関係がある。
例を挙げると、歌集の帯にある一首。
※「宙」に「そら」とルビあり。
宇宙の宙でそらである。
その他にも、多様なテーマの短歌が収録されている。
それぞれ別々のテーマに見えるが、根底で「自分が生きること、誰かが生きたこと」に繋がっている。
五首選
良い短歌が多く選にかなり迷ったため、
付箋を付けた中で、特徴的なものを紹介した。
反語形が決まっている一首。
哲学的で普遍的な問いが胸に迫る。
安全ピンで怪我をした事があるので、
共感できる一首。
キャッチーな
「神様に聞いてごらんよ」
が目を引き、読者は続きの内容が気になる効果がある。
結句の「地球に乾杯」が効いている。
目まぐるしく変わる世の中で
変わらないものにホッとする。
「何はあれ」に
地球上の平和への願いが
自然に織り込まれている上手さがある。
実景を眺めて作った短歌に見えるが、
それだけではない、含蓄の多い一首。
結句の「愛とはなんぞ」の内容の重さが
一首の内容を軽くしすぎない、
「重り」のようになっている。
※「幼」に「をさな」のルビあり。
幼児の成長の早さを「宇宙速度」と暗喩した面白さと上手さがある。
実体験と巧みな喩によって、
説得力のある一首に仕上がっている。
この歌集の良さ
歌集の一部の短歌を紹介しただけでも
・喩の巧みさ。
・キャッチーな一言を中身に構成された、説得力のある一首。
・適度なエスプリ。
・体験を言語化する、アウトプットの上手さ。
・行間を読ませるテクニック。
など、
読者として学ぶ点が多い。
技術面だけではなく、内容も
自分の生き方や今後を考えさせられる歌集だと思った。
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