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オオキユーヒ三題噺まとめマガジン

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#毎日三題噺

17.三題噺「テロ、針仕事、水色」

17.三題噺「テロ、針仕事、水色」

「ねえねえマカロンくん」

 家庭科の授業中、私は生徒会長のマカロンくんを呼んだ。

「裁縫の途中で話しかけられると手元が狂って危ないだろ」

「それくらい何でもできて器用なら大丈夫だよ」

 マカロンくんはちゃんと針を置いてから私を見た。

「なんだ?」

「教室にテロリストが襲撃してきたのを無双して撃退する妄想って、やっぱり男の子なら誰でもするの?」

「定番だって聞くな。80%の男子中高生は

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16.三題噺「空飛ぶ絨毯、目潰し、遠吠え」

16.三題噺「空飛ぶ絨毯、目潰し、遠吠え」

「空飛ぶ絨毯に乗って私も自由に旅してみたいなあ……」

 英語の授業中、隣の席の女の子、同クラさんがぽつりと呟いた。

 英文を交互に読み合う時間だったから、向かい合ってた僕以外には聞こえなかったみたいだ。

「急にどうしたの?」

 教科書にはそんなファンタジーな記載はない。

「あ」と、同クラさんは恥ずかしそうにしなやかな指先で唇を抑えた。

 僕が笑うと、同クラさんの顔が紅潮して、覆おうとし

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15.三題噺「生徒会長、仕事、0%」

15.三題噺「生徒会長、仕事、0%」

「マカロンくん」

 放課後の生徒会室で、仕事がひと段落したところで生徒会長のマカロンくんを呼んだ。

「お前までその呼び方をするのか」

「先輩がそう言ってたら馴染んじゃって」

「仲良しでなにより」

 マカロンくんはメガネを外して目を摘んでから僕を見た。

「最近どうなんだ?」

「先輩とは別にどうもこうもないよ」

「どうなんだ、ってだけで恋愛に結びつけるあたり、お前も隠すの下手だよな」

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14.三題噺「生徒手帳、おかず、血」

14.三題噺「生徒手帳、おかず、血」

 授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、ようやく昼休みだ。

「購買行くか……」

 隣の席の同クラさんは友達と談笑していた。

「後輩くんっ」

 伸びをして体をほぐした後、立ち上がると、教室の外から僕を呼ぶ声がした。

 そこには可愛らしい笑顔をした先輩がいた。
 少し大きめのランチバッグを手に下げている。

「お昼に来るなんて珍しいですね。何か用事ですか?」

「ちょっと来て」

「?」

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13.三題噺「幼年期、名を残す、えこひいき」

13.三題噺「幼年期、名を残す、えこひいき」

 僕は先輩の設立した意味不明な同好会で勝手に使用されている空き教室に来ていた。

 特に活動とかは無いから先輩と僕は使われていない机を挟んで座って喋っているだけだ。

「私、帰国子女になりたい」

「突然どうしたんですか?」

「帰国子女ってなんとなくネームバリューがあると思わないかい? 幼年期を海外で過ごしたって言ってみたい」

「いえ、まったく思わないです」

「後輩くん男子高校生なんだから、

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12.三題噺「参考書、UFOキャッチャー、文房具屋」

12.三題噺「参考書、UFOキャッチャー、文房具屋」

 放課後に、僕は同じクラスの女の子、同クラさんの案内で隣町の文房具屋さんに来ていた。

 本屋も併設されていて、本を見に行っていた同クラさんが参考書を手にして僕のもとへやってきた。

「ありがとう。好みのシャー芯見つかったよ」

「そ、そっか。それならよかった……」

「近所にはなかったからどうしようと思ってた。この辺に住んでるんだね」

「う、うん。帰り道によく立ち寄る、かな?」

「わざわざ付

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11.三題噺「国家権力、奇妙、研磨剤」

11.三題噺「国家権力、奇妙、研磨剤」

 僕は職員室近くの洗面所に来ていた。

「先生、僕に仕事押し付けないでくださいよ」

 目の前には、英字新聞を開きながら歯磨きしている女教師が。

 この人は生徒会の顧問という立場を不正利用して僕に教師の仕事を押し付けてくる。

「アルマジロで銃弾跳ね返る。怪我人は無し、か……。まったく奇妙なニュースだ」

「先生、話を逸らさないでください」

「君もそう思わないか? 何か重大な事件をもみ消した国

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10.三題噺「動植物、起き上がりこぼし、観光バス」

10.三題噺「動植物、起き上がりこぼし、観光バス」

 私たち三年生は、校外学習で動植物園に来ていた。

 かわいい動物や珍しい植物を楽しんで、今は自由時間だ。

 ほとんどの人は仲のいい人と集まっている。

 中にはカップルでデート気分を味わっている人たちもいる。というか半数はイチャラブしている。

「いいなあ……」

 私はお土産屋さんの前で思わず呟いてしまった。
 松ぼっくりの形をした起き上がりこぼしを倒しては何度も起き上がってくるのを繰り返し

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9.三題噺「正面、鋼の心、ハングリー精神」

9.三題噺「正面、鋼の心、ハングリー精神」

「後輩くんは何食べる?」

 正面に座る先輩がメニューを差し出してきた。

「先輩はどうするんですか?」

「私はドリアにしようかな」

「僕はドリンクバーだけで大丈夫です」

「セットで頼めばお得みたいだよ」

「単品でいいです。先輩と違って年中お腹すいてるわけじゃないんで」

「失礼だなあ。私は食べ物に対してハングリー精神旺盛なだけだよ」

「そうですか」

 ……先輩のはただのハングリーなだ

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8.三題噺「強烈、幼馴染、マカロン」

8.三題噺「強烈、幼馴染、マカロン」

 先輩が休み時間に教室へやってきた。

「幼馴染ならいますよ」

 今は何故か僕の人間関係の話になっていた。

「どんな子?」

「隣の家に住んでて、手作りお弁当を作ってくれて、オマケにお節介焼きな奴で、前までは朝起こしに来てくれましたね」

「手強い相手がいた……」

 先輩は急に項垂れた。

「最近は色々やることあったり、受験勉強で忙しいので前ほどではないですけどね」

「後輩くんは、その人の

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7.三題噺「睡眠不足、単語帳、試験勉強」

7.三題噺「睡眠不足、単語帳、試験勉強」

 中間試験の5分前。
 いつもと雰囲気の違う張り詰めた空気の教室で、僕は教科書をなんとなしに眺めていた。

 急いでノートを見返していたり、カード型の単語帳を必死にめくっている人がいる。

 試験勉強って、一夜漬けとか、ましてや5分前にしても数問しか正解できないと思うけれど、気持ちはわからなくもない。

 僕はさっきから気になっていた隣の席を見た。

「あの……。大丈夫?」

 そこには、机に突っ

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6.三題噺「エキシビジョン、乗り物、OGOB」

6.三題噺「エキシビジョン、乗り物、OGOB」

 生徒会室で仕事をしていると、先輩が来た。

「……なんの用事ですか?」

 時間を忘れて集中していたせいか体には疲労感がある。
 薄暗い部屋に橙の西日が差し込んでいた。

 作業用に適当につけていたTVのシーンが変わるごとに部屋の彩りを僅かに変える。

「お疲れ様」

 先輩はくすりと笑って僕の隣に座った。

「何してたの?」

「学校の備品チェックですよ」

「……それ、先生の仕事じゃないの?

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5.三題噺「湯葉、リーダー、パワースポット」

5.三題噺「湯葉、リーダー、パワースポット」

 チャイムが鳴り、授業が終わった途端に騒がしくなる教室で、僕は体をほぐすように伸びをした。

 次は移動教室だから早めに準備しないとな。

「あれ?」

 ふと隣を見ると、同じクラスの大人しげな女の子、同クラさんが雑誌を読んでいた。

「それ、なにを読んでるの?」

「……え?」

 同クラさんは顔を上げて僕を見た。

「…………パワースポット特集、だよ?」

「へえ、面白そう。どんなことが載って

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4.三題噺「温泉卵、花より団子、喉」

4.三題噺「温泉卵、花より団子、喉」

 青々と葉が生い茂る桜の木の下で、何故か僕らはお花見をしていた。

「先輩。もう5月なのに花見っておかしくないですか?」

 僕はジュースを飲んでから、今更の疑問を口にした。

「風薫る季節にお花見というのも通だと思わないかい?」

 いや、全然思わない。桜、散っちゃってるし。

「毎回突拍子もない行動に巻き込まれる僕の身にもなってくださいよ」

「はひをひってふんふぁい?」

「それはこっちのセ

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