ひとりの人間のなかにある最良と最悪について
「WE BEGIN AT THE END」
去年、だと思うが、読んだ本で出会って、噛み締め続けている言葉がある。
一度目に読んだとき、正確に残したいと思って後で見返すためにメモをその部分に挟んだが、いつの間にかなくなった。
しょうがないので、アタリをつけつつ二回ほどざーっと読み返したのだが、見つからなかった…。(別の本って状況でもなく)
そのまま図書館に返却。
したのだが、その言葉がまた大きく思い出される状況になったため、noteに書きたくなったので書く。
故に、ここに記すのは自分変換後の正確なものではないので、ご承知あれ。
是非本も読んで欲しい。
本の題名は、
「われら闇より天を見る」
原題:WE BEGIN AT THE END
である。
以下、ストーリー紹介で話の流れのネタバレあるため、注意。(内容は正確でないかも)
ジャンルとしてはミステリー(英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞)。
主人公は13歳の少女「ダッチェス」。
30年前の事件をきっかけに人生を狂わされヤク中?アル中?になった母親と、幼い弟と暮らしている自称「無法者」で、常に怒りを抱えながら生きている。
そんななか、母親が殺されてしまう。
必死に生きる彼女の周りには彼女を支えようとする大人もいるのだが、本当に彼女を救うことはだれにもできない。
そこにいるのは自分だけが弟を守ることができると信じ、絶対的な孤独の中で、歯を食いしばりながら闘い続ける13(14)歳の女の子。
時間をかけやっとほんの少し心を開いたその時に相手が亡くなったりと、これでもかと彼女を襲う状況が容赦ない。
彼女の元には児童相談所の女性も訪れ、里子に出されたりもするのだが、手当目当ての一家は二人を家族としては扱わず、その家の子供たちに学校でひどいことをされたダッチェスは、禁断とも言える言葉を発してしまい、弟とも離れ離れになることに…。
とまあそんな話だが、メインのミステリーである30年前の事件の真相と母親を殺した犯人捜しはアクセント?スパイス?で、攻撃は最大の防御とばかりに傷だらけで運命と闘うダッチェスの話なのだ。
って書いていたらまた読みたくなったな。
日本語の題名も悪くはないけど、原題「WE BEGIN AT THE END」は「終わりから始めるんだ」と、本文に何度もでてくるのでこれも忘れ難い。
と、ここでわたしの心に残った言葉だが、先述したように記憶頼りのため正確ではないが、以下である。
「良い人間」も「悪い人間」もいない。
一人の人間の中に、「最良」も「最悪」も存在するのだ。
これを読んだときの衝撃たるや。
というか、このような文章にこれまで出会ったことが無かったのか? あったけどスルーしたのかなあ。
耳慣れたverで「誰にも良いところ、悪いところがある」とか言うが、そんなのは引っかからない。
どうしようもなく抱え続けているものを指していると感じたからこそ、心に飛び込んできた。
それから、レベルの差はあれど、みんなそうなのかもなあと思うに至った。
今見えるのは、相手の「最悪」だけど、相手の中にも「最良」の光があるのだという視点。
わたしの苦しさはわたしの「最悪」の部分から発しているかもしれないが、でも「最良」の部分もなくなってはいないと信じられること。
そんなことを教えてくれた言葉。
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