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「メンヘラは嫌いだ」とあなたは言ったけど「おまえが嫌いだ」と言ってほしかった。わたしは…
ひとりで悩まないでください。命の相談窓口、24時間ココロダイヤル。 ところがその番号は…
新宿の古い喫茶店で、彼女と待ち合わせた。 入口から地下の客席へ続く階段を降りると、先…
煙草は百害あって一利なし、と、別れた彼氏はよく言ってた。 コーヒーもよくない、とも言…
私はむかしからコーヒーが好きだった。 煙草の匂いも、むかしから好きだった。 それはき…
「スターバックスって禁煙じゃない」 彼女が言った。 「うん。全席禁煙」 大きな紙コップ…
真夏のある日、アパートの部屋で交わったあとに、彼女が冷蔵庫から「買ってきたの」と言って、いちじくを出してきたことがあった。昼下がりだった。灼けつくような空気に、蝉の声が絡みあうように響いていた。 「いちじくって、なんだかねっとりして、甘くて、形とかも、淫靡な感じがするの」 そんなことを言う彼女に、ふうん、と応じながら、私は、彼女がシンクで洗ってガラスの皿にのせたいちじくを掴み、皮ごと咀嚼した。生まれて初めて食べるその果物は、不味くはないがとりたてて美味いとも思わなかった。
本を読む。アン・シャーリー、マーチ家の四人姉妹、ハンス・ギーベンラート、ホールデン・コ…
「続きはあしたの朝からやります」と言って帰ったマサキさんが、その日の晩に亡くなった。 …
「ウチ、航空管制官になりたい」 放課後、バスターミナルのベンチで、コーラ味のチュッパチ…
「お前は死んだほうがいい」と職場の上司に罵られたので、顔面に拳を叩きつけたら転げ回って「…