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歳時記を旅する43〔紅葉狩〕後*色の濃きあたりより暮れ谷紅葉
磯村 光生
(平成七年作、『花扇』)
大正十年十月十六日、若山牧水は、胃腸の療養のために滞在した白骨温泉から、焼岳に登るべく上高地に向かう。
山毛欅の木は鮮黄色の葉をつけ、楓の木は紅葉の真盛りだったという。
梓川の渓谷に沿う道の途中で歌を作った。
「うち敷きて憩ふ落葉の今年葉の乾き匂ふよ山岨道に」
「うら悲しき光のなかに山岨の道の辺の紅葉散りてゐるなり」
(「山路」大正十三年『みなかみ紀行』所収)
きれいな紅葉には、空中に湿度が適当にあることも条件の一つという。句の濃い紅葉とは、谷深い川辺だろうか。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和五年十月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
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