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共鳴*頁繰るやうに寄る波日脚伸ぶ

頁繰るやうに寄る波日脚伸ぶ 岡田耕

    前句と違ってこちらはまさに感覚で捉えた日脚伸ぶ。
    固く尖った感じの真冬の波と違って、どことなく柔らかく丸みを帯びたような感じの夕べの波を、「頁繰るやうに寄る波」と捉えた。
    何か調べ物をする時の先を急ぐ読書ではなく、読書自体を楽しむような読書を思う。
    読み終えた頁の余韻を楽しみながらゆっくりと頁を繰る。
    そのゆったりとした感じは蕪村の「春の海ひねもすのたりのたりかな」という程の長閑さではないが、春を間近に控えた、柔らかな日差しと穏やかな海が目に浮かぶ。

(磯村光生)

あひる句会報 2020年1月号

(岡田 耕)


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