歳時記を旅する57〔生誕樹〕前*点かぬ電球まじへホテルの聖誕樹
土生 重次 ※原句は「電球」に「たま」のルビ
(昭和五十七年作、『扉』)
クリスマスツリーに蝋燭を灯す習慣は、一六世紀のドイツの宗教家、マルティン・ルターによると言い伝えられている。ある夜、ルターは、家に帰る途中森で道に迷う。その時、木々の間美しく輝く星が家路に導いてくれた。その感動を家族に伝えたいために、ルターがもみの木にたくさんの蝋燭を灯して見せたのが始まりになったという。蝋燭は、エジソンが電球を発明した三年後には、電球へと替わっていったという。(本庄ひさ子『Xmasアドベントブック』)
句のホテル、クリスマスツリーの明かりが減っている。旅人を導き損ねることのないように祈るばかり。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和六年十二月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)
☆2024年は12月1日からアドヴェントです。