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選評*春暁や眼開きしぬひぐるみ

春暁や眼開きしぬひぐるみ 岡田 耕
夜中が過ぎて、明けようとしてまだ暗い暁闇の時分、物の形も色もはっきりとはしない薄暗闇の中でぬいぐるみが眼を見開いていると言うのだ。
一瞬真ん丸の目の西洋人形を思ったが、ぬいぐるみとあるので硝子玉の目の犬や猫などの動物なのだろう。
日頃は愛くるしい目のそれが、生きた動物のように大きく目を見開いて、人間にはまだ確と見えない薄闇を見据えていると。
句はそれしか言ってないが、その薄闇から今しも何か新しい生命が生れて来るような気配を思わせ、春の夜明けのそこはかと持つ神秘を感じさせる。

俳句雑誌『風友』令和四年六月号ー風紋集・緑風集選評ー「風の宿」磯村光生

【スキ御礼】「選評*こどもらを家に追ひ立て虎落笛

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