見出し画像

歳時記を旅する56〔雪吊〕後*雪吊を解きやはらぐ松の空

磯村 光生

(平成十八・十九年作、『千枚田』)

 与謝野晶子は夫の寛(鉄幹)と一緒に兼六園を訪れて、唐崎の松を詠んでいた。「大池の唐崎の松常磐にて加賀のしぐれはつかの間に過ぐ」(昭和六年一月と同八年十一月)

兼六園の雪吊りは、毎年十一月初旬に、この唐崎松から始まる。そして、三月の中旬からの取り外しは、唐崎松を最後に終わり、北陸の春を迎える。

 句は、空が、松が無事に春を迎えたことを喜んでいる。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和六年十一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)


 






   


いいなと思ったら応援しよう!