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kazuyami77
歳時記を旅する56〔雪吊〕後*雪吊を解きやはらぐ松の空
磯村 光生
(平成十八・十九年作、『千枚田』)
与謝野晶子は夫の寛(鉄幹)と一緒に兼六園を訪れて、唐崎の松を詠んでいた。「大池の唐崎の松常磐にて加賀のしぐれはつかの間に過ぐ」(昭和六年一月と同八年十一月)
兼六園の雪吊りは、毎年十一月初旬に、この唐崎松から始まる。そして、三月の中旬からの取り外しは、唐崎松を最後に終わり、北陸の春を迎える。
句は、空が、松が無事に春を迎えたことを喜んでいる。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和六年十一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)