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歳時記を旅する57〔生誕樹〕後*ハープ弾く手のひらひらと冬ぬくし
磯村 光生
(平成十八・十九年作、『千枚田』)
クリスマスツリーの飾りのモチーフに、天使がある。
新約聖書の「ルカ」の福音書にはイエス・キリストの生誕が記されている。この中で、天使の一群が、占星術師や羊飼いを生まれたばかりのイエス・キリストのもとに導いてゆく。天使は、それぞれ楽器を演奏しながら天から降りてくる。そのため楽器はそれ自体で天使を表す。古典的な楽器は、横笛、ヴァイオリン、ラッパ、そしてハープである。(若林ひとみ『クリスマスの文化史』)
ハープは紀元前の弓に起源をもち、四十七本の弦を両手の八本の指で弾いて音を出す。天使に招かれるような美しい音色によって、寒い冬に暖を得たような心地になる。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和六年十二月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)