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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2022年7月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第258話

 グループの大半は、先生の表情を見るとすぐに立ち上がった。メイソンだけが机に座ったまま周…

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水深800メートルのシューベルト|第257話

「アハハ、あいつ、ばねのおもちゃみたいに跳んだぜ」  (メイソンの言葉と共に)斜め後ろか…

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水深800メートルのシューベルト|第256話

「何だあいつ。俺たちのことをさっきからジロジロ見ていやがる。おい、バーナードの知り合いか…

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水深800メートルのシューベルト|第255話

「でもさ、メイソン。この州は免許って確か十五歳を六か月過ぎないと取れないんじゃないか。も…

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水深800メートルのシューベルト|第254話

「何という車だい、メイソン?」  鼻筋の通った精悍で端麗な顔つきの仲間が、身を乗り出すよ…

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水深800メートルのシューベルト|第253話

 机の上の男は、遠目から見ても体が取り囲んでいる連中より一回り大きかった。金色の髪に面長…

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水深800メートルのシューベルト|第252話

 無数に並ぶ青い扉の切れ目にあるドアを開けると、ロッカーに挟まれた廊下と違って開放感のある空間が広がり、心が軽くなった。  教室にはもう何人かの生徒が何グループかに分かれていた。代数Ⅰの授業は必須科目だから、バーナードも来ているはず。そう思って視線を動かしていると、廊下とは反対側の後ろの席に肘を背もたれにかけている三角の目を見つけた。  彼は、一塊のグループの中に埋もれていた。そのグループはみんな、一段高い机の上に腰かけている男を相手に会話をしていた。      第25

水深800メートルのシューベルト|第251話

     (18)  人いきれやその息遣いに揉まれながら後者の入り口を抜けると、廊下の両…

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水深800メートルのシューベルト|第250話

「アシェルの婆ちゃんはハンバーガー屋で働いているんだろ? 大学行くのは不可能だよな。でも…

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水深800メートルのシューベルト|第249話

 ふと、お婆ちゃんが持ち歩いている小さな黒いポーチが頭に浮かんだ。彼女は仕事に行く時や僕…

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水深800メートルのシューベルト|第248話

 僕は「学費、百万ドル」の言葉が耳にじわっと広がると、思わず足を止めて海軍の顔を見た。彼…

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水深800メートルのシューベルト|第247話

「あれはやる気ないよ。勧誘しようともしていないんだから」  バーナードの言葉に、僕の目は…

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水深800メートルのシューベルト|第246話

 (バーナードの言葉を聞いて)僕は、いつかテレビで見たイラクやアフガニスタンの映像を思い…

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水深800メートルのシューベルト|第245話

「なんだよ、不合格って。そもそもあいつは誰なんだよ」  僕はアスファルトから石段をまたぎ、学校の敷地内にある芝生のグニュっとした感触を味わいながら言った。 「リクルーターだよ。あの格好は陸軍だな。卒業したら軍人になれそうな連中をスカウト、というか、今のうちに唾をつけておくんだ。そのうち教室にも顔を出すようになるぞ」  バーナードはやれやれといった調子で両手を広げた。 「学校まで来なくても、募集すれば軍人なんて集まるんじゃないのか?」「アシェルは何も知らないんだな。誰が好