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水深800メートルのシューベルト|第252話

 無数に並ぶ青い扉の切れ目にあるドアを開けると、ロッカーに挟まれた廊下と違って開放感のある空間が広がり、心が軽くなった。

 教室にはもう何人かの生徒が何グループかに分かれていた。代数Ⅰの授業は必須科目だから、バーナードも来ているはず。そう思って視線を動かしていると、廊下とは反対側の後ろの席に肘を背もたれにかけている三角の目を見つけた。

 彼は、一塊のグループの中に埋もれていた。そのグループはみんな、一段高い机の上に腰かけている男を相手に会話をしていた。

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