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#エッセイ

「二年に一度の、」極私的記録と坂口恭平『その日暮らし』のこと

「二年に一度の、」極私的記録と坂口恭平『その日暮らし』のこと

文:かえるはかえる

寝て起きても空腹感がない。前夜に鯨飲馬食した覚えもなく、目覚め自体もすっきりしたものであったので、なにかおかしい。変なものでも食べただろうか。ダイエットの名目で有料プランに登録したものの、ただ記録するだけでカロリー制限も栄養調整もしない、形骸化してしまった食事管理アプリを見返しても、特に原因になりそうな食事は摂っていなかった。はて、どうしたものか。

とりあえず朝食は抜いて、

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茹ですぎた素麺

茹ですぎた素麺

文/構成:諸々

ーー文章って、どうやって書けばいいんだろう?

「文章を書いてもらえないかな?」という話をもらって、面白そうです是非にと二つ返事で答えた割に、いざ何かを書こうとすると、文章としてある程度の強度をもった輪郭を為す明瞭な実像が結ばれない。何か紡ぎ出そうとしても、頭の中には言葉の断片とも言えないほどにヤワな、夏の熱に肌を溶かされた綿菓子のような、感覚とそれに付随するとは言い難い関連の言

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鬼女見習い、会議室で踊る

鬼女見習い、会議室で踊る

文/構成:ヤマ文明

私の会社のデスクは、会議室に近い。同僚と相手先の会話が割とはっきり聞こえる場所だ。

「それはしないって、前月時点でもう何度もお約束いただきましたよね」
「…ですので、今の言葉はきちんと訂正いただかないと。…ありがとうございます、こちらの内容で進めさせていただきます…」

相手の言動の間違いを指摘し、返す刃でちゃんと諌める。
こういう「怒り筋」がちゃんと鍛えられている人を見る

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東京からわざわざ茨城に髪を切りに行くやつ

東京からわざわざ茨城に髪を切りに行くやつ

文:チャプ太郎

 新しい街に引っ越したとき、行きつけを見つける作業が発生する。一番近いコンビニはここで、どうしてもセブンイレブンに行きたいときはここまで足を伸ばそう。スーパーは3軒あるけど、帰り道で買い物をするならここかな、品揃えがいいから週末はここまで買いだめをしに来よう。そうした日常使いのお店だけでなく、映画を見るなら隣駅のイオンまで自転車で行って、家具や家電はターミナル駅まで出て、といった

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「白玉パーティー開催のお知らせ」

「白玉パーティー開催のお知らせ」

文/構成:ヤマ文明

1.
子供のころの夏、1ヶ月だけおばあちゃんと生活していたことがある。
弟が産まれる直前、両親もてんやわんやな状況のなかで、幼稚園児だった私は、隣県に住むおばあちゃんの家に預けられることになったのだ。

おばあちゃんは保育園の園長先生だった。
キリスト教保育の園だったこともあり、周りの園児はおばあちゃんを洗礼名にちなんで「バーバラ」先生と呼んでいたので、私も、私のママもバーバ

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