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北極冒険家が考える「人はなぜ冒険するのか?」

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なぜ冒険するのかって?

なぜ冒険するのかって?

よく、なぜ冒険をするのか、なぜ山に登るのか、という質問に対して使われる返事として「そこに山があるからだ」という返事をしたと言われている(日本語訳が正しいかどうかは別として)が、ジョージ・マロリーのその答え「Because it is there」よりも、個人的にはチャールズ・バートンが書いている「The devil drives」の方が私自身が感じている本質的な感覚に近い。

The devil

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南極大陸犬ぞり横断国際隊 映画上映&トーク

南極大陸犬ぞり横断国際隊 映画上映&トーク

【南極大陸犬ぞり横断国際隊 映画上映&トーク】

12月6日(金)の夜は、冒険クロストーク「極地からのメッセージ」 南極横断の映画上映と、トークがあります。

これは、絶対に見た方がいいです。伝説的な南極横断のドキュメンタリー映画は、日本でかつて5年前に公開されただけで、他では見ることができません。

1989年から90年にかけて南極大陸6000kmを、220日かけて横断した犬ぞり国際隊「Tran

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若者たちと歩いた北極圏600km

若者たちと歩いた北極圏600km

私の最新刊「君はなぜ北極を歩かないのか」が発売になりました。

冒険研究所書店ではサイン入りも用意しています。

あらためて、今回の新刊は2019年に私が素人の若者たち12名を率いて、カナダ北極圏のバフィン島を600km、1ヶ月の徒歩冒険に出ましたが、その旅を準備期間から含めて一冊にまとめました。

若者たちの平均年齢は23歳。女性2名を含む12名は、全員がアウトドア経験もない、海外旅行も初めての

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アムンセンとスコット。いま、スコットの凄さを実感している

アムンセンとスコット。いま、スコットの凄さを実感している

人類初の南極点到達をノルウェーの冒険家アムンセンと争って、1ヶ月遅れで栄冠を奪われたイギリスの海軍大佐ロバート・スコット。

アムンセンとスコットの、人類史に残る南極点初到達レースは永遠に語られる逸話であるが、言ってみればスコットは敗軍の将。

ノルウェーが産んだ世界史に残る大冒険家アムンセンは南極点人類初到達を軽々と達成し、無事に帰還した一方で、スコット隊は南極点からの帰路に様々な不運も重なり、

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君はなぜ北極を歩かないのか

君はなぜ北極を歩かないのか

11月13日に新刊が発売になります。

タイトルは「君はなぜ北極を歩かないのか」

2019年、20代の若者たち12名を率いて、カナダ北極圏のバフィン島を600km、1ヶ月の徒歩冒険を行いました。その時の記録を一冊にまとめました。

noteにも、過去の記事の中でこの時の旅にはいくつか言及してきました。

同行した写真家柏倉陽介がナショナルジオグラフィック日本版のウェブサイトに寄稿した記事が以下

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「個人の活動」を拡げていく必要を感じている

「個人の活動」を拡げていく必要を感じている

思い返すと、2000年に初めて北極に行き、それからはずっとアルバイトをしながら、自費で北極冒険を繰り返してきた。

そして、2012年の北極点挑戦から、自費だけではなく、スポンサーからの資金だったり寄付をいただいて北極に行くようになった。

その2012年から始めたのが、100マイルアドベンチャー。

小学生たちとの夏休みの冒険を、これまで12年間続け、今年は13回目だ。

これまでずっと、100

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これからやるべきこと

これからやるべきこと

今年の100マイルアドベンチャーの募集を5月24日に行った。

「募集開始日不告知かつ先着順」といういつも通りの方法だったが、開始から7分で定員に達して募集終了。

その後も、私の耳には7−8人の方から「行きたいと思ってチェックしていたが、逃してしまった」「毎日チェックしていたのだが、そのタイミングだけどうしても仕事で見れなかった」という声を聞いている。

直接聞こえてくるだけで既にその数なので、

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私と世界の応答と行動

私と世界の応答と行動

昨日の渋沢さんとのトーク。終わった後に、反省しきりでした。

「私の範囲」という話が昨日は出ました。

終わった後に、その部分こそが話を掘り下げるべきポイントだと感じ、なぜトークの間に、そこを深めていかなかったんだ、と落ち込んでいます。

昨日の話の中にあった、忘れ物をした人を追いかけて、馬子が何日も宿場町を探して歩き回った話。

渋沢さんは、本当に「私の範囲」が広い方だと感じています。皆さんも感

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100マイルアドベンチャーを語る夜

100マイルアドベンチャーを語る夜

来週、5月16日(木)の夜は、新宿で100マイルアドベンチャーに関しての少人数トークを行う。

場所は、歌舞伎町のバー。私の友人で、以前は北極点挑戦の時の日本事務局なども務めてくれた仲間の店です。

Facebookのイベントページです。内容は下記に。Facebookやってなくて、参加したいけど申し込み出来ない、という方がいればこちらに人数などコメント残してください。

100マイルアドベンチャー

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尊重という名の包摂が招く「巧妙な排除」

尊重という名の包摂が招く「巧妙な排除」

来週5月17日(金)に、神保町の東京堂書店であるイベントに登壇する。
こちら↓↓↓↓↓↓↓↓↓

2004年に、32歳の若さで悪性リンパ腫により亡くなった、歴史学者の保苅実。彼が生前に遺した唯一の単著「ラディカル・オーラル・ヒストリー」は、オーストラリアのアボリジニの歴史観をつぶさに検証した名著として知られ、その独特の研究内容は今でも読み継がれている。

保苅実が世を去って20年。彼が高校生から大

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子供達との旅を行うために大切にしていること

子供達との旅を行うために大切にしていること

今年の100マイルアドベンチャーのロケハンを終了し、いよいよルートの最終調整に入っている。

今年で13年目となる100マイル。

開催地を毎回日本各地で変えているが、ルートを作るのも大変な作業だ。

ルート作成にはいくつかの段階がある。

①まずは、地図上で大まかにスタートとゴールを決める。
過去の例で言えば、昨年2023年だと「今年は九州に行こうかなぁ」と、まずは漠然と決める。
Googleマ

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冒険のスポンサー企業とどのように出会い、どんな姿勢で資金を集めてきたか

冒険のスポンサー企業とどのように出会い、どんな姿勢で資金を集めてきたか

冒険にはお金がかかる。

私が長年行っている極地冒険も、どんな計画を行うかで必要な資金のボリュームもさまざまに変化する。
2000年、22歳から始めた極地冒険であるが、若い頃はなるべくお金がかからないよう、カナダ北極圏やグリーンランドの、イヌイット(エスキモー)の集落を繋いで歩くような冒険を中心に行っていた。

若いころの北極行に必要な費用は、一回の遠征に150万円から200万円ほどだった。

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100マイルアドベンチャ−2024始動。募集開始日不告知かつ先着順である理由

100マイルアドベンチャ−2024始動。募集開始日不告知かつ先着順である理由

noteでもこれまで何度も「100マイルアドベンチャー」については書いてきましたが、今年も開催します。

改めて、100マイルアドベンチャーとは、2012年から私が継続して毎年開催している、小学6年生限定の夏休みの冒険旅。

100マイル(160km)を10日ほどかけてキャンプしながら踏破する、冒険の旅です。

毎回、開催ルートを変えながら行っています。これまで過去12年のルートは以下。2018年

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冒険ワークショップをやろうかと思っている

冒険ワークショップをやろうかと思っている

冒険研究所書店を2021年5月に初めて、そろそろ丸3年になる。

これまでの経験や知見を社会にも広げていくために、冒険ワークショップのようなことを考えてみようかと思っている。

冒険のステップとしては、まず ①主体的に計画 を行い、次に ②計画の潜在的な危険性を予測 して ③自分の能力が計画に対して対応可能か を判断し、ようやく ④準備 を行い ⑤計画を実行 する。そして最後に、その結果を ⑥何か

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