北極冒険家 荻田泰永

2000年よりカナダ北極圏やグリーンランドで徒歩を中心とした冒険を行ない、これまで北極と南極を10000km以上を踏破。2019年3月出版した「考える脚」で第9回梅棹忠夫・山と探検文学賞。日本人初の南極点無補給単独徒歩到達に成功。第22回植村直己冒険賞

北極冒険家 荻田泰永

2000年よりカナダ北極圏やグリーンランドで徒歩を中心とした冒険を行ない、これまで北極と南極を10000km以上を踏破。2019年3月出版した「考える脚」で第9回梅棹忠夫・山と探検文学賞。日本人初の南極点無補給単独徒歩到達に成功。第22回植村直己冒険賞

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冒険家の存在意義とは何か?

冒険の意味?冒険や探検に対して、「意味」「価値」というものを付随させて考えることが多くある。 「そんなことやって何になるの?」 「今さら未知の場所なんてないでしょ。時代遅れ」 冒険や探検をしない人からしてみれば、あえて危険(に見える行為)を望んで行うことが理解できないため、きっとそこには特別な理由があるからに違いない、その理由とは何なんだろう?そこにどんな意味を持っているのだろう?という疑問が出てくるのだが、考えてもよく分からないので「意味ないじゃん」と切り捨てる。

    • 若者たちと歩いた北極圏600km

      私の最新刊「君はなぜ北極を歩かないのか」が発売になりました。 冒険研究所書店ではサイン入りも用意しています。 あらためて、今回の新刊は2019年に私が素人の若者たち12名を率いて、カナダ北極圏のバフィン島を600km、1ヶ月の徒歩冒険に出ましたが、その旅を準備期間から含めて一冊にまとめました。 若者たちの平均年齢は23歳。女性2名を含む12名は、全員がアウトドア経験もない、海外旅行も初めてのメンバーも多数、スキーやキャンプ経験もない素人ばかり。 凍った海の上を、各自が

      • アムンセンとスコット。いま、スコットの凄さを実感している

        人類初の南極点到達をノルウェーの冒険家アムンセンと争って、1ヶ月遅れで栄冠を奪われたイギリスの海軍大佐ロバート・スコット。 アムンセンとスコットの、人類史に残る南極点初到達レースは永遠に語られる逸話であるが、言ってみればスコットは敗軍の将。 ノルウェーが産んだ世界史に残る大冒険家アムンセンは南極点人類初到達を軽々と達成し、無事に帰還した一方で、スコット隊は南極点からの帰路に様々な不運も重なり、5名が全滅。 勝ったアムンセン、敗れて南極に散ったスコットという対比が物語をさ

        • 君はなぜ北極を歩かないのか

          11月13日に新刊が発売になります。 タイトルは「君はなぜ北極を歩かないのか」 2019年、20代の若者たち12名を率いて、カナダ北極圏のバフィン島を600km、1ヶ月の徒歩冒険を行いました。その時の記録を一冊にまとめました。 noteにも、過去の記事の中でこの時の旅にはいくつか言及してきました。 同行した写真家柏倉陽介がナショナルジオグラフィック日本版のウェブサイトに寄稿した記事が以下 ただの旅の記録を書き連ねても面白くはありません。 私が若者たちとの旅を思いつい

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        • 冒険研究所書店
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        • 北極冒険家が考える「人はなぜ冒険するのか?」
          76本
        • 北極冒険家の読書、映画、評論
          22本
        • 北極冒険家が教える「準備と実行」
          4本

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          本を作ったので、書店で販売して欲しいという連絡に対する私感

          冒険研究所書店のTwitterにアップしたものを、こちらにも転載。 最近また、本を作ったので販売して欲しいという問い合わせをよくいただきます。オンデマンド印刷などで個人でも手軽に製本ができるサービスもあり、ZINEや文フリなどの潮流も手伝い、作りたい方、売りたい方が増えていると思います。独立系書店として、そんな方々への情報提供として書きます。 書店のサイトからのお問い合わせメールで「こんな本を作りました、販売してもらえませんか」というご連絡をよくいただきますが、正直に言う

          本を作ったので、書店で販売して欲しいという連絡に対する私感

          私の著作は現在4作

          改めて、私の著作は現在4作。 2013年に講談社より出版した、私の初著作「北極男」が、2023年に文庫になり、山と渓谷社から「北極男 増補版」として出版。 普通の若者だった私が、大学を中退してバイト生活を送っていたある日、テレビで偶然知った極地冒険家が「来年は、素人の若者たちを連れて北極を歩く」という言葉に触発され、初海外旅行、初アウトドア経験でカナダ北極圏700kmを歩く。 2000年の初めての旅から、2012年の北極点無補給単独徒歩到達の1回目の挑戦までをまとめた、

          私の著作は現在4作

          「個人の活動」を拡げていく必要を感じている

          思い返すと、2000年に初めて北極に行き、それからはずっとアルバイトをしながら、自費で北極冒険を繰り返してきた。 そして、2012年の北極点挑戦から、自費だけではなく、スポンサーからの資金だったり寄付をいただいて北極に行くようになった。 その2012年から始めたのが、100マイルアドベンチャー。 小学生たちとの夏休みの冒険を、これまで12年間続け、今年は13回目だ。 これまでずっと、100マイルは自分の個人的な「活動」として行ってきた。回数も、定員も、目の届く範囲の少

          「個人の活動」を拡げていく必要を感じている

          これからやるべきこと

          今年の100マイルアドベンチャーの募集を5月24日に行った。 「募集開始日不告知かつ先着順」といういつも通りの方法だったが、開始から7分で定員に達して募集終了。 その後も、私の耳には7−8人の方から「行きたいと思ってチェックしていたが、逃してしまった」「毎日チェックしていたのだが、そのタイミングだけどうしても仕事で見れなかった」という声を聞いている。 直接聞こえてくるだけで既にその数なので、その向こう側には、何人も何十人もいるはず。 12年続けてきて、今年で13年目の

          これからやるべきこと

          私と世界の応答と行動

          昨日の渋沢さんとのトーク。終わった後に、反省しきりでした。 「私の範囲」という話が昨日は出ました。 終わった後に、その部分こそが話を掘り下げるべきポイントだと感じ、なぜトークの間に、そこを深めていかなかったんだ、と落ち込んでいます。 昨日の話の中にあった、忘れ物をした人を追いかけて、馬子が何日も宿場町を探して歩き回った話。 渋沢さんは、本当に「私の範囲」が広い方だと感じています。皆さんも感じていると思います。 だから、優しさも感じるし、厳しさも感じるし、懐の奥深さを

          私と世界の応答と行動

          経済活動と環境問題をどう両立するか。外苑前にてクロストーク開催。

          2020年12月。まだ、冒険研究所書店が「書店」になる前から行っている「冒険クロストーク」の、第2回目に登壇していただいたのが、渋沢寿一さんでした。 渋沢さんは、あの渋沢栄一の曾孫にあたる方。 あの時のクロストークでは、前半に渋沢さんから講義をいただき、後半に私やお客さんたちとのディスカッションや質問を受けていただきました。 とにかく、すごい講義だった。 「里山資本主義」として紹介されて、全国的にも有名になった岡山県真庭市の、木質バイオマスを利用した地域内経済循環を推

          経済活動と環境問題をどう両立するか。外苑前にてクロストーク開催。

          独立系書店のオンラインストア運用の実際の話。利益はいくら出たのか?

          冒険研究所書店を2021年5月24日に開店させて、そろそろ丸3年。 神奈川県大和市の実店舗での営業に加えて、開店から1ヶ月半ほど経った2021年7月初旬から、オンラインストアの営業も開始しました。 ネットの書店といえば、Amazonに代表されるものがたくさんあります。大手のネット書店だと、他のサービスと組み合わせると送料無料になったりと、まともに闘えばネット書店には叶わない。 果たして冒険研究所書店がオンラインストアを始めるにあたって、どのくらい利用してもらえるのか全くわ

          ¥800〜
          割引あり

          独立系書店のオンラインストア運用の実際の話。利益はいくら出たのか?

          ¥800〜

          100マイルアドベンチャーを語る夜

          来週、5月16日(木)の夜は、新宿で100マイルアドベンチャーに関しての少人数トークを行う。 場所は、歌舞伎町のバー。私の友人で、以前は北極点挑戦の時の日本事務局なども務めてくれた仲間の店です。 Facebookのイベントページです。内容は下記に。Facebookやってなくて、参加したいけど申し込み出来ない、という方がいればこちらに人数などコメント残してください。 100マイルアドベンチャーも今年で13年目。 これまでたくさんのことがあった。 なぜ、旅が必要なのか。

          100マイルアドベンチャーを語る夜

          尊重という名の包摂が招く「巧妙な排除」

          来週5月17日(金)に、神保町の東京堂書店であるイベントに登壇する。 こちら↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 2004年に、32歳の若さで悪性リンパ腫により亡くなった、歴史学者の保苅実。彼が生前に遺した唯一の単著「ラディカル・オーラル・ヒストリー」は、オーストラリアのアボリジニの歴史観をつぶさに検証した名著として知られ、その独特の研究内容は今でも読み継がれている。 保苅実が世を去って20年。彼が高校生から大学生、そして、駆け出しの研究者として発表してきた論考などをまとめたのが、先月4月

          尊重という名の包摂が招く「巧妙な排除」

          子供達との旅を行うために大切にしていること

          今年の100マイルアドベンチャーのロケハンを終了し、いよいよルートの最終調整に入っている。 今年で13年目となる100マイル。 開催地を毎回日本各地で変えているが、ルートを作るのも大変な作業だ。 ルート作成にはいくつかの段階がある。 ①まずは、地図上で大まかにスタートとゴールを決める。 過去の例で言えば、昨年2023年だと「今年は九州に行こうかなぁ」と、まずは漠然と決める。 Googleマップを見ながら、九州の中でどこのあたりを歩こうか。どこが楽しいだろうか。ここ行っ

          子供達との旅を行うために大切にしていること

          一年前のつぶやき。書店の必要性はわかるが、自分はどうなんだ?

          一年くらい前に、Twitterにこんなことを書いていた。 書店の必要性を考える人がいる一方で、アマゾンあるから書店いらないじゃん、と考える人がいる。書店サイドの人は、いらないという人にその良さを語ろうとするが、書店がいらない人のいらない理由を置いてけぼりにしてないか?必要である理由だけを叫んでも、いらない人はいらないのだ 書店の世界にいる人は、書店についてそれを叫ぶが、そう叫んでいる人は別の業態に対して同じことしていないか?商店街の八百屋さんよりもイオンの野菜の方が安いか

          一年前のつぶやき。書店の必要性はわかるが、自分はどうなんだ?

          冒険のスポンサー企業とどのように出会い、どんな姿勢で資金を集めてきたか

          冒険にはお金がかかる。 私が長年行っている極地冒険も、どんな計画を行うかで必要な資金のボリュームもさまざまに変化する。 2000年、22歳から始めた極地冒険であるが、若い頃はなるべくお金がかからないよう、カナダ北極圏やグリーンランドの、イヌイット(エスキモー)の集落を繋いで歩くような冒険を中心に行っていた。 若いころの北極行に必要な費用は、一回の遠征に150万円から200万円ほどだった。 内訳としては、日本から現地の村までの渡航費。途中での宿泊、移動費。新しく調達する装

          ¥500

          冒険のスポンサー企業とどのように出会い、どんな姿勢で資金を集めてきたか

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