【目印を見つけるノート】1436. 先週金曜日のエンカウンター
先週の金曜日、国際女性デーに行った場所のことを書いていませんでしたが、今日書きます。ヒントの写真だけポツンと置きざりにしてしまいました。
場所は市ヶ谷のインスティテュト・セルバンテス東京(Instituto Cervantes)です。昨年、メルセデス・セブリアン(Mercedes Cebrián)さんの講演で行きました。2度目の訪問になります。
国際女性デーの記念イベント『パピルスのささやき:言葉は流れ、文学は旅をする』を観覧してきました。スペイン語ですと、
Actividad 8 de marzo
El susurro de los juncos: un mismo rio con distinta aqua. Dialogos sobre traduccion con Irene Vallejo
になります。
鼎談形式でスペインの作家・イレーネ・ヴァジェホ(Irene Vallejo)さん、ヴァジェホさんの著書『パピルスのなかの永遠』(作品社)を翻訳された見田悠子さん、英語の翻訳家、文芸評論家として執筆活動をされている鴻巣友季子さんが登壇されました。日本では「バジェホ」さんのようですが、うーん🤔Vだなと思って……ヴァで記載しますね。確か私、ヴァレンシアって自分の書き物で書いていますし。
『パピルスのなかの永遠』は世界でベストセラーになっているとのことです。
読んでいなくてすみません。
自慢できない習慣になってしまっているのですが、初めてのときはたいてい予習をしていません。どのような方なのか、どのような作品を作る方なのか必死に現地で聞いて掴もうとがんばります。そして、ここに書くのもそうですがひたすら復習につとめます。
とはいえ海外の方の場合は何度もお会いできるわけではないので、読んでおけばよかったかもとちょっと反省しています。
一方、鴻巣さんの文章を実は読んでいました。読書まれなのに珍しい👀‼️
『100分de名著 フェミニズム』(NHK出版)でマーガレット・アトウッドの著書についての1章を執筆されています。翻訳されているということも含め、物語の背景や構造、世に暗示している意味に踏み込んだ内容です。
アトウッドさんの本も読んでいないので、面目ない。そのような私の文章です。不備が多い点はご容赦ください。
それでも、読んでいなくとも、
ものすごく広く深い、興味深いお話でした。このお三方だからというのもあったのでしょう。
お話は『国際女性デー』なのを踏まえ、日本の女性作家の作品を取り上げ、それが現代の社会をどのように投影しているか、ポリティカル・コレクトネス、「柔らかいディストピア」がテーマにあることが発題的に挙げられました。
ヴァジェホさんはそこから、ご自身が書くようになった経験談を語ります。なぜ、なぜとすぐに好奇心を持つ子どもだったこと。その後学校でいじめを受けたことを周囲の圧もあって言えなかった。そのように沈黙した、言葉を封じられたのが書く原動力にもなったということです。
現在の言葉を取り巻く状況、女性と文学についてのお話が続きます。
ネット社会、SNSで短時間で共感される言葉がもてはやされる現在の状況はいわゆる『自撮り』(Selfy)で、居心地のよくないものは避けられる。でも、「違いを認めることが根本です。歴史を書くのは、私が生きていない世界を見ようとすることです」とヴァジェホさんはおっしゃいました。
話は古今東西の「女性と文学」に移り、古代ギリシアから、紫式部も女性作家のパイオニアとして出てきました。
その中で特に、
古代の物語でも女性は「待つ身」であること、女性の作家(詩人)がサッフォー以外に見られないーーなどの部分でうなずいていました。そういえばアカデメイアに女性はいたのかなあ🤔後世のアカデミーは🤔サロンに女性はいたけれど……そうか。鴻巣さんは翻って現在、ノーベル賞や他の有名な賞における女性の割合、日本の翻訳者の女性の割合がまだ低いことも指摘されていました。
古代の物語といえば、『オデュッセイア』ですね。そこでも、オデュッセイアが波瀾万丈の旅をしている間、妻のペーネロペーは国を守って待っているのです。まあ、待っている間にもいろいろありますが、メインといえるものではありません。
私はブリュンヒルデの出てくる物語なども思い浮かべたのですが、アニメやゲームの話ではないですよ(『ニーベルンゲンの歌』でしたか)。ヴァルキュリアとかもね。全部、5~6世紀の物語です。
通して、
縦横無尽に時代も地域もまたいでいく感じがとてもいいなと思いました。とてもワクワクします。自分もそのようなお話を書いてみたいと思いました。ただ、それをするためには古今東西の本をたくさん読んで、自分の考え方をしっかり作りこんでおく必要があります。
私はまだまだ∞だと痛感していました。
お三方のトークの合間に、
たいへんおもしろい試みがありました。
ヴァジェホさんのご著書『パピルスのなかの永遠』をヴェジェホさんがスペイン語の原文で読み、訳者の見田さんが日本語で読むのです。700ページもある本ですので全部というわけにいきませんが、冒頭の部分だけでぎゅっと心がわしづかみにされました。
それは本というものが生まれた頃、アレキサンドリアの図書館(世界最古といわれる)を王が建てるにいたるくだりです。
私はウキウキしてきました。
そうですね、さわりを知っただけで冒険物語を聞く子どものようになりました。何て素敵な物語の始まり!それに、著者のスペイン語と訳者の日本語が両方とも聞けるなんて!稀有なことではないでしょうか。それに加えてテーマははるか古代です✨このような切り口で歴史を書く方がいらっしゃるんだ、と大きな力を得たような気持ちになりました。
このような試みは例えば、思い切り飛躍しますが、川端康成さんが朗読して、サイデンステッカーさんが続いて英語で朗読していくのに置き換えればたいへん興味深いでしょう。個人的にはアップルパイにアイスクリームのよう(喩えが?)、夢のような取り合わせです。
著者と訳者の掛け合いはその後も合間に入りましたが、ヴァジェホさんのスペイン語にうっとりとしている自分に気づきました。おかあさんが寝しなに子どもに読み聞かせをするくだりはとても美しかったです。
文章を原語で読んで、日本語でも読みたい。そのような欲求が沸き起こってくるひとときでした。
翻訳のお話についてはメルセデス・セブリアンさんの回でも書きましたが、もっと自由に横断的にあっていいのではないかなと今回も思いました。
ちょっと逸れますが以前、
ポール・エリュアール(Paul Éluard) の『自由』(Liberté)という詩をフランスの俳優ジェラール・フィリップ(Gérard Philipe)が朗読している動画を見つけて、併せて私も日本語訳を朗読したことがありました。畏れ多いので別だてのnoteにしていますがどこかにまだあります。自分の声の是非はともかく、とても気に入っています。ジェラールと共演できるなんて、夢みたいでした❤️💕(ひとり悦に入る)。
自己満足はさておいても、外国の文学を知るためのひとつのよい方法だと思います。
さらに言葉や翻訳の可能性については、こちらのnoteもたいへん深いと思いますので引かせていただきます。
作家・池澤夏樹が考える「日本語と編集」〈後編〉|千夜千冊 編集部
忠実に再現することはできず、感想ばかりになってしまいました。ごめんなさい。ヴァジェホさんとお二人の翻訳家のマリアージュともいえるセッション、たいへんおもしろかったです。
たいへん素敵な時間をありがとうございました。
さて、今日の曲です。
Sinerd O'corner『Femine』
たいへん聴きやすい音楽ですが、言葉は……全部は分からないのですが上記でいうところの『心地よい』言葉ではありません。ただ、よく『政治的』といわれますが、これは『歴史的』の方が強いです。くくり方にも「?」はあります。
『エリノア・リグビー』(Eleanor Rigby)の引用もいいなと思います。
この原稿は混沌とした月曜日に書いていました。文章も些か混沌としてしまったように思いますが、ご容赦ください。
それでは、お読み下さってありがとうございます。
尾方佐羽
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