『レンジの詩』
生ぬるいこの身体が電気でうごいてること、テレビのちんけなスピーカーに言われてはじめて思い出す。電子レンジを怖いと思ったそこのあなたは、いつまでそうして震えているつもりなんだろう、冷たい汗が乾くまえにいわなきゃ、ぼくらが星にのって回ってるってこと、明日も朝がきて、そしたら夜がくるってこと。夏にはアイスが食べたいでしょ、冬にはこたつで寝たいでしょ、あの日もらったあのことばを、まだ忘れたくないんでしょ。きみの砂時計のガラスは毎日撃たれるけど、ひび割れながらきみを守ってくれるよ、大丈夫、防弾仕様。何回ゆびでかぞえたって明日は一個しか来ないし、こごえるほど暗い夜だってボタンひとつで真昼のそら。さあ息をしよう、ゆっくりと死のう、愛が芽をだす温度のままで。