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【営業】アパレル店員さんに学ぶ「買いたい」と思わせるベネフィット

まず整理しておきます。

メリットとベネフィットの違い。

メリットは、商品やサービスに着目します。

「こんなに安い」とか「こんな機能がある」とか。

ベネフィットは、人に着目します。

「こうなれる」とか「こうできる」とか。


ビジネス書でもよく言われる話ですが、メリットばかり強調する営業マンは売れません。

売れるのはベネフィットを上手に伝えられる営業マンです。

先日、このことを実感する出来事がありました。


吉祥寺のあるアパレル店に行ったときのお話。

奥さんが面白い服があるから見に行こうと誘ってくれました。

見るとたしかに面白い服がたくさん。

キャラクターがプリントされたポップなものから奇抜なデザインのユニークなものまで、幅広く並んでいました。

その中で、ちょっといいなと思うパーカーが目に留まりました。


ただ、見るだけで買うつもりはありませんでした。

すると店員さんが声をかけてくださり、試着だけしてみることに。

そのとき店員さんと、こんな会話をしました。


店員さん「よくお似合いですよ~」

私「(はいはい・・・)そ、そうですか?」

店員さん「はい!どうしてこれが気になったんですか?

私「そうですね、犬と猫のデザインがかわいいなと思って」

店員さん「かわいいですよね~!どちらか飼われてるんですか?

私「はい、両方飼ってます」

店員さん「え~!両方飼ってるんですかあ!いいですね~!」

私「ははは・・・(なんか気分がいいな)」

店員さん「じゃあ!これ着てワンちゃんのお散歩されたら、めちゃくちゃかわいいですね~!!

私「おお、そうですね・・・!(ぼんやりイメージ、たしかに悪くない)」

店員さん「これ奥様のサイズもあって男女で着ても違和感ないです。お二人で一緒にお散歩されたら、すっごい素敵ですね~!!!

私「な、なるほど、、、いいですね!」


この流れでもう、感情的には買うことを決めてしまいました。

心の中で私は、自分が奥さんとペアルックでワンちゃんを散歩してるイメージを膨らませて、ウキウキワクワクしてます。

おわかりでしょうか。この店員さんのすごいところ。

ここに至るまで一切、商品である服のメリットを語っていません

これがもし、「この服は生地が柔らかくて触り心地がいいんですよ~」とか「今ならこのお値段で買えるんですよ~」とか、メリットばかり並べられたらどうでしょう。

たぶん私は、「あ、大丈夫です」とか言って、そそくさと店員さんから離れようとしたはずです。


さて、感情的には買うことを決めた私ですが、次に気になるのは「本当に買っていいのか?」というところ。

つまり、買うための理由ですね。


別に買わなくたって、他に服はもってる。

いま買わなくたっていい。

買わない理由はいくらでもあります。


でも、出てこないんですよね。

感情で買うのを決めてしまっているから。

こうなるとむしろ、「買うための理由、もっと言えば言い訳がほしい!」となるわけです。


ここで私がさらに驚いたのは、なんとこの店員さん、何も言ってこなかったんです。ニコニコしているだけ。

普通なら、ここで「安い」だの「手触りがいい」だのと煽り立てたいところ。

でもそれをすると、かえってお客さんは離れてしまう。

冷静になって「本当にいいのかな?」と考えさせてしまう。

培った経験で分かってるんだと思いました。


私は自分で買いたいと決めているので、こうなると自分で理屈をつけないといけません。

値札を見てみると、思っていたより全然高くない!

もうこれでほぼ決まりです。


サイズだけもうちょっと大きい方がいいかなと言ったら、店員さんはすぐに大きめのサイズをもってきてくれました。

もう、流れるようにスムーズです。

極めつけに、一言。

「よかったらこの服お持ちしておくので、他の服もご覧になってください♪」

完璧でした。

「いや、いいです、これ買います」

はっきり決意して告げました。


この店員さんが素晴らしかったのは、商品ではなく私の話をしてくれたこと。

どうしてこのパーカーが目に留まったのか。

動物のデザインが気になったということは動物を飼っているのか。

自分のことを聞かれて、しかもそれが答えても差し障りのない範囲で答えやすい質問。

答えたら今度はそれを掘り下げるようにして会話を広げてくれ、うまいことパーカーが私にもたらしてくれるベネフィットについて教えてくれる。

このパーカーを着た私はどうなれるのか、何ができるのか。

好意しかありません。

なにせ、押し売りになっていないんです。

ただただ、「良い人だなあ」「親切だなあ」という印象。

結局、最後まで店員さんは、パーカーの素材や値段についてすら、一言も口にしませんでした。


買うのを決めたのは私です。

店員さんは背中を押してくれただけ。

久しぶりに、気持ちのいい買い物ができました。


もちろん、パーカーも気に入ってます。

早速、奥さんと二人でお揃いのパーカーを着て、ワンちゃんの散歩をしました。

素晴らしい未来を実現できた私の満足度は、言葉に表せないほどです。

また、自分自身も営業として、普段の接客を振り返ってみる機会になりました。

自分が営業されてみるのは、本当に勉強になります。


また服を買おうと思ったら、間違いなくこの店員さんが私の脳裏に浮かぶことでしょう。

きっと期待をもってお店に足を運びます。

今度はどんな未来を見せてくれるのか、楽しみです。



営業に関するノウハウについてまた別の記事でも紹介できればと思いますが、気になる方は私の本にも書いてありますので読んで頂ければと思います。

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売れない営業マンが売ろうとしても売れないのは、お客さんとの間にミスマッチが起きているからです。


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