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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2024年12月の記事一覧

思い出の長すぎるバンド名

1985年(昭和60年)。中一の春。曇天の夕方。東京の港区。僕は同級生の仲良しN君とK君と下校するところだった。 学校の校門を出て20メートルほど歩くと、坂の向こうから背の高い外国人がこちらへ歩いて来る。皆、住宅街には似つかわしい真っ黒い服装。その集団はなにやら五~六人ほどいる。妙に足が細くて長い。観光客風では無いので怖い気もしたのだが、中学生の好奇心で我々は彼らに手を振ってみる。すると白人の集団は「こっちへおいでよ」的な雰囲気を示すのだ。詰入り学生服の我々はダダーッと彼ら

J-POP史上最強の裏名盤ASKA「Kicks」サブスク解禁

あなたの好きなクリスマスソングはなに? A「ぼくはワム!のLast Christmasかな!」 B「やっぱりマライアキャリーのあれよ!」 C「フッ!そこはCASTLEBEATのWishでしょうよ」 D「うるせぇ海外インディーオタク!てめぇはback numberのそこらへんのテキトーな歌でも聴きながら部屋でシコシコ一人寂しいクリスマスでも過ごしてろよバーカバーカ」 僕「いやいや君らそんなことよりもASKAサブスク解禁されてるかさ...」 J-POPが誇る最強の裏名

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2024 Best Selection(12月26日~1月12日)橋本徹(SUBURBIA)を始めとする 「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る 「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」 詳しい放送内容はこちら D-03 usen for Cafe Apres-midi https://music.usen.com/ch/D03/ Free Soulが30周

2024年年間ベストアルバム

2024年の年間ベストアルバムを25枚選びました。アルバムとしましたがミックステープも入れています。全ての作品の個別レビューを書いてあるので、そちらもご覧ください。それぞれの作品から一曲ずつ収録したプレイリストも制作したので、あわせて是非。 25. Yogi & Woof「Let Tha Dopeness Begin」西海岸のラッパーとノルウェーのプロデューサーのタッグ作。 高めの声質のリラックスしたラップが、Gファンクサウンドで楽しめる1990年代の西海岸ヒップホップ愛

¥100

THE 30 BEST ALBUMS 2024 -BIG LOVE RECORDS-

2024年もありがとうございました 今年も素晴らしい曲と作品とレコードに何度も感動させてもらいました レコードを購入し続けてくださった皆様、感謝申し上げます 2024年のベスト・ソングスに続きBIG LOVE RECORDS による2024年のベスト・アルバム30枚です こちらのコメントは書きながら思いついたのだけ適当ですが2025年の1月3日に金曜日恒例のBIG LOVE RADIOをやる予定なのでそちらで選んだレコードについて話したいと思います では 30位 Pri

ヒプマイを聴いたことない人におすすめするヒプノシスマイクの曲10選

音楽原作キャラクターラッププロジェクト、ヒプノシスマイク、略してヒプマイ。 二次元キャラクター達がラップでバトルするという設定を軸にドラマトラックにてストーリーが展開し、登場人物やチーム毎に楽曲が提供されて人気声優がラップを披露するという画期的な企画は2017年にスタートし、2024年末現在、物語はいよいよ佳境に入ってきました。 これまでに発表された楽曲は実に170曲を超え、舞台の曲を含めると更に膨れ上がります。 ヒプノシスマイクの音楽面における醍醐味は、ストーリーの核

Tyla 〜多極化する世界のアイコン

2023年末に大ブレークを果たし、2024年世界中を席巻した南ア出身の音楽家/シンガー「Tyla」。南ア発の新ジャンル「Amapiano」を世界の音楽地図に乗せた、新世代のグローバルアイコンが提示する価値を、流動化する世界情勢を背景に、若林恵が読み解く。激動の2024年の締めくくりの仮想対談。 Text by Kei Wakabayashi * * * サマソニ降臨 ──この記事は、南アフリカ出身の大スター、タイラに関するものだそうですが、先にお伝えしといたほうがいい

Marvin Gaye『What's Going On』(1971)

アルバム情報アーティスト: Marvin Gaye リリース日: 1971/5/21 レーベル: Motown(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は1位でした。 メンバーの感想The End End  "コンセプト・アルバム"のあるべき姿ってこれかも!設定があるわけでも、ストーリーを順番に語るでもなく、各曲を貫くひとつのムードが形を変えながら止まることなくずっと漂っていて、なんていうか、"ガワ"でやっていない感じが素晴らしい。  そして

Definitely日本一わかりやすいオアシス入門...Maybe

イナズマイレブンで真似できそうな技と言えばトリプルディフェンスだよね、どうも○代目です。 イナズマイレブン懐かしいですよね。僕はちょうど世代ドンピシャだったので学校でよく真似たりしてたんですけど、その頃の保健室といえばキラースライド(という名のシンプルな削り)で負傷者がごった返してましたよね。平成10〜15年生まれの皆さんならピンと来るはずです。冒頭で触れたトリプルディフェンスという技なんですけど、ゴールキーパーの円堂守の背中をディフェンダーの栗松と壁山が支えて守るっていう

【年間ベスト】2024年面白かった文章(Web記事)

今年も面白い文章がたくさんありました。 突然ですがそんな文章たちを紹介もとい押し語ります。 今回の対象は「文章」の中でも一番アクセスしやすい「Web記事」です。 前段(飛ばせもする)初めての企画なので、書きだした理由を3つほど挙げておきます。 ①文章って面白いよね(紹介したい) 音楽や映画、漫画などの「作品」は、メディア・個人によって「年間ベスト」なるくくりで年末に振りかえられます。それは世の中に作品がたくさんある(振り返る必要がある)から、面白いから、語りたい人が多い

静謐と暗澹が交錯する無機質的なヒップホップ|Obscure SSとは何者か?

2024年12月7日。世間ではクリスマスの準備が進み、年末に向けてより一層暖かな綻びを見せる人々が増えてきた。 私にとっても、この日は一年の中で自然消滅的に過ぎ去っていく一日である、と思っていた。このアルバムがリリースされるまでは… 「日本のヒップホップとは何か」という問いは、今もどこかで談論風発に意見が交わされていることだろう。私も時々考えていることである。 個人的な解釈をこの場で述懐すると、日本という国の人間性自体が、否定的で内向的な側面を持ち合わせていることから、それ

2024年間ベストアルバム50選

人は皆、誰もがそれぞれの年間ベストを背負っている――――――。 ということで、今年も若手からベテラン、西から東、北から南、ロックからジャズ、メタルからヒップホップ、エレクトロニックからフォーク、とにかく多くの傑作に出会えた。なのでその中から特別の50枚を選出して順位をつけた。このリストが皆様のひとつの出会いのきっかけになればこれ幸い。あと Apple Music と Spotify でそれに準じたプレイリストも作った。年末年始の休みの緩やかな時間にでも。 50. The

2024年ベストアルバム30

今年もこの時期になりました。2024年ベストアルバムです。2023年12月から2024年11月末までにnoteで紹介したフルアルバム(ほとんど新譜)の中で、これはというアルバムを30枚紹介します。ブラジルものは別に、e-magazine Latinaの関係者投票に寄稿する予定です。 今年も素晴らしいアルバムがたくさんありましたが、今回僕のセレクトで大きく例年と異なるのは韓国インディーズを6作品選んでいることです。どうか先入観を持たないで聴いてみてほしい、個性的な作品ばかりで

個人的2024年ベストトラック20選

あっという間に年末です。 2024年は、治安の悪化や先の見えない経済不況、そして政局混乱と、不安と猜疑心の増した一年だったように思いますが、私の音楽生活を振り返ると、「日本のオルタナティブな名盤」という記事を書き始めてから関連作品も含めて聴き込みに時間を費やした関係で、日本の作品を新旧ともに色々聴いていました。みの著「にほんのうた」も良いきっかけになったと思います。 今年の新作もそれなりにチェックしていたのですが、何度も聴き込むようなアルバムはあまり多くなくて、その一方で、