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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2024年6月の記事一覧

Tokyo Happy Coats『奥の細道』 【A-2】THCを調べ始めてみた、ものの。

■まず「トウキョウ・ハッピー・コーツ」でネット検索したら。 最初にグループ名をカタカナで検索をかけてみた(2024年3月時点)。出てきた日本語サイトは2つほど。 ひとつ目は、アメリカで日本の戦後ポピュラー文化を研究されている坂元小夜氏のコラム『ニッポンの歌を探して』である。それは2020年12月にアップされたもので、文中にTHCのプロフィールについて若干の言及があった。 このコラムによって、まず彼女らが”ハコモリ”という姓であることを知った。初めて聞いた姓で、とても珍

【社員インタビュー特別編】音楽ディレクター子安次郎が語る普遍的A&R論

BOØWY、ウルフルズなど数々のヒット作品に関わったA&R 子安次郎が語る社員インタビュー第三回。この記事では彼が音楽人生の中で培ったA&R論を語ります。( 前回までのインタビューはこちら ) ヒットを作るのはディレクターではなく「世の中」 ――前回お話してくださったウルフルズもそうですが、アーティストをブレイクさせるまでには試行錯誤の時間が必要ですね。今は世の中の流れが早い分、結果を出すまでのスピードが殊更求められている気がします。  デジタル化などで確かに時代のスピ

interview Nik Bärtsch:禅、合気道、浪人、儀式、ミニマル、ジャズ、ファンク(16,000字)

《ジャズ+ミニマル・ミュージック+ファンク+ECM》 これまでに誰も考えなかった不思議なコンセプトを体現し、しかも、ECMからデビュー。ニック・ベルチュはすぐにヨーロッパの現代ジャズ屈指の人気アーティストになった。 そのうえ、バンド名はRONIN=浪人、曲名にAWASE=合わせ、アルバム名にRANDORI=乱取り、などとついていれば、日本人なら気にならざるを得ない。 そんなニック・ベルチュに一度くらいは日本人が日本からの影響の話を聞いておくべきだと思い、今回、取材するこ

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今月の調子良いR&B Bootleg Pick Up (2024.6)

どもー。 今月もnosukeくんと調子いいブートレグの紹介やっていきます。 前々回みなさんめちゃんこシェアして頂いたのですが前回が全然全然全然シェアされなかったので、そこんとこ頼みますね! 我々は落ち込みやすいのです😠😠 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ nasty(esentrik edit) - esentrik オリジナル曲の印象はあまり無いがブートレグ界では大ベテランのesentrik。 nola bounce調の調子いいremixです。 彼は

KaworuMFが語るPlain Jayとの制作「自分がJayにプロデューサーとして信頼されていることを感じました」

仙台のラッパーのPlain Jayがリリースしたシングル「Change」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。 仙台のラッパーのPlain Jayは6月21日(金)、次なるミックステープ「Only One Jay」からの二曲目の先行シングル「Change」をリリースした。 Plain Jayはシリアスな情景・心理描写とラフさを両立したリリックを、フロウや発声を多彩に変化させて表現するラッパー。福島のプロデューサーのKaworuM

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2024上半期ベストトラック33選(6選)

えっ今年半分終わり?ていうか2020年代の半分が終わろうとしている?もう時間の流れに全然ついていけないのだが、それでも新しい音楽は容赦なく山のように毎週生み出される。というわけで今年も、自分が聴いた中で素晴らしいと感じた33曲を Apple Music と Spotify でプレイリストにしてみた。曲順はざっくりリリース順。時間のある方、梅雨の雨でやる気が削がれている方、あるいは作業用にでも、ぜひチェックを。 なおかつその中から特別にインパクトを受けた6曲を下の方に選出し、

映画『ボブ・マーリー:One Love』と「Redemption Song」の謎

ボブ・マーリーの伝記映画『One Love』を観てきた。 最初のうちはボブがイケメン過ぎて、カリスマ性や神秘性がが薄いなあと思いながら観ていたのだが、そこを含めて、リタ・マーリー・プロデュースの映画なのだと納得して映画館を出ることになった。エピソードの選び方も、ディテールの描き込みも、妻の視線を含んでいるからこその説得力が。 ボブも弱さを抱えた一人の男だった。主演のキングズリー・ベン=アデルがそこを上手く演じている。 回想シーンも切なくて良かった。幼さの残るボブとリタの恋。

2024.06.09 Distant Worlds: music from FINAL FANTASY

昨日に引き続いてDistant Worlds: music from FINAL FANTAS(以下DWFF)の日本公演に行ってきました。世界中で愛されるDWFFのコンサートが日本でも楽しめるのは素敵ですよね。1日目の様子は以下の通り。 2日目の様子を簡単に書きたいと思います。 01.国際フォーラム朝の様子2日目は11時開場、12時開演というゲームコンサートとしては早めのスタート。物販は9時半〜。ものすごく早い時間からでした。 ただ、CDを中心にあっという間に売れてしま

about 『AMERIICAN REQUIEM』

〈お断り〉 ビヨンセのソロキャリア8枚目のフルスタジオアルバム『COWBOY CARTER』のオープニングトラック。 アルバム制作のきっかけとなった個人的体験から建国の歴史まで、アメリカに問いかけ、祈りを捧げるレクイエム。 旗手たるビヨンセによって開かれる、壮大な「第二幕」がここに始まります。 歌詞日本語訳 Nothing really ends 真に終わりがあるものなんてない For things to stay the same 何事も変わらずあり続けるためには、

Dr. John『Gris-Gris』(1968)

アルバム情報アーティスト: Dr. John リリース日: 1968/1/22 レーベル: Atco(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は356位でした。 メンバーの感想The End End  冒頭から様子がおかしい!1曲目のイントロがギターなのかサックスなのかもよく分からないし、フレーズひと回し毎にLRがバツッと入れ替わる曲なんて聴いたことがない!!  やたらと低域が回るベース、ジメジメした反響、ドタバタしたドラム…宅録とはまた違っ

interview Tomeka Reid:チェロでジャズを弾くこと、作曲/キュレーション論、AACMについて(1,5000字)

僕がトミーカ・リードに注目し始めたのは彼女が自身のカルテットを結成して作品をリリースし始めたころだった。トミーカのチェロとメアリー・ハルヴァーソンのギターをフロントに、ジェイソン・レブキのベースとトマ・フジワラのドラムがリズムセクションを担うこのグループはそれぞれの演奏者の演奏は言うまでもないが、同時に楽曲の素晴らしさがこのグループを特別なものにしていた。 個々の演奏を最大限に反映する作りになっていて、それぞれの演奏のキャラクターがそのまま楽曲の個性に繋がっているのだが、特

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音楽の棲む所、「um」のopening live。

「um - lugar de música」とは? 僕たち山形ブラジル音楽協会は、2019年まで20年にわたって山形にアーティストを招聘してライブの主催を行ってきました。しかし様々な理由でコンサートの主催はやめました。その理由の一つは、自分達が安定していつでもイベントを開催出来る「場所」がないことでした。場所を予約したり(さらにはくじ引きだったり)、場所代が異常に高かったり、使い勝手が悪かったり、雰囲気が良くなかったり、会場側(特に公的施設)の口出しがうざかったり、などな

和レゲエ数珠繋ぎ-第50回- FLATT THE LAIDBACK

FLATT THE LAIDBACKと申します。 同志ケイタさんによる"意義のある"このコラムに寄稿出来て非常に嬉しいです。 和レゲエ。 うん。和レゲエとひとえに言っても様々なタイプがある様に思います。 まず圧倒的に多いのは"ウンッチャカ ウンッチャカ"というリズムのやつ。 所謂歌謡レゲエ的なタイプですね。 このタイプはもうホント無限に出てきますよね 笑 日本人にこのリズムは凄く馴染み易かったのか、演歌等にもよく取り入れられていたりしていて面白いですよね。 この類の中でトッ

NICKELMAN インタビュー 「気持ち良さ」にこだわるビートメイクと、アナログ/フィジカル媒体でリリースする必然性

私が「サウンドパックとヒップホップ」と「極上ビートのレシピ」の連載を行っていたメディア「Soundmain Blog」のサービス終了に伴い、過去記事を転載します。こちらは2023年5月19日掲載の「極上ビートのレシピ」の第5回です。 SpotifyやApple Musicといったサブスクリプション型ストリーミングサービスの浸透以降、リスナー数が急成長したインストヒップホップ。ここ日本でも活気溢れるシーンが形成され、その中から国境を越えて大きな支持を集めるビートメイカーも増加

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