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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2022年7月の記事一覧

ブレイクコアとアニメの関係性

三か月程前にBandcampが公開した「Demystifying the Internet’s Breakcore Revival」という最近のブレイクコアに関する記事が興味深かった。同時期、YouTubeにブレイクコアを扱った動画が幾つかアップされ、それも現代的なブレイクコアを理解するのに良い手助けとなった。 前途のBandcampが公開したブレイクコアの記事でピックアップされているNorm Corps、MAD BREAKS、Casper McFadden and MAN

【シリーズ第2回:黒人アーティストの人生】🎵ソウル(魂)を感じたい🎵

 このシリーズでは、私の大好きな黒人アーティスト、特に、1970年代、80年代に活躍したR&B、SOULミュージシャンを紹介しています。 ・・・さて、誰でしょう🎵 ヒント ファミリーゴスペルグループで11歳から歌っています。 キング牧師とともに活動しました。 ソウル、ブルースやR&Bも歌います。 ソロでもデヴューしました。 ラフ(ちょっとかさついた、荒い)な低い声です。 シカゴの人です。 生い立ち  1939年、彼女はシカゴのサウスサイド、33番ストリート

ニューエイジ・アンビエントを聴く④

ちょっと溜まってしまっていたけど、この9ヶ月位で聴いてたニューエイジ/アンビエントなアルバムたちのリスニング記録です。 過去の名盤を聴くのに参考にする情報源として、自分は各メディアや、RYMやAOTYといったサイトでジャンル別に検索して出てくるランキングを参考にすることが多いんだけど、このジャンルはPitchforkが2016年に発表している"The 50 Best Ambient Albums of All Time"を特に最初の第一歩として参考にしており、今回の記事のアル

大変なことを「チャンスだ」と捉えられるかどうか 茨城「Lucky Fes」の裏側 DJ DRAGON×糀屋総一朗対談3

ローカルツーリズム株式会社糀屋総一朗と、さまざまな分野で活躍されている方の対談、今回はクラブDJ、ラジオDJ、クリエイティブディレクター、ミュージシャンなどさまざまな分野で活躍されているDJ DRAGONさんです。対談の最終回は、企画プロデューサーを務める「LuckyFes」の裏話を語ってくれました。 茨城県民の誇りだったロッキンがなくなり……――ドラゴンさんはご自分の会社(株式会社神南)で、渋谷の、しかも神南という局所的な、ある意味ローカルなエリアで「街角に音楽を」という

【note公式で紹介!】結局ジャズってなに?日本語で読めるジャズ歴史書3選

\note公式に紹介されました!/ 以下リンクへ移設しました。 記事一覧へ戻る このnoteをフォローする

The Sound of Summer ~ シド・デイル

夏になるとシド・デイルの音楽が聴きたくなる。 シド・デイル(Syd Dale, 1924-1994)は、テレビ番組やラジオ番組のBGM(ライブラリー作品)を作ってきた英国の作編曲家で、どちらかというと裏方の職業音楽家。1960〜70年代に活躍したこの手の職業作曲家は他にもたくさん存在するのですが、シド・デイルの音楽の特徴はポップで高揚感・爽快感があるところ。この記事のタイトルにもあるように、夏に聴くのがピッタリな音楽『The Sound of Summer』なのです。僕は常

¥100

周縁で、静謐にサバイブする———Scott Orrとその主催レーベル「Other Songs」の真摯な運営

カナダのフォークシンガーであるスコット・オー(Scott Orr)が発表したアルバム2021年に発表したアルバム『Oh Man』を聞いた時、僕は真っ先に「静寂よりも静かなフォーク」という、いささかクリシェな感情的すぎる感想を抱いた。 彼の過去作と比べてもフォークトロニカの要素が高く、音の隙間がたっぷり用意されているからだろう。それにトラックの作り方がループを前提としているため、時間の流れを容易に感じさせないからだろう(これはつい最近発表されたスタジオライブ盤を聴いていて気付

【試し読み②】日本随一のブルースマン、吾妻光良の名著『ブルース飲むバカ歌うバカ[増補改訂版](電子版)』

16年の歳月を経て電子版として復刊した、日本随一のジャイヴマンで真のブルースマン、吾妻光良の幻の名著『ブルース飲むバカ歌うバカ[増補改訂版]』。 本書は本場ブルースマンの貴重なインタヴューや共演体験記、ブルースマン姓名判断、ブルース福笑いなどの抱腹絶倒のエッセイに加え、電子版には追悼記事やコージー大内をはじめとする日本各地の弁ブルースの紹介、さらにはブルース・コスプレ大会(!?)などを追加収録。ユーモラスに、時には涙とともにブルースを綴る、ファン待望の1冊となっている。

もうひとつのライナーノーツ —ケンドリック・ラマー『Mr. Morale & The Big Steppers』日本盤発売に寄せて—

誰にでもそれぞれの「The Art of Peer Pressure」があるのと同様に、誰にでもそれぞれの「Father Time」や「Mother I Sober」があると思う。これを読んでいるあなたにあなたなりの「Father Time」や「Mother I Sober」が無いというのであれば、それはそれは素晴らしいことだと思うけれども、僕はきっとあなたを信用できないだろう。ごめん、「信用できない」は言いすぎた。でも、たぶん、そういうペインボディを持たない人間、あるいはペ

¥100

interview Kibrom Birhane:エチオピア由来の音階・リズム・楽器で作る21世紀のエチオ・ジャズ in LA(9,000字)

エチオピアン・ジャズ(=エチオ・ジャズ)のレジェンドのムラトゥ・アスタトゥケ(Mulatu Astatke)の存在はクラブシーンを中心に世界的に何度かの再評価がされていて、フジロックにも出演したり、その人気は日本にも波及していた。 近年はエマホイ・ツェゲ=マリアム・ゴブルー(Emahoy Tsegue-Maryam Guebrou)、ハイル・メルギア(Hailu Mergia)、マームード・アーメッド(Mahmoud Ahmed)と言った名前も知名度上げつつある程度には徐々

¥300

MESHUGGAHによるMESHUGGAH全作レビュー

80年代後半から90年代初頭。ポスト・ファースト・メタル・タイムと呼ばれるメタルの過渡期は、多様性が花開いた時期だと言えます。様々な影響をメタルに昇華した個性的なバンドが数多登場した時代において、唯一、単独で独自の音楽スタイルを作り上げたバンドがいるとすれば、それは MESHUGGAH でしょう。1987年にスウェーデンのウメオで結成された MESHUGGAH は、仄かにジャズ・フュージョンの息吹を吸い込んだ若いスラッシュ・メタルの一つとしてスタートしましたが、90年代半ばに

穐吉敏子の世界一クレージーなファン、彼の夢

天井を仰いだら、コンサートポスターに覆われていた。 「全て同じ人、穐吉敏子ですよ」と盛岡の開運橋にあるカフェ・ジョニー店主、照井さんが言った。 92歳の伝説的なジャズピアニスト、穐吉敏子より認められた「世界一クレイジーなファン」のお店を訪れた。1974年から穐吉さんの音楽を真剣に聴いてきた照井さんは、「穐吉敏子JAZZミュージアムを設立する」という夢を、まもなく叶える。穐吉さんを知っている人にも知らない人にも、彼女の経歴を発見してもらい、このように努力すれば、誰でも才能を

〈Entr'acte〉の活動終了に寄せて

グラフィックデザイナーのAllon Kayeによってロンドンで設立、そして後年ベルギーのアントワープに拠点を移し運営されてきた実験音楽/電子音楽などを主に扱うレーベルEntr'acteのクローズが発表されました。 2010年代の実験音楽を語るうえで外せないレーベルの一つであり、個人的にも特に2014~2016年辺りにはそのリリースを追うのが本当に楽しく思い入れ深いレーベルの一つです。ということで好きな作品とか、思い出語りの記事です。 まずは以下にオーナーのAllonからのメ

シティポップのジャケットに「椰子の木」はどれくらい写ってる?機械学習で解析してみる

80年代の「夏」をデータで読み解いてみる漫画家のとり・みき先生が、80年代の音楽に関連してTwitterで「いわゆるシティポップスもフュージョンも"夏"が商品だった時代」とつぶやいておられました。 一方2022年は日本各地で観測史上最も早い梅雨明けを記録し、6月だというのに40℃を超えたり、熱中症警戒アラートが出される日が続くなど、「夏」は「商品」というよりも、地球規模の気候「危機」の象徴のような側面が強まってきているように感じます。 当研究室でも気象庁データから東京都の