518.才能も能力も、何よりも文才はない。あるのは、アイデア一つ。人と違うことをするしかないんだ。【出版論⑯】
しかし、私の2冊目の本はこうして、夢破れた...。
しかし、さらに数か月過ぎてから、自己破産を終えた社長から、私にお礼とともに、連絡が入った...。
それは、「あなたの本を出版したい...」という。
え?
どうしたの?
社長?
頭がおかしくなったの?
「あなたの本を出したい...」
👆前回より
後に、驚いたが、別に頭がおかしくなったわけではなかった...。
当時の社会情勢は、弁護士さんや弁理士さんたちが「知的財産権」または、「無形財産」とも言われ、著作権の本よりも、どちらかといえば「発明」のための専門書の方が多かった時代。
そして、ほとんどが法律書の説明や解説書ばかりで、また専門家対象で難解なものが多かった。
その点、私などは法律の専門家でない、あくまでも一般の著作者、創作者側の立場だった。そのため、一般の人たちには入り込みやすい内容だと言われた。
そこで、一般的な「知的所有権」という言葉をタイトルに使用した。
そして、この社長は、もう、自分では発行できないが、友人の出版社を紹介したいという。また、すでに私の本を読み終えており、出版したいという。
なんという奇跡、なんという運命なんだろう...。
第1冊目「著作権ビジネス活用法(近代文藝社)」の1998年12月15日の発行からわずか半年後の超スピードとなった。
約340頁、定価は2,400円。そして大判サイズ。
【主な内容】
第1章.誰もが今すぐ取れる知的所有権/第2章.工業所有権(特許権)のしくみ(目的・内容・特性)/第3章.実用新案権のしくみ(目的・内容・特性)/第4章.意匠権のしくみ(目的・内容・特性)/第5章.商標権のしくみ(目的・内容・特性)/第6章.工業所有権出願書類の作成要領(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)/第7章.著作権の仕組み(目的・内容・特性)/第8章.誰もが保護を受けられる著作権/第9章.著作物の利用について/第10章.著作物の権利侵害について/第11章.著作権登録の必要性/第12章.著作権登録願書の書き方/第13章.知的財産権による法的戦略「知的所有権実用契約サンプル」/第14章.知的所有権の関連資格でビジネスに生かそう。
こうして、第2冊目がこの世に出た...が...。
「出版契約」が変更となった。
それは紹介してくれた出版社さんはまだ会社を興したばかりのため、「印税の最低保証」ができない。
「印税の最低保証」とは、たとえ本が売れなかったとしても著者の印税を最低保証してくれる。
本が出ることはありがたい...。
しかし、原稿料が入らない。私はそこでこんな条件を出して見た。
それは、「印税の最低保証分」を現物で下さい、と伝えた。
もちろん、その出版社さんは喜んだ。
では、その「印税の最低保証分」の内訳は、本来であれば定価の10%。1冊2,400円ですから、240円。全部で6,000部印刷するという。
そのうち、1,000部を著者の印税保証分として現物支給するという。
すると、1,000部×240円=240,000の印税となる。
240,000÷240円=1,000冊となった。
そして、1001部からは別途印税を支払ってもらうことになった。
その場では損したのか、得したのかがわからなかったが、1,000冊私が売れば、なんと2,400,000万円の収入になる。
捕らぬ狸の皮算用だが、約3年かけて全部売った。
どうやって売ったかというと著作権の講演会のたびに本を持参して参加者の方々に売り歩いた。
3年間で約1,000冊販売。
本を出すことによって、講演会の仕事が増える。
講演会が増えれば本の販売ができる。
こんなことを学んだ2冊目だった。
それ以来、私は自分の本を現在も売り続けている。
人はおかしいという人もいますが、出版社さんも一生懸命に売ってくれているのですから、それも私の本を。
ならば、著者も一緒になって売るべきだと思っている。
著者と出版社はまさに一心胴体なのですから。
無名な人間はあぐらなどかいている暇はありません。
あれから、随分と時が過ぎたが、わずかこの数十年で時代はさらに大きく変わった。それは、ネットの普及とともにスマホが登場したこと。
ノートパソコンもさらに軽量化し、Xやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS社会に突入した。
いつの時代でも大不況には中小企業を含めて出版の世界も次々と自然淘汰し始めた。この間、出版界も「М&A」ばやり。
言葉こそ、「М&A」というきれいな言葉だが、実質「売却」には変わりない。 会社倒産の道を選ぶか?同時に自己破産すべきか?それとも会社ごと譲渡する。
つまり「売却」する以外選ぶ道がない。
もちろん、コロナ化も影響した。物価の高騰、人件費の値上げ。材料代、資材、印刷代、なんと郵送料まで値上げ。
これでは資金力のない出版社などは手も足も出ない。
しかし、出版を止めたときがおしまい...。
止められない自転車操業。
そして、苦肉の策がここ10年くらいだろうか?
「自費出版」という方法を大手出版社も取り入れるようになった。
「通常の出版」(出版社負担)から、著者が印刷代からすべての経費を負担する「著者負担」。
もちろん、売る努力は惜しまないが、現実はお金を積まれれば「通常出版」に見せかけた自費出版などもある。
読者にはわからないが、やはり、何かが違うことくらいはわかるかもしれない。また、「出版物の買い取り」条件付き出版などもある。
つまり、著者が発行された本を買い取る仕組みだ。
しかし、これも形を変えた自費出版ともいえる。
また、出版社が電子書籍の自費出版なるものも現れてきた。
この場合は編集者の手間だけでリスクが少ない。
ただ、広報、宣伝活動がむずかしい気がする。
本は、デジタルとペーパーブックは同じようなものだけれど、同じではない気がする。音楽の世界も同じ。
無料でなんでも好きな曲が聴ける時代なのに、CDやアルバムを購入する人たちも少なくない。
これもペーパーブックと同じ。
自分の「所有物」にしたいという人の思いがある。
例えば、1,000冊の本を本棚に置いておくにはかなりの場所が必要だが、電子書籍ならば一切の場所を取らない。しかし、手元に置いときたい、と考える人もいる。これからは、さらに出版界や出版の在り方がさらに変化していく気がする。
さて、3冊目。たった1冊が3冊分となって同時に売り込み続けた…。
相変わらず、丁重なお断りのお手紙が増え続ける。しかし、これは私の大切な宝物データ。まるで趣味のように現在もきちんとファイルに入れてある。
そして、3冊目はビジネス書にチャレンジしてみた。
だが、どこも反応がない...。
私の最初の目標は、10冊出版する。
そして、ネームバリューをつけて違うジャンルにチャレンジしていきたい...。
確かに無謀かも知れない。
才能も能力も、
何よりも文才はない。
あるのは、アイデア一つ。
人と違うことをする。
そして、またまた不思議なめぐりあわせが起こった...。
なんと、出版社で講演依頼が舞い込んだ....。
参加者はほとんどが編集のプロフェッショナルさんたち。
どうしょう?どうなの?
ええ、私はどうなっちゃうんだろう?
続く~
ここから3冊目が決まった....。
※さて、毎回、過去作品ですが。「noteと著作権・noteの著作権」として、お役に立ちますよう5作品ずつご紹介いたします。もうすぐ600作品超えてしまうとバックナンバーから消えてしまいますので、(自分の「記事」には残ります)消える前に5作品ずつ掲載することにしました。その後は過去記事のバックナンバーマガジンを作成して保存します。それまでお時間がありましたら「著作権の基本編」をお読みください。みなさまのお役に立てば幸いです。
ラインスタンプ新作登場~
「noteと言う世界」第3章書くnote「出版論」シリーズを始めました。どうか引き続きお読みください。
また、日々、拘束されている仕事のため、また出張も多く、せっかくいただいているコメントのご返事。お問い合わせメール、お手紙等のお返事がかなり遅れています。しかし、必ず読ませていただいて、翌週には必ずご返事させていただいていますのでどうかお許しください。
では、また(月)(水)(金)にお会いいたしましょう。
いつも読んでいただいて心から感謝申し上げます。
※本内容は、シリーズ「noteの世界」というテーマで著作権等を交えて解説、感想及びnoteの素晴らしさをお伝えしていく予定です。
私たちの著作権協会は市民を中心としたボランティア団体です。主な活動は出版と講演会活動を中心として全国の都道府県、市町村の「著作権・肖像権・SNS等を中心」にお伝えし続けています。皆様から頂いた問題点や質問事項そのものが全国で困っている問題でもあり、現場の声、現場の問題点をテーマに取り上げて活動しています。
それらのテーマの一部がこのnoteにしているものです。ぜひ、楽しみながらお読みください。
noteの世界は優れたアーティストの世界です。創作した人たちにはわからないかも知れませんが、それを読む人、見る人、聴く人たちがリアルに反応してくれる場所です。もし、本格的なプロの方々が参入してもこの凄さには勝てないかもしれません。プロもマネのできないnoteの世界。これからも楽しみにして皆様のnoteを読み続けています。
私たち著作権協会では専門的なことはその方々にお任せして、さらに大切な思いをお伝えします。
本内容は、全国の都道府県、市町村、学校、NPО団体、中小企業、noteの皆様、クリエイター、個人の方々を対象としているものです。また、全国の職員研修での講演先のみなさまにもおすすめしています。
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