【読書】「パイドロス」プラトン(著)
小林秀雄や池田晶子が愛読した「パイドロス」。
本の内容は、高名の弁論家リュシアスに心酔するパイドロスが、「恋(エロース)」「弁論術」の本質をめぐってソクラテスと対話を交わすというもの。
「ひとがどんなことを論議するにしても、そこからよき成果をあげようとするなら、はじめにしておかなければならないことが一つある。それは、論議に取りあげている当の事柄の本質が何であるかを、知っておかなければいけないということだ。」
これは本書40ページに出てくるソクラテスの言葉だが、あらゆるものに共通する見解といえる。
多くの人が考察に失敗するのは、事柄の本質を自分たちが知っていない事実に気づかないことにある。したがって、互いに思い違いしたまま話を進めることになるので、意見が交わらない。
考えてみれば当然のことだが、このような思い違いは、日常にあふれている。