NHKラジオ深夜便 絶望名言 (頭木 弘樹・NHKラジオ深夜便制作班)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつも聴いているpodcast番組(ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」)の企画で、ジェーン・スーさんと堀井美香さんがそれぞれ書店で自分が気になった本を買って紹介していたのですが、その中で堀井さんが手に取った一冊です。
私もその奇抜なタイトルに惹かれたので、近所の図書館で見つけてきました。(ちなみに最近、続編も含め一冊の文庫本として再出版されたようで、堀井さんが買ったのはそちらの方だと思います)
NHK〈ラジオ深夜便〉の人気コーナーを書籍化したものとのことで、期待どおり興味深いくだりは数多くありました。その中から特に私の印象に残った部分をいくつか書き留めておきます。
まずは、冒頭、絶望名言の選者頭木弘樹さんが “絶望名言はどのようなものか” を語った一節です。
確かに、心底沈み込んでいるときには “将来の光を語る言葉” は眩しすぎることはあるでしょうね。
次は「ドストエフスキー」の章。
“同情” についての頭木さんの言葉です。
なるほど、“人の痛みを知る人” ですね。昨今しばしは「・・・に寄り添う」というフレーズを耳にしますが、その安易さとは似て非なる心の動きです。
そして、「太宰治」。
日本の作家で “絶望” でイメージする人といえば、やはり彼です。誰もが思い浮かべるでしょう。
太宰はフランスの詩人ヴェルレーヌが好きだったとのこと。
まさに、辛いときには “絶望名言” が救いになるという実例です。
そして、最後は「シェークスピア」。
「マクベス」に登場している「明けない夜はない」という台詞は “定番の慰めの言葉” ですが、「明けない夜もある」と考えたくなるときもあると頭木さんは言います。
さて、本書、とても面白い切り口の著作でしたが、ラジオ番組のコーナーはまだまだ続いています。
それらの内容を採録した第2作目も世に出ているようなので、また、時間を作って読んでみたいと思います。