中世芸能講義 「勧進」「天皇」「連歌」「禅」 (松岡 心平)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
久しぶりに歴史関連の書物を手に取ってみました。
著者の松岡心平さんは東京大学名誉教授で、能楽の専門家です。
本書は、日本中世芸能の世界を「勧進」「天皇」「連歌」「禅」という四つの切り口から論じたものですが、講義形式で語りかけるような文体で書かれているので、素人でも入り込み易いですね。(内容が理解できているかは別物ですが・・・)
まずは、最初の「勧進」の章で書き留めておくべきくだり。
勧進聖による新たな芸能ダイナミクスの創造です。
もうひとつ、初めて知った「早歌」について。
「早歌」というのは、武士の時代、鎌倉から全国に向けて発信された「歌謡」です。松岡氏は、この「早歌」を “日本の歌謡史上革命的”な歌謡 だと指摘しています。
京都ではなく「鎌倉」発の文化が、京都にも大きな影響を及ぼしたという点が極めて画期的でした。
さて、本書は「中世」が舞台なので、松岡氏の論考のところどころに網野善彦教授の指摘が登場します。
今での記憶に残る、中世の経済活動において「海」が果たした役割、「百姓」の実態等々、初めて網野教授の著作を読んだときのインパクトは大きかったですね。
今度は、久しぶりにそちらにも手を伸ばしてみましょうか。
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