おっさん社会が生きづらい (小島 慶子)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつも聴いている大竹まことさんのpodcast番組に出演している小島慶子さんの著作です。
小島さんは元TBSアナウンサー、今はフリーとして多方面で活動中ですが、その小島さんと5人の識者の方々(清田隆之さん・多賀太さん・熊谷晋一郎さん・平野啓一郎さん・上野千鶴子さん)との対談集です。
テーマは、現世に蔓延る “おっさん性”。
「男性社会の価値観」が生起させる不条理なことがらをはじめとした様々な “おっさん社会” の実態を語り合います。
対談中には、単なる「男性社会批判」に止まらない面白い論点やコメントも記されていたのですが、正直なところ、小島さんが提起している議論になかなかどっぷりとは没入できませんでした。ちょっと私には “速足” 過ぎたようです。
とはいえ、その中でも比較的入りやすかったのが作家平野啓一郎さんとの対談のパートでした。
平野さんの以前の話題作をとりあげた “カッコいい” or notの肌感覚は私でもかなりの納得感がありました。
たとえば、こういったやり取りです。
実名を明らかにして積極的に意思表示する人は “カッコいい”、それを匿名で誹謗中傷する輩は最高に “カッコ悪い”、極論を言えばその主張内容に賛同するか否かはともかくとしてでも、私はそう思います。
そして、もうひとつ、東京大学名誉教授上野千鶴子さんとの対談の中から。
ちょっと以前に話題になった2019年4月東京大学学部入学式での上野さんの祝辞の一節です。
このメッセージは、新自由主義的思想の対極の考え方を示していて、とても大切なことを伝えています。この言葉が心に刺さる政治家も数多いことでしょう。
過去20年間にわたり歪められ続けた現在の日本社会の実相を振り返るにつけ、その大多数の人々の生活を少しでも生きやすいものにするには、ここに上野さんが示した考えや彼女が求めた若者の行動が、大いなる力になるのだろうと思います。