この人から受け継ぐもの (井上 ひさし)
「九条の会」関係の岩波のブックレットで寄稿文は読んでいるかもしれませんが、一冊の本になっている井上ひさし氏の著作を読むのは初めてだと思います。
「吉里吉里人」もそのボリュームに気後れしてまだ挑戦していません。
そういう点では、井上ひさし氏といえば、私としては、「ひょっこりひょうたん島」をはじめとした放送作家としての活躍が最も身近なものですね。
さて、本書は井上氏の講演や評論をまとめたものですが、それらのテーマは「氏の関心を惹いた人々」です。対象として登場するのは、吉野作造・宮沢賢治・丸山眞男、そしてチェーホフ。
それぞれの人物の章の中から、2・3のフレーズを覚えとして書き記しておきます。
まずは、「民本主義」を唱え大正デモクラシーを牽引した政治学者で思想家の吉野作造。
彼の仕事に対する井上氏の評価です。
次は、宮沢賢治。
この章で井上氏は、宮沢賢治を語るとともに、その賢治の生き方を材料に自分自身の演劇論にも触れています。ただ、ここにご紹介するのは、やはり賢治の代表作についてのくだりです。
丸山眞男氏の章(この章は、丸山氏礼讃です)は飛ばして、ロシアの劇作家チェーホフを取り上げた第4章。
井上氏はチェーホフの喜劇作家としての思想の礎石を以下のように語っています。
さらにこう続きます。
私は実のところチェーホフの作品に触れたことがない(注:2011年当時)のですが、この章を読むと是非とも手に取ってみたいと思いますね。
そして最後は、「笑いについて」のエッセイから。
井上氏は「笑い」については一家言もっています。が、歴史に名を残す著名な思想家たちもこの「笑い」を取り上げていました。
驚きです。私の大好きな笑いの達人二代目桂枝雀師匠は、どうやら「カント学派」だったようですねぇ。
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