ゲンロン戦記 -「知の観客」をつくる (東 浩紀)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
ネットでも話題になっている本なので、手に取ってみました。
著者の東浩紀さんは哲学を専門とする批評家として有名ですが、本書はそういったジャンルの著作ではなく、一見、彼が立ち上げたビジネスにまつわる奮闘記のように見えます。
ただ、ビジネスに関するあれこれのエピソードにはあまり興味は抱きませんでした。
失礼な物言いになりますが、発生したトラブルは、社員の使い込み・放漫経営・思い付きレベルのビジネスプラン・懲りない同じ失敗・・・、正直なところあまりにも無邪気なレベルでのドタバタですね。
ちょっと前に、西和彦さんの「反省記」を読んだのですが、ビジネスストーリーだとすると密度も深度もあまりにも差があります。やはり、東さんの著作ですから、「ビジネスやマネジメント」にかかる “気づき” といった内容を期待するべきではないのでしょう。
ということで、改めて、本書を読んで東さんの哲学の “リアル” を感じたところをひとつふたつ書き留めておきます。
まずは、東さんのいう「観光」というコンセプトについて。
この「観光」というコンセプトの説明はストンと腹に落ちますね。
もうひとつ、昨今の「新型コロナ禍」における価値観の変化について。
この東さんの哲学の実現のために「ゲンロン」の営みが存在していたのですが、新型コロナ禍で、従来の「ゲンロン」の主たる活動が実行できなくなりました。
こういった状況への対応については、まだ模索中とのことですが、私も、東さんが「ゲンロン」で目指した “誤配の場” すなわち “リアルな体験(オフライン)” の重要性を感じている一人です。
こういった “ストレスフル” な状況下、新たな “誤配の場” を求めて「ゲンロン」がどういった具体的アクションにトライしていくのか、そしてそれがどの程度の影響力を拡げていくか、これは結構楽しみですし、大いに期待したいですね。
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