2020年からIYO夢みらい館で開催している「てのひら小説講座」受講生作品のマガジンです。
私にはどんなジャンルでもごはんを作る時に心掛けていることがあります。 それは ◎私も食材も調味料も仲良しでいる ◎どんな食材も喜んで受け入れる ◎素材の味が際だつシンプルな味付け ◎ゆっくり、丁寧に、心を込めて ◎ケの食事で魂に響く食事を届ける こんな想いで試行錯誤しながら作っています。 この約1年でこの想いは明確になり、これからも大切にしていきたいというものになりました。 やりたくないと頑なに守っていたものを破り、いつしか料理をお出しするようになり、豊かさをいただく
自然の中にいると落ち着く 森の中を見渡すと鳥の声、川のせせらぎ、木漏れ日… ん!!! 電線。 こんな山奥まで通して、環境破壊だよ。 正直こんな場所に電気なんかいらないでしょ。 「ねー みんな」 と私は木々や草花、風、光、太陽とみんなに話しかける。 「最初はびっくりしたけど、今ではここの住人だよ。 毎日、同じ時間をここで過ごしてる。」 驚きだった。 迷惑だよ と返ってくると思っていた。 もう一度周りを見渡す。 すると、意外にも私の足元は軽やかなステップを踏んで
森の中にある小さな村に、いつも笑顔がすてきなうさぎの女の子が2匹暮らしていました。2匹とも素敵な笑顔。1匹はキラキラとした笑顔のルリ、もう1匹はおっとりとした笑顔のランと言います。2匹はとても仲良しです。 「ルリちゃん、今日もすてきな笑顔だねぇ。」 村の人にあいさつされるとルリはにっこり笑顔。ぴょんと飛び跳ねて「ありがとう」と返事をします。 「あら、ランちゃんもすてきな笑顔ね。」 そう言われ、ランは立ち止まって微笑み「ありがとうございます」と一礼をします。 ある日、2匹でお
空気の流れる寝室で、たくさんの呼吸を感じながら横たわる。 いつかの窮屈さはどこかへいってしまっていた。 今夜はまん丸お月様がいてくれるので、部屋の電気はお休みしている。 “私たちのこと分かる?” 実家に帰ったら歓迎されると思っていたが、そうでもなかった。 親に直接は言われないけど、同じ空間にいてもいい気分ではない。 でも、1人で暮らしていたらあの時のなんとも言えない感覚を思い出して、本当に病気になってしまいそう。 あの時に戻ってしまうのが怖い。だから今はここにしがみついて
リビングで外を眺めながらさっき入れたばかりの紅茶を一口。 ホッと一息つく昼下がりだ。 庭の植木たちが太陽の光を浴びてツヤツヤと光っている。 “私たちの声、聞こえてる?” うん… 今日もまただ… 私は大学を卒業して教員になった。 実家から離れた場所に勤務が決まり、一人暮らしを始めることになった。 ひっそりこっそり育てていた多肉はもちろん相棒として持って行くからね…。 仕事が始まると日々の目まぐるしさに驚いた。 子供たちをまとめることがどれだけ大変なことか。 でも、何かに
今夜は心なしかゆっくりとした呼吸で横になっている。 窓越しにはオムレツのような月。 窓辺につれてきたシロツメクサが一緒に月を眺めてくれている。 締め切った部屋なのに不思議とスーッと風が通ってゆくような感じがする。 “私たちの声、聞こえてる?” あ… あれからというもの自分の部屋で草花を愛でることはあっても、人前で草花の話をすることはめっきりなくなった。 私は教室で何をしたらいいかを探し求める中で、1つの結論にたどり着いていた。 勉強すればいいのだ。 ぽっかり空いた穴
庭を見ながらぼーっとする昼寝時。 時々聞こえる車のエンジン音にはっとして振り返る。 さっきお昼ご飯を食べたばかりで身体は満たされている。 お外でランチもいいけど自分で作ったごはんが一番安心するの。 “さぁ、お昼寝タイムだね”と言わんばかりの太陽のぬくもりについついうとうとしている。 足先の細胞から眠りにつく感覚。机と頭の距離がぐっと近づく。 あぁ、頭の細胞までもが眠りについていく。 “私たちの声をきいて。” またこの声、ということは私は眠っているの? そうだ、私は納得い
息が詰まりそうな寝室にダブルベッドが寂しげに1つおかれている。 私はそのベッドの上で窮屈さを感じながら外を眺めてうとうとしていた。 今夜は新月なので、星がきれいに見える。 あぁ、瞼がおちて現実と夢の境目がわからなくなってきた。 眠りについたのだろうか。遠くの方で声がしている。 “私たちの声をきいて” ふと、草花の声が聞こえていたことを思い出した。 小学校低学年頃だっただろうか。 草花に話しかけてはひとりの時間を楽しんでいた。 休み時間は一目散に運動場へ行き、草花とおしゃ
いつもなら学校の日だけど、今日はお休みです。なぜなら、たくさん雪が積もったから。学校は休みだし、雪は降っている。けんたは朝から大はしゃぎです。 「よーし、雪だるまを作るぞ」 張りきっています。お昼ご飯を食べることも忘れて必死になって作ります。 「やったぁ!ものすごいやつができた。」 けんたの身長と同じくらいの雪だるまが出来上がりました。けんたは満足してご飯を食べ終わるとうとうと…。 「雪だるまさん…。むにゃむにゃ…。」 「ふふふ、疲れたのね。雪だるまと遊んでいる夢でも見てい