「森田療法は怪しい」 僕の吃音は治ったけれども、絶対おすすめする訳ではない理由
Twitter界隈には、吃音で苦しんでいる人がたくさんいるように感じます。
吃音で苦しんだ経験のある私には、とてもよく理解できるのですが、何かに追いかけられるような地獄の苦しみは今考えても嫌なものです。
当時、何か治す方法はないかともがき、本屋さんでさまざまな心理療法の本を読み漁っていました。
そこで巡り会えたのが森田療法です。
当初、名前に「森田」と人の名前が入っている療法は、かなり怪しいと思っていましたが、少し読んでみて「これは、自分と同じ症状ではないか!」と直感しました。
そこに書いている症状が、自分の症状と同じでした。
吃音の症状が同じという訳ではなく、対人恐怖でも赤面症でもその症状で悩んでいる人の考え方が、自分の吃音と全く同じという意味です。
そこから森田療法の本を5冊ほど読んで、「僕の吃音は、たぶんこれで治る」と確信しました。
残念ながら完全に吃音が気にならなくなるまでは少し時間が掛かりましたが、今では吃音のことはほぼ気にならなくなりました。
そこで吃音の人には森田療法をおすすめしたいのですが、悲しいことに森田療法の知名度がかなり低いことが致命傷だなと感じています。
森田療法とは
森田療法は、ほぼ100年ほど前に森田正馬氏が創始した日本独自の療法です。
多少の解釈の違いはあるものの、当時の考え方をそのまま現在も踏襲し、しかも一部の症状には非常に成果を上げている療法です。
時代的には、心理学ではとても有名なフロイトと同年代です。
フロイトの心理学はその後、ユングなど引き継がれ心理学の主流になりました。
最近の日本の心理療法は、認知行動療法が主流と言われています。
ただ少し前から認知行動療法が森田療法に近づいてきているという話をする専門家もいらっしゃいます。
精神科医で多数の本を出している和田秀樹先生も森田療法を基にした書籍を複数出しています。youtubeでもたくさん動画を上げています。
和田秀樹先生の動画で最近知ったのですが、「フロイトの精神分析で治った人は非常に少なかった。フロイトは、いい医師ではなかった。」らしいです。
それに比べると森田療法で治った人は多くいます。
また2022年2月に出版された「プレジデント」では最近の「精神科心療内科と裏側」といる表紙でさまざまな最新の心理療法の特集がありました。
そこで多くのページに森田療法についての掲載がありました。
今、Twitterを見ていると時々森田療法を知らない人が、森田的なツイートをしてたくさんいいねをもらっています。
「自分のありのままが出す」「考えるよりまず行動」「怒りがわいてきたらまずは落ち着こう」など
これらは森田療法では基本として理論的に勉強するところです。
森田療法は、実は理論的です
「森田療法は怪しい」と感じる人は、内容が分からなくて、その割に治る人がいるということではないかと思います。
(当初の私のように名前に「森田」が付いているだけで怪しいと感じる人も多いと思いますが。)
一般的に何をしているのか分からないのに人が集まっていると「怪しい」と感じると思います。
人がたくさん集まっていてアイドルグループのコンサートがある場合、納得すると思いますが、なぜ人が集まっているかよく分からない時に絶対怪しく感じます。
それと同じだと思います。
HSPや繊細さん、マインドフルネスのこと
最近は、人の思惑を気にしている人をHSPや繊細さんと呼ぶようです。
ナイスネーミングだと思いました。
森田療法の場合、森田神経質と呼びます。(ちょっと固いですね)
森田療法に少し似ているところのあるマインドフルネスも有名ですが、マインドフルネスは仏教の瞑想法がきっかけとなって始まったと言われています。
理屈からするとマインドフルネスは怪しさ満載なのですが、はっきり言ってマインドフルネスの方がよいイメージで日本に定着しているように感じます。
マインドフルネスもナイスネーミングですね。
日本人は人の思惑を気にする人が多い国民と言われているので、海外から入ってくる療法より日本で作られた療法の方が効果あるような気もしますが、マインドフルネスの方がイメージがいいのは、皮肉なところです。
結局、森田療法は怪しくない
知名度がないことと、誰もが治るという保証はないので、森田療法を全ての人にすすめようとは思いません。
それに私は吃音を森田療法で治った経験者ではありますが、専門の医師ではないのでそこまで図々しい人間ではありません。
森田療法で地獄の苦しみから治った人には、森田療法のファンになっている人も多いのですが、精神科医の先生の中でも森田療法を知らない人も一定数いるようです。
なので、素人の方からすると森田療法を勉強することに不安を感じる人も多いと思います。
ただ、Twitter界隈で時々みる地獄の苦しみを味わっている吃音者に言いたいのは、一度森田療法を勉強してみては、と言うことです。
吃音では言友会や日本吃音協会が有名です。
これらの団体は、吃音を治す組織と最近まで思っていましたが、大枠は吃音と共に生きようと吃音と共存している団体のようです。
自分の苦しみに共感してくれる人が周りにいるだけでも心強いと思いますが、もしも治る可能性があるのであれば、森田療法を勉強してみてはどうでしょう!と提案したいと思います。
自分の吃音を治らないとあきらめる覚悟があるのであれば、治したいという自分の欲望に「あるがまま」でいいような気がします。