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豆味噌

大豆に麹を発生させて仕込む、
豆味噌。

味は8割の人には不評だが、
もう10年以上は豆味噌を食べて生きてきました。

多少の難易度はあるけども、
まぁ、やればそれなりにいいものができることはわかりました。

ただ本来は、
家庭用で作るものではない。

そのため、課題は
どこまで良いもの、
本物(お手本)に近づけていけるか、
ということ。

以前は、知多半島の宝山味噌を手本に
していました。 今は、八丁味噌を手本にしています。

宝みそは、以前から好きだった
味噌であること、

また偶然にも私の和食の先生とも言える野崎洋光さんが料亭で使っているということもあった。

野菜そのものの味、
旬を大事にする考えは、
生活環境が変わった今でも変わらない。

宝山味噌は、大豆で麹を作り、お米が入らない豆味噌。

岡崎の八丁味噌と同じように蔵に住み着いた菌を生かして作られる。

仕上がりまで二年以上かかる。

名古屋、東海地方では、お米が加わらない豆味噌が主流ですが、

豆味噌を好まない人が
多いのは事実です。

私は今は豆味噌一択というくらい好きですが、実家の家族等は

豆味噌が好きではない。

嫌われている豆みそを作るのは、どうかとも思ったことはある。

そのため、宝山味噌が東京の有名なお店で使われているというなら、

なるべく宝山味噌に近いものを目指そうと考えていたのかもしれない。

ただ、ふと図書館で借りた「おいしいもんには理由がある」という土井さんの本にまるや八丁味噌が出ていました。

一時期、贅沢品だから塩や大豆、水でかさ増しするような話が戦中/戦後であったそうです。

それを拒み、店を閉めていた年があったという話を聞いて、今は少ない職人の意地、頑固さを感じた。

何か好きですね、信念か守る考え方があるというのは。

豆味噌は実は家庭用では
量産が難しい。

以前から課題で色々と調べたり試行錯誤していたのが水の量。

豆味噌は、蒸した大豆に種麹をふりかけ、豆麹をつくる。

豆こうじ


できた豆麹に飽和食塩水を入れて仕込むだけです。

材料で米麹を使わない、
煮豆がない、となれば、
作る時に水と塩でしか、
かさ増しできない。

そこで飽和食塩水の量を増やす、
または、まるかわ味噌さんが
いうように、
煮豆を足して作るというやり方がある。

水と塩、また追加の煮豆入れて
仕込めば、食べやすく、
味わいはまろやかにもなるという。

私は食べやすくなるなら、少し良い気がした。ただ、何かが引っ掛かる。

かさ増しは別に悪いことではないはずだけど、宝山味噌も八丁味噌もしていない。宝山味噌の方が水分は多めだから、多少は塩水の割合が違うと思う。

まるや八丁味噌さんの話によれば、
豆麹を作る時の大きさが、知多半島の味噌メーカーのものとは違うらしい。

八丁味噌はひと玉が大きく、豆麹に時間がかかるらしい。

家庭用は、大豆の大きさで豆麹にしていくので、大豆をある程度の大きさに丸めて仕込むやり方とは違う。

というのも、大豆の内部にまで麹菌が入り込むようにするのは困難。

仕込んでから約2日程度で豆麹は
完成ですが、

その間に温度が上がる。
時々箱から出して、空気を入れてかき混ぜ、冷ます作業がある。

遅れれば、納豆になる。
もし納豆になってしまったら、
そのまま仕込みます。

というのも、納豆菌が入って意外にも良い味噌が以前できたことがある
からです。

時間をかければ、高温が止められず、納豆にもなりかねない。

ある程度の見切りで塩水入れて終わらせます。


少し硬めの煮豆をつくり、
炒った麦の粉とタネ麹を
混ぜてまぶす。



いい香りだけど、豆の中はまだまだ。
40℃近く温度が上がり、
数時間おきに空気に
晒して冷ます。白い状態はまだまだだそうです。
もう少し。


豆麹作りで難しいと思うところは、温度が上がりすぎないようにすること。

だから私は木箱で仕込むのですが、
大きな豆麹作りに時間が
かかるという時点で、

八丁味噌の方がきっと
良いものに思えます。

また八丁味噌は水分が少なく、
かさましを全くしていない、昔から変わらずの作り方。

普通なら、味噌屋ならかさましの方が都合がいいはず。

知人は米麹や味噌も販売しているが味噌は米麹の量が多い。

煮豆も豆麹のものと比べれば、ずっと水分が多く、柔らかい。

要は水や米麹でかさ増しをして量や利益幅を増やしているわけだけど、

普通ならそうする。
私も味噌屋なら、
きっとかさましをすると思う。

八丁味噌はかさましがなく、
何か意地かこだわり、
守るものを感じる。

バカ正直だと何かと損をすることもあるはずだけど、
あえて守るものは守る。


個人的なことですが、モノづくりの
頑固さはあった方がいい。


味噌の起源は大豆を発酵させた豆麹に
塩分を足したようなものです。

中華料理で使われるトウチ
浜納豆、大徳寺納豆、一休寺納豆などが原型で、後々、米に麹を発生させた方が甘く、早くできる、食べやすくなる、ということで
今の米麹で合わせる味噌が
生まれたという。

食べやすい、甘い、おいしい。
良い気がするが、実際はどうか。

米麹が多い白味噌は数ヶ月もてばいいくらいで、常温保存/長期発酵は
できない。

料理の先生がすすめる、米麹を二倍にして作る倍麹というやり方も、
常温では腐る。

昔の例で言えば、朝鮮出兵時に各大名が持参した味噌の大半は豆麹か豆の割合に高いもの以外は腐ったらしい。

原型から離れれば、何か不都合が起こるのは避けられないようです。

ただ、単純に考えても、大豆はタンパク質、発酵で多種のアミノ酸となる。

米は糖、炭水化物。発酵しても糖、酵素、ビタミン類などだろうけど、
大豆ほどの良さではないと思う。

そして、豆の麹はどうも強い。

納豆でも想像できるが、一旦、豆の菌が広がれば、
他を寄せ付けないくらい。豆麹仕込むと
腐らない。

現に真夏でも常温保存で3、5、8年以上全く腐ることも
カビも生えないし、豆ならではの菌か何かの強さもあると思う。

煮込んでも味の変化がないのも
豆みその特徴。

栄養分というより、
菌の強さで言えば、豆は明らかに米より強い。常温で何年も持つというだけでも、豆と米の違いは明らか。


甘くておいしい味噌なら、
単に米麹の割合を高めれば
いいだけで簡単。

ただ、私は今は米みそに
興味がない。

農薬や何かよくわからないもの、
嘘偽りが溢れる今なら、こういう強い菌、特に豆麹のようなものの力を活用したいところです。

植物や薬草も同じです。

豆麹に甘えて、助けてもらう、っていうのもこの際、いいと思う。

放射能に効くということで、チェルノブイリに輸出されたのは、
豆味噌で、海外から高く評価されているのも八丁味噌だという。

外人は科学根拠にこだわるが、探すのも念入りだろうし、

近辺で匿名の捜査官のような人が、
他の地域の豆味噌も
調べ上げていると思う。 

小規模でもより良いものを作っているところがあるなら、
そちらに流れることもきっとある。

ただ、どうやら現状では八丁味噌一択のようです。

木の樽で3年以上時間をかける。
ササでサランラップの代用をする。

ササの殺菌、大豆の菌の強さか、
真夏の常温にも耐える。むしろ夏の期間の発酵は必須。
腐らない。


夏には少し醤油がにじみ出る。ふたに乗るのは勘弁してもらいたい。。


色々やっても、八丁味噌にはかなわない。

ただそれでも、大豆や麹を
自家製にする、

特にある音楽を聴かせたら、豆麹がとてもきれいに発酵したこともある。

嘘みたいだけど、本当です。麹はまるで生き物のようで、種から培養して作った方がいいと思う。

ちなみに豆麹ができたら、米麹などはとても簡単に思えてきます。玄米だろうが、発芽玄米麹だろうが、コツはありますが、容易にできます。

とにかく、自家製ならでは自由さ、小回りがきくやり方ができる。

たとえば、自家製の大豆種類を
混合したり
また黒千石大豆という、小さな黒豆だけで豆麹も昨年やってみました。

丹波黒大豆で仕込んだもの。
3年目がいい感じです。ちょっと八丁味噌に近い。
赤大豆と黒千石大豆の混合。
赤大豆だけで。
自家製の赤、茶、丹波黒、借金なし大豆の
全て混合。
答えや正解はない。その時の大豆の状況次第で変わります。

どれもいい感じです。

八丁味噌のような規模はない。ただ、自家製であれば、各種混合などの小回りがきくというか、一回限りのオリジナルとなる。

味はいいと思うけど、
好む人はやや少ない。在住が長い外国人感想は「深い」の一言。

そんな表現は思いつかなかったけど、
八丁みそも、深いと言えると思う。

こうしてみて思うのは、
野菜の土づくりにせよ、本枯れ節のかつお節にせよ、どれも良いものは
即席ではできない。結構な年月がかる。

同じようなかつお節でも、
半年以上かけて発酵した本枯れ節の
かつお節を削れば、パックの安いかつお節とは全然違う。

およそ二日かけてできる豆こうじ。

土も野菜も味噌も、急ぐべからず、ということだろうか。

そういえば、梅干しも、
伝統的な作り方で行けば、塩辛く、
多くには好まれない味。

また時間もかかるが、ほぼ永久保存が常温でできる。

結局、良いものはすぐにできず、時間はかかる。また食べやすい、皆に好かれる味でもない。

梅干しを思えば、味噌も同じに思えてきます。

梅干しには、すべての基本、教えが含まれているとも言える。

急がず、慌てず、いらないことしない、
単純な材料で、味付けしない。時間もかかる。

好まれようと思わない頑固さも、
ここでは大事に思えます。

甘く、減塩にすれば食べやすい。ただ代わりに何か大切なものを失う。

何かの効き目が下がるだろうし、
別に嫌われても良いくらいの
頑固さはあっていいと思う。

というわけで、今後も気にせず、
不人気な豆味噌作りで行きます。

それでも、豆みそは何か良い気がする

きっと人を助けてくれる。
野菜や土づくりから、味噌、かつお節などの伝統食品など、全て梅干しが基本。

なんだかますます梅干しが良いものに思えてきました。

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