豆麹 味噌 ③
豆味噌、
豆麹と塩だけで作る、
昔からの作り方がいいと思った。
味噌樽を開ける度に
また作っていこう、と思う。
今回は6月に2回分、約5kgx2の約10kgの大豆を仕込みました。
多いようですが、
仕上がりに2年以上かかること、
また水分の蒸発もあるので、予想がつかないことも理由の一つ。
1回目は例年通りの豆麹と食塩水だけ、
2回目はうっかりミスで豆麹を一部だけ作り忘れて、豆麹、煮豆、食塩水で仕込みました。
あるお味噌屋さんによれば、
豆麹と煮豆混合でより食べやすい
豆味噌ができるという。
嫌われがちな豆味噌が食べやすく仕上がるというなら、良い気がした。
でも豆の塩麹を味見して、
なんとなく、豆麹だけがいいと
思えてきました。
塩豆麹、塩辛くておいしい。
煮豆と混ざった豆麹のものは、
どことなく食べやすい。
そして真っ黒な大徳寺納豆を
お土産でいただいたのですが、重くて
存在感ある、なんとも言えない味。
大徳寺納豆は豆麹を真夏に作り、
塩水にからめて干すという、作り方。
原点は今でもある中華料理の食材、
トウチと似ていますが、
原材料は全麹(豆麹)と塩、水。
辛くてクセはあるけど、
私は結構好きです。
そして先ほど開けてみた
2018年度の豆味噌は、全麹ですが、
大徳寺納豆と何か似た感じがして、
とてもいい感じがする。
今回の味噌の仕上がりがどう変わるか、
わかるのは2年後以降です。
今回、うっかり忘れで2回目の味噌が
煮豆と混合ですが、
きっと全麹でやるのがいいと感じた。
直感のようで、
理由ははっきりわからない。
そもそも食べやすく、
人に好まれそうなもの、
じゃなくていいと思う。
もし人に好まれる味噌を作りたければ、米麹を2倍にして作れば、
半年でおいしい味噌はできる。
料理の先生の多くが米麹を2倍にする、
倍麹味噌をすすめていますが、
味重視で考えるのは当然の事。
ただ仙台味噌など一部の味噌意外は
朝鮮出兵で味噌が腐った話を知り、
私自身も過去の苦い思い出もあって、
2倍の米麹を使うみそは
もうやらない。
米味噌をするとしたら、
米麹1:大豆1でしようと思う。
米麹が少なければ、仕上がりに時間がかかるのは明白です。
というのは、白味噌は、
大豆に対して
米麹約3倍以上という割合で作る。
ほぼ熟成期間なしできる、
即席みそのようなもの。
正月など、特別な用途に使うそうで、
賞味期限は短い。
ただ、白味噌を考えても、
倍麹みそが半年で食べ頃に
なる、という仕上がり期間の短さの
説明もつく。
米麹に味噌作りを任せている
わけです。悪いことではなく、普通のことです。
倍麹みそは仕上がり早く、
甘くて人に好まれ安い。
だが腐りやすい。
常温では保存は厳しい。
米麹の割合を少なくすれば、
仙台味噌に似たようになる。
仙台味噌が朝鮮出兵時に腐らなかった、
というのも、理由は米麹の割合が少なかったから。
ちょっと気になり、
図書館で古い本を
読んでいたのですが、
やっぱり、はやくできる味噌の
品質は良くないそうです。
どちらかと言えば、
特別な時、行事、ハレの食事(お祝い)など用だそうです。
こうしてみていて思うのは、
豆麹と米麹の違い。
詳細は省きますが、豆麹の菌は米より強く、長期保存、熟成、また加熱調理での変質も少ないという。
豆麹菌は、米麹菌よりも強いって
考えられそう。
そう言えば納豆菌も大豆の菌で強い。
一度納豆菌が広がれば、
他の菌を寄せ付けないし、
熱にも強い。
大徳寺納豆のパッケージを見れば、
常温保存とある。
賞味期限はあるけど、
きっと設定しているけど、すぎても何ら問題のないものだと思う。
豆麹と塩水だけの原料だからだろうし、
もし米麹であれば、
常温保存では無理なはず。
となると、八丁味噌(まるや、カクキュー)、宝山みそなどの東海地方のみそが食べられない、苦手、というのは
結構損をしているように思えてきます。
逆に豆味噌の独特の風味が好き、
というだけで、
結構得していると思います。
改めて色々考えても、
豆味噌がいいと思った。
単に自分が好きに思える味噌だから、っていうのもありますが、
体が無意識に反応しているような
感じです。
頑固さとまではいかなくとも、
私は豆麹派、
これからも、仮に味噌が嫌われようが、
豆味噌で行こうと思う。
さて、今回のものは
塩水を流し込んだ豆を手で潰しました。
豆の原型が多いと、隙間ができて
空気が入りやすいから。
要は万一に備えて、
豆は極力潰す。
豆麹を塩水にからめて樽に入れて、
翌日に豆を握り潰しました。(豆麹は水をよく吸って、柔らかくなる)
ただ今回は、気になったのが、
水の量。
樽から溢れるのも困るけど、
水が多ければ、醤油も取れる。
ただ醤油はほどほどにしないと
味噌の栄養分か塩分など
何か減るはず。
今回、水の量を減らしました。
これは勝手な判断ですが、
家庭用の豆麹味噌のレシピは
あるけど、
八丁味噌の引き締まった、
水分の少ないものを思い出したから。
煮豆を使わない、
米麹を使わない、
水を減らす、
これだとかさましができない、
って思った。
そう言えば、宝山味噌は水分はやや多かったと思うけど、
八丁味噌(まるやにせよ、カクキューにせよ)栗きんとんのような、
締まった水分量だったと思う。
どちらがいいとかではないけど、
八丁味噌は巨大な木樽に
大きな石を積み上げるやり方。
確か今はもうこの二社だけ
だったと思う。
歴史も家康の時代から続いている、
おそらく最古の味噌。
水分が少なく、
かさましする余地がない、
この上なく濃厚な、馬鹿正直な
お味噌に思えてきました。
となると、
健康管理、
薬を自分で調合する、
などしていた家康が、
重宝していたのが八丁味噌。
多分現世では
最高のものじゃないだろうか。
味噌屋なら、早く作って回転重視、
尚且つ、かさましを
考えると思う。
倍麹は米麹で量を増やせるし、
煮豆を多くすれば、普通の味噌も
増量できる。
豆麹だけなら、増やすとしたら水や
塩でしか増やせない。
水分多くした方が、重さは増やせるから
儲かるとは思うんだけど、
まぁ、八丁味噌の規模であれば、
大量に作るから、
かさましなんて
考えないのかもしれない。
でもだからこそ、
何か良さがあって、
海外で認められているのかもしれない。
放射能除去でみそがいいというのは、
実は八丁味噌のことで、
チェルノブイリに輸出されたのも
八丁味噌。
白味噌や倍麹味噌ではない。
おそらく海外の研究者の間では、
何か八丁味噌の良さを
掴んだんだと思う。
となると、豆麹味噌するなら、
八丁味噌を、と思えてきました。
豆麹味噌をご家庭で、ってあるけど
八丁味噌を家庭で作る、っていうのは
きかない。
そう言えば、大徳寺納豆って、
豆麹を干すわけで、
これもかさましができない。増やして一儲けができないわけです。
大徳寺納豆は
濃厚で、クセが強い。
多くの人は苦手だと思う。
ただ、大徳寺納豆は味噌の
原点なわけです。
大徳寺納豆数粒と水だけで
結構動けます。これは本当です。田植えで体感しました。
田植えの時、
大徳寺納豆は役に立ちました。
水飲み休憩だけで、
田植え完了でした。
何か戦う前、
大事な試験の時などには
大徳寺納豆はいいと思います。
頭働くというのと、
体が動きやすい。
トウチや大徳寺納豆/浜納豆が、
後になって味噌になって
いったわけです。
米麹を入れれば、甘く、
また早くみそが作れるように
なっていった。
で、大半は結局秀吉の時代の
朝鮮出兵の期間に
腐った、っていうのだから
ここに教訓もある。
実際に私も倍麹みそは
一度常温保存で
ダメになったことがある。
今なら冷蔵庫があるから
いいんだろうけど、
要は、かさましや急ぐなんてことは
するな、ってことだと思う。
甘くておいしいものだと
強くはなれない。
信玄も政宗も信長、秀吉は
米の割合が低い味噌を食べて
生きていた。
だから忍耐強く、
頭がきれていた、って
本にあったけど、
事実に思えてきます。
大豆はタンパク質、発酵でアミノ酸。
米は糖質、炭水化物。
発酵して、何か良いとは思うけど、
豆には敵わない。
タンパク質と糖、ってだけ考えても
違いは想像できてきます。
そんなもろもろの思いが出て、
八丁味噌を買いにスーパー等に
行きましたが、ない。
そんなわけで、
大徳寺納豆を改めて
一口食べてみました。
強烈な味わいです。
西遊記で髪の毛が金色に
なって強くなるようなのが
あったと思うけど、
それと似たような
感じでしょうか。
何か体が引き締まった感じがします。
八丁味噌や大徳寺納豆を買えば、
時間も大いに節約できるのですが、
そうではない。
自家製のメリットは、
豆を自分で選べる、ということ。
八丁味噌や宝山みそは、自家栽培まではしていないだろうし、
赤大豆や黒千石大豆などで
豆麹を起こせば、
完全な特注ができるわけです。
時間かかるけど、毎年欠かさずすれば、
毎年できる。
でも豆麹みそを
八丁味噌のようにするなら、
かさまし、量が増やせない。
逆に蒸発などで
水分減っていくようにも思う。
効率悪いし、時間かかる。
それに不評な味になる可能性が
ある豆味噌。
小さな味噌屋だったら普通は
しないだろうし、
逆に馬鹿正直な、
何か正義の味方のような、頑固な人、
どこかにいるんだと思う。