騒やかな朝

頑張るより「ふんばる」方が増えてくる。
友人が言った。

その人と人生で一番景色が綺麗で良かった場所の話をした。
高知県にその場所はあるらしい。
そこに一度行き、その美しさ、広さを感じて、
「自分の悩みなんて小さなものだ」
と思った話を聞いた。

僕は
「大人になればそういう風に思える瞬間が増えてくる」
と共感した。

辛いことがあった時、絶望のその場所から、飛び降りて死ねるかと聞かれ
「死ねる」
と応えるのは子供だけだ。

正気じゃない。普通じゃない。そういう話ではないと思う。
単純に物事を知らないだけなのだと僕は思う。

人は生きる為に何かと戦う。
不安や辛い気持ちとぶつかる。
孤独や絶望と向き合う。

ただ、そこで逃げるのも悪いとは言い切れないが、人間が不幸や不安を手放したくないと思い始めたら成長は止まる。

頑張る事は大前提みんな同じだ。
時は違えど、事情は違えど、度合いは違えど、何かしら生きていれば頑張るしかない。
ただ大人になれば「忍耐力」。
耐え忍ぶときが増える。
肉体の疲労よりも精神力がものをいう。

不安やストレスを訴えて病気になる人は多い。
それは悪い事じゃない。

それが、ただいつまでもそこで立ち止まる為の言い訳になるのが人間だ。

死にたいなら今そこで死ね。
越える一線は、生きる為に超える壁。
それを越えて人は大人になっていくのだ。

子供はいつまでも逃げてばかり。
子供はいつも騒いでばかり。
子供はいつもわめいてばかり。
子供はいつも覚えた言葉を連呼するばかりだ。

・・

「ちょっと、今のめっちゃ良い事言ったよね。

今の名言でしょ。

みんなに教えてあげないとね。

頑張る力より、ふんばる力」

僕は、ありがとう、と共感した。

・・

今朝も母親は煩い。
朝から声がでかい。

相手の意見を否定するのに大きな声を出さないと納得させられないのは馬鹿と餓鬼のする事だ。

相手が聴こえないだけじゃない。
自分が幼稚で愚かだから、声を荒げて大きな声で叫ばなければ、自分も相手も落ち着かせられないのだ。

僕の忘れ物の癖や
「いーや、ちがうし」
「はい、またまた、ちーがーうーしー、はい始まった。あんたのちーがーうーしー」
と、僕の物真似をして叱る。

小馬鹿にするような含みを入れながら説教をしなければ、自分の自尊心を保てないのは、まったく同じ事をしている自分がいるのだろう。

それを言わずに、他人にさも自分は出来る、自分は解っているから説教しているという弱者の弱い者いじめに似たマウントの取り方だろう。

認めたくない、受け入れらていない自分の姿が実はそこにあるのだ。
僕もそうだった気がする。

・・

今も1時間くらい前から同じことを、認知症の祖母に、母親が大きな声で説明し続け、いつもと同じ言葉でいつもと同じ話を延々を大きな声で叫んでいる。
「ばあちゃん、もう向こうの部屋に行って休んどき」
「デイサービスの迎が来るまでそっちで待ってたらいいわ」
と、座って動かない祖母を、朝ごはんを食べながら気持ちよさそうに説教している母親の前から寝室に移動させた。

この家は精神衛生がよくない。
それはすべての問題が母親にあるとは言わない。
僕も今なら解る事もあるし、まだ分からない事もある。
ただはっきりと見えている事もある。

この家は大騒ぎと人騒がせと騒音が激しく酷い家だ。

これは祖父母の頃からあったのかもしれないが、これは間違いなく機能不全家族(機能不全家庭)にある毒親と幼稚なままで成長をしない子供たちが繰り返す負の連鎖なのだ。

・・

少女老婆は今日も元気。
いつか来る孤独な末路。

・・

僕は少し前にネットニュースのコメントで気に入らないコメントがあった。

〇自分がどんなに好きでも、相手にも自由意識があり、好きな相手を選ぶ権力があります!また、一人で生きて行く権力もあります!

相手には自分よりも、づっと長く生きて来た、育てて来た親、家族が居る事を常に意識して下さい!一人の人の背後に必ず相手の親、兄弟、祖父母、幸せな家庭、長い時間、人生があるのだと考えて下さい!

そのように考えると、自分の側の一存で相手を傷つける事、人生を奪う事は出来ません!(^o^)/\(^-^)

僕● ふざけんな!人の気持ち、命を奪いかけた行為をしたことは
「はい、そうですか」
では許さないし済まされないぞ!

何をしてもその理屈で事が済むと思ってんなら、てめえは自分が何をやっても人には人の都合があるとか抜かしやがるんだ!
俺にも家族もいれば生きてきた人生があるんだわ!
人様の人生奪っておいて、人様の時間や金を喰っておいて自分が都合が悪くなったら被害者面するような奴は綺麗ごとだけぬかすな!!

と、僕は言いたい。

けれど、黙っている。

・・

僕は今でも許さないと決め込んでいる訳ではない。

人間だから、僕だってやましい事くらい、火種の一つくらいはある。

そこを上手く折り合いを付けながら、人に恨まれないように考えながら生活をして生きていくのが人間だ。

僕だって分かっている。

苛立ちや、怒り、不安、葛藤も、どの感情にも向き合わなければ人間は生きていけないし、生きるというのはそういう事だ。

・・

友人が僕のTシャツを見て
「だっさ!!」
と言った。

僕は笑って
「今はそういうの気にしてられへんのやって」
と笑った。

友人は
「でも、まあ可愛いよ」
と笑った。

僕は笑い返し
「服買う金があったら他に使わないけないからな」
と笑った。

友人は
「そうよな。100円でも節約せないかんもんな」

「そうそう。それでやっと浮いたお金で遊ぶねん」

僕らは笑い合った。
笑うしかないというのが事実だ。
その笑うしかないという事も
僕らは笑い飛ばせるようになろうとしている。

・・・・・・・

今日の僕は久しぶりに憂鬱に片足を突っ込んで目が覚めた。

お風呂に入り、2時間たった今は少しだけその憂鬱から抜け出そうとしている。

それだけでも褒めてあげよう。

世の中には何もせずに、ダラダラと言い訳を並べて生活をするのを許されるような生き物もいる。

僕はゴミグズのような人間の相手をしてる場合じゃない。
早く前に進まなければ、未来は僕らの手の中から消えてしまう。

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