レイチェル・カーソン「The sense of wonder」
こんにちは、Nollです。
最近タイトルにあるものを読んでなんて美しいんだろうと感銘を受けました。レイチェル・カーソンは「沈黙の春」というDDT農薬の危険性についてをまとめられた論文ですが、冒頭は美しすぎる寓話で書かれたので有名です。もしかかしたら小学校でも取り上げられたことがあると思いますが、今はどうなのでしょう。今回、皆さんにぜひ読んでいただきたいなと思ったきっかけは、こちらは難しい用語は一切なく、文庫でとてもコンパクトなサイズくらいの容量なのでふと思ったときに手に取れるからです。少しでも、外のささやかな景色の見方が変わる発端になればと思います。あ、単行本版もあります。その違いはさらっとあとで追記します。
こちらを紹介するのに正直一冊なのか、一式なのか、一枚なのか迷いました。というのも、こちらの中身は2歳に満たない甥のロジャー君へのお手紙の贈り物だったからです。執筆中、著者レイチェル・カーソンはすでにガンが発症していると宣言されて、余命いくばくとされ、そして書きかけで亡くなれてしまったそうです。また、ロジャー君は甥でもありますが、亡くなられた妹さんから託された養子でもありました。わずかな時間でもとても愛おしかったというのがひたすらに綴られていて、読み終わってからの噛みしめが長かったです。一緒に外で探検していたのや、雨でずぶぬれになっていたのや、レイチェルがロジャーの発見を大事にしていたのを想像するだけで眩しかったです。これぞお手紙の真骨頂だと感服致しました。中身をもっと書きたい気持ちもありますが、それはぜひ本書手に取ってご覧いただきたいです。個人的にですが、「センスオブワンダー」そのものは本というよりお手紙という感じが強いので、複雑なことは考えず字列をなぞっていくだけでも心洗われる気がします。
自然の美しさについてもそうですが、「センスオブワンダー」の根幹は「センス」、人の「驚きの感性」を大事にすることを示してくれた一冊だと思います。これがロジャーくんだけ宛てた手紙だとするならば、翻訳もされず全部英語であったこと、ロジャーくんしか知らなかった「レイチェルおばちゃん」の姿、そもそもこのお手紙自体を本当に誰も知らなかったでしょう。「遺書」や「願い」と評されるのもありますが、私の中では「これじゃない感」みたいな違和感がありました。こちらはやっぱりお手紙なのですが、宛先は「2歳から一緒に私と過ごしてくれたロジャーのように自然に目を向けてくれる貴方(読者)へ」なのかなと思います。そして、これが伝えたい事ではないかなと思います。
繰り返すようですが、レイチェル・カーソンはガンを抱えていました。そんな人が上記の引用を残しています。寂しいだったり怖いというよく聞く言葉はないのです。「自然」と「生きる」という循環に目を向けたお方の言葉として重くかかりました。何度噛みしめたか….。
皆さんもぜひお手に取ってみて美しい本の中と、お近くの自然のお散歩に出かけてみてはいかがでしょうか。単行本の方は当時の散歩の風景ですので、ちょっとした記録でもあります。文庫本は川内倫子さんという方が撮影された写真と様々な人が解説エッセイを寄稿したものが入っています。