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【詞】抱擁

鼠色の影、道端から
鴎、餌を食む海へ
停留所の椅子の熱から
この町ひとりぼっちの日々へ
大人になって思い出も失っていくものだし
剥がれるような幻みたい夏の
紛れていく枯草と
青と横断歩道を抱擁する


夕方に耳を震わす音が聴こえてきたんだ
すぅっと生活の川と重なる
夏の風は暖かく
すぅっと生活の川に囁く
風の知らせで会えるなら灯の下に戻りたい
次の雨までに


鼠色の影、道端から
鴎、餌を食む海へ
陽の光 反射する水面 波が代わる瞬間を


砂に立って聳てると音が聴こえてきたんだ
剥がれるような幻みたい夏の夜を抱擁する
眠る鳥の木蔭からこの町でひとり咲いた芽の声で
また会えるなら君の街へ帰りたい
風の知らせで会えるならあの灯の下に戻りたい


思い出も失っていくものだし
空の唸り声と共に
起きるその時まで夜に眠ろう


ただ揺れる枯草の青



詩集"ときめく" より

こちらの詞も、3年ほど前に出来た原型の詞を基に、文章を修正し、投稿したものになります

"眠る鳥の木蔭からこの町でひとり咲いた芽"
この部分がすきです
今回の詞は、枯草など、植物をイメージした文も見られます

全体的に"街での生活感"をテーマにしています
比喩的な表現も多いですね


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