あー、またか。
どうも西尾です。
柔らかい雲の隙間から朝陽が差し込み、眩しいオレンジ色のシャワーを浴びながら目を覚ます。
体を布団から起こして、窓を開け放つ。
朝の空気を肺いっぱいに取り込み、体内の空気を入れ替える。
身体中を駆け巡る血流に新鮮な酸素が届いているようで気持ちのいい朝を迎える。
…
このような朝を過ごしたいところでしたが今日は生憎の曇天模様。
まあ、こんな日もありますよね。
あー、またか。
昨晩のこと。
友人から連絡が来た。
最初は連絡が来ていることに気が付かなかった。
二度目の連絡が来た。
スマホの画面が光る。
画面を確認するとその友人の名前が。
自分でもいつ設定を変えたのか分からないが、スマホ画面の明るさ設定が最大限に明るくなるようになっていた。
友人からの連絡で光るスマホの画面は、レベルMaxに明るく光り眩しいくらいだ。
まるで、スマホが喜んでいるように思えた。
いや。
違う。
喜んでいるのは友人の方だ。
私は内心、こう思っていた。
あー、またか。
また、こいつから連絡がきた。
1〜2時間コースは確定だろうか。
今晩も遅くまで話をしなければならないのだろうか。
覚悟を決めて出るしかない。
恐る恐る通話ボタンを押してみる。
友人:「もしもし!」
私:「…」
友人:「もしもし!」
私:「…」
友人「もしもし!おい!聞こえてるか!」
私「はい」
友人:「聞こえていますか!」
私:「はい」
友人:「何で直ぐに電話に出やんのや〜!」
あー、また始まった。
いつもの友人。
東京で働きながら、スマホを2台持ちしていて、LINE友達7,000人もいるのに何故か私にばかりよく連絡してくる友人。
そして、彼はいつも妙にテンションが高い。
冗談半分で何か危ない薬でもやっているのではないかと問うたこともある。
この友人から連絡が来た時には1〜2時間の通話は覚悟しなければならない。
私:「すまん、気が付かなかった」
友人:「そうか」
友人:「今日は何の日かわかるか?」
私:「知らん。何の日や?」
友人:「今日は俺の誕生日や!お前はInstagramの俺のストーリー見てないんか!?」
私:「そうなんか。気が付かんかった。なんか知らんけどお前のストーリー見られなくなってるわ」
Instagramで友人のストーリーが見られないというのは嘘で、友人の投稿があまりにも鬱陶しいから私が勝手にミュート(通知OFF)にしただけだ。
友人の投稿を鬱陶しいからとミュートにしてしまう私も、それはそれでどうかと言われるかもしれないが。
友人:「ふざけるな!それはそうと俺の誕生日を祝ってくれるか!」
私:「そうか。おめでたいな」
友人:「お前は俺のことを祝うという気持ちはあるんか!?そもそもな!俺はお前より年上なんやぞ!敬語を使わんとあかんのとちゃうんか!お前は先輩に対する態度がなってない!そもそもな・・・」
途中から聞いているのも鬱陶しくなりスマホから耳を遠ざける。
彼は興奮しているのか一方的に捲し立てる。
あー、また始まったよ。
友人の彼はこういうところがある。
これが始まるとただ単に面倒だ。
友人:「おい!聞いてるんか!?」
私:「すまん。全然聞いてなかった」
友人:「お前な、大先輩である俺の話を聞いてないとはなんちゅうやつや!そもそもな・・・」
またスマホから耳を遠ざけた。
向こうで一方的に喋ってると思うと何だか面白くなってきた。
私はにやけ顔になりながら、くっくっく、と笑わずにはいられなかった。
小さく笑ったつもりだったが、その笑い声が友人には聞こえていたようだった。
友人:「お前!お前は俺がありがたい話をしている時に何を笑ってるんや!?くっくっくって俺は真剣な話をしているのに、お前は俺のことを・・・」
これではいつまで経っても話が前に進まず、埒が明かない。
私は友人の話し声を遮るようにして割って入った。
私:「ハイハイ!もう、わかった!」
友人:「ハイハイ、とは何や!返事のハイは1回や!お前は返事の仕方もなって・・・」
彼は私の一言一句を聞き取る能力には長けているのか、いちいち指摘を入れてくる。
私:「もう、わかったから。要件は一体何なんや?」
友人:「俺の誕生日です。祝ってくれるかと言ってるんです!」
私:「せやな。おめでたいな」
私も素直に「お誕生日おめでとう」と一言だけ言えば良いだけのことだが、それを言ってしまうと彼に言わされた自分が何だか嫌に思えてしまい、頑なに言わなかった。
友人:「お前は俺の誕生日であっても、お誕生日おめでとう!と言わへんし、今年の正月の、明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします!の新年の挨拶も未だ聞いてへんぞ!早く言ってくれ!」
私:「新年の挨拶は同級生のLINEグループでした!」
友人:「あの時俺はグループから退会させられてたんや!お前からの新年の挨拶を聞いてない!今、お誕生日おめでとうございます!と新年の挨拶をしてくれるか!?」
彼はいつまで経っても私からの新年の挨拶が聞きたいみたいだった。
正月になると同級生のLINEグループから退会させられる友人も友人だと思う。
私:「次の正月に言うわ」
友人:「2020年から聞いてないからその時の分もやぞ!それと、早くお誕生日おめでとうございます!と言ってくれるか!」
彼の話声と同時に駅の外国語アナンスのようなものが聞こえてくる。
どうやら彼は外にいたみたいだ。
私:「今どこにいるんや?代々木公園で呑んでたんか?」
友人:「これから電車に乗るんや!早くお誕生日おめでとうございます!と言ってくれ!」
私:「そうか。それやったら電車に乗り遅れたらあか・・・」
スマホの画面を見ると通話終了の文字が浮かび上がる。
私が喋っている途中に通話は切れた。
友人から通話を切った。
電車にでも乗ったのだろう。
良かった。
やっと通話が終わった。
彼が駅にいてくれて助かった。
昨日は未だ20分くらいの通話で済んだ。
いつも不思議に思うのは、彼は東京で暮らしていて、LINE友達7,000人もいてながら、どうして私にばかり連絡をしてくるのか。
不思議でならない。
東京だと出会いも多いだろうと思うけど、どうなんだろう。
人それぞれだと思うが。
通話が終わった後、私は眠りについた。
昨日の一日の終わりは友人との通話だった。
今朝、目が覚めてLINEを確認すると、その友人から夜中の1時頃に不在着信が入っていた。
一言だけメッセージを送信した。
ええわ、と。
ただ、誕生日を迎えたことはおめでたいことだと思う。
友人よ、お誕生日おめでとう。
もう当分は連絡してこないでくれ。
それと新年の挨拶はまたLINEグループでしますので。
退会させられないように大人しくしてください。
頼みます。
以上になります。
お読みいただきありがとうございました。
私の友人については以前にも記事にしておりますので宜しければそちらもどうぞ。
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