トレーニング をしている人へ〜エネルギー収支のコントロール〜
タンパク質を保護する
骨格筋量の増加、骨格筋の肥大は、筋タンパク質の合成(アナボリック)と分解(カタボリック)のバランス次第であり、合成>分解の状態で生じます。したがって、合成を増加させ、分解を低減・抑制させることが重要となります。もし、激しいトレーニング中に、糖質が枯渇し、タンパク質分解により糖新生が生じる場合、またはトレーニング後に適切な栄養素摂取がなければ、合成<分解による正味の骨格筋減少が起こり得ます。その為、アナボリック状態を作る際には、糖質によって必要とされるエネルギー支出を賄うことが必要です。さらに、65%最大酸素摂取量以上の運動(ややきつい〜非常にきつい)では糖質が主要なエネルギー源となることから、トレーニング強度に応じた糖質の補給は、タンパク質の分解を抑制させることに益に働きます。
摂取量の目安
ここで、一日の糖質・タンパク質摂取量の目安をご紹介します。これは、NASM(National Academy of Sports Science)で推奨されている数値です。
糖質
トレーニングをしていない人
→4~5g/kg
一般的なトレーニングを実施している人
→5~7g/kg
持久系トレーニングを実施している人
→7~10g/kg
高強度な持久系トレーニングを実施している人
→11g/kg以上
タンパク質
トレーニングをしていない人
→0.8g/kg
持久系アスリート
→1.2〜1.4g/kg
筋力・パワー系アスリート、除脂肪体重を増やすことを目的とする人
→1.6~1.8g/kg
例えば、私の場合、体重は60kgですので、
糖質:7×60=420g/day
タンパク質:1.8×60=108g/day
となります。
仮に、米のみから糖質を摂取すると、白米1合の糖質は118gですので、3合半を摂取できます。鶏胸肉は、100gあたり25gのタンパク質を含みますので、400g摂取することとなります。
実際、偏った食事は栄養状態の悪化に繋がるため、様々な食品から摂取する事が望ましいことは言わずもがなですがな。
タイミングと形態の選択
前の記事にも書きましたが、運動を基準とした際にはその前後で消化にかかる時間を考え、摂取する形態を選択することが重要です。
トレーニング前後の補給には、胃腸の感度、運動強度、個人の好みによります。
運動前
・体液調整のために十分な水分をとる
・グリコーゲン貯蔵を最大限にするために、高糖質食を摂取する
・適度なタンパク質を摂取する
・慣れている食べ物をとる
運動後
・トレーニング直後に糖質とアミノ酸の混合物をとる
→最大限の回復のための鍵は、G I値の高い糖質とタンパク質を4:1の割合で運動後30分から45分後以内にとる。
・トレーニング直後に適切なグリコーゲンの補給
→運動後はインスリンの働きでグルコースやアミノ酸を筋肉に運んでくれる。
・運動後の食事は、動いた時間と強度、次いつ動くかのタイミングを考慮して決める
まとめ
トレーニングの極意は、運動強度に適した「エネルギー収支をコントロール」することであります。その目的は、「タンパク質を分解させず、合成していく」為です。摂取するタイミングにより、細胞膜のイオンチャネル(栄養を取り込む扉)が開きやすい時と開きにくい時があることも考慮しましょう。トレーニング後は、めっちゃ開いています。早く栄養ちょうだい!と待ち望んでいます。
トレーニングを継続していると、停滞期が必ず訪れます。その時には、今一度、栄養摂取を見つめ直してみることも打開策の一つだと思います。糖質とタンパク質の観点からぜひ工夫してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ちなみに、プロテインパウダーでも微妙に一回あたりのタンパク質含有量に違いがあることを気にしたことがありますか。ご自身の使っているものも見てみると面白いかも。