特別支援教育が学校によって差がある理由
4月からいよいよ新しい年度が始まります。4月から特別支援学級などに通われるお子さんもいらっしゃるかと思います。特別支援学級や特別支援教室ですが、実はいつでも通えたり転級出来る訳ではありません。色々と手続きがあることも関係していますが、入れるタイミングは大体1年に1回で多くて2回ほどですね。一番の理由は先生方の数が関係しています。子どもたちの人数が30人スタートで始まっているとしますと、その人数に対応した人員が配置されます。途中で子どもたちの人数が100人になっても人手が足りなくなる訳ですね。先生の数が年度の途中で増えることはありませんので、これからもこの仕組みは当分変わらないと思います。結構早い段階での手続きが求められますので、ご検討なされている方は早めに動かれるのをお勧めします。検査を受けていない場合は検査は数ヶ月待ちのケースが多いですのでさらに早く動く必要があります。
こういう流れがあるものでして、来年度の4月から特別支援教室(情緒学級、通級教室)に通う子どもたちの人数はこの時期には確定されます。名称は都道府県によって様々ですので、ここでは発達障がいのお子さんが通う情緒学級の事を特別支援教室という名称で表記させて頂きます。複数の学校から人数の報告を受けたのですが、そちらを少し皆さんに見て頂こうと思います。守秘義務がありますので記載している人数は色々いじっています。架空の設定だと考えて下さい。
A校
全校生徒数500人
来年度の特別支援教室に通う人数は49人
B校
全校生徒数550人
来年度の特別支援教室に通う人数18人
よく地域性や学校の環境など言われることがありますが、A校もB校も同じぐらいで差がないと考えて下さい。人数やその他の条件がほぼ変わらない訳ですが、見て頂いてわかるように特別支援教室に通う子の人数は大きく違います。この人数を見てどう捉えるかということなんです。ただただ多い少ないではなくそれについて要因を含め考えていく必要が重要です。
私の経験上考えられる要因として一番大きいのは、
校内で特別支援に繋いでいく形が出来ているか出来ていないかが大きい
と思います。特別支援教育は学校ごとの対応や力を入れてる先生の対応など個々の力で動いている部分があります。変な話特別支援教育に力を入れてる校長先生やコーディネーターの先生が異動したら翌年から力を入れなくなり人数が大きく減ることもある訳なんです。そんな安定しないもので先生方も保護者の方々もそして子どもたちも振り回されたくないですよね。先程のA校B校の数値の話しに戻りますが、一番の問題は
この数値を見てどちらが正解で成果があったかと判断出来る人は1人も居ないということなのです
本来はA校とB校の状況を縦断研究して数年間に渡って成果を見る必要があります。そして、保護者の方々や子どもたちや担任の先生方から聞き取りをするべきなんです。そこから今後の課題や修正をしていくべきなのです。これだけ注目すべき数値があっても現実は
多いか少ないかでしか話しが語られません
例えば、詳しく調査をして特別支援教室に通う人数が少ないB校の方が子どもたちにとって良かったとした場合
何が要因で子どもたちに良い影響を与えたか
考えることが出来る訳なんです。そうなって来ると、もしかしたら校内研修で他校とは違う事をやっていたり学校全体で他校とは違う取り組みをやっている可能性もある訳なんです。もし、そこまで辿り着くことが出来ればそれを全体に共有して活かしていくことが出来ます。個々の先生の力が大きかった場合はその先生の取り組みを全体で共有していくことも出来ます。逆にA校の方が成果がありB校の成果が低いとなった場合は特別支援教室自体の成果が問われるのかもしくはA校の特別支援教室の方が優れている可能性もあります。検討すべき角度の視点は沢山あります。しかし、残念ながらそこについての調査や議論がなされていないのが現状です。このような状況になっている一番大きな問題点をざっくりと言いますと
上から(文科省や教育委員会)の定められた基準があるようでないから現場での判断になっている
っということです。だから差が生まれている訳です。保護者の方々や子どもたちからすれば公立校でそのような差が生まれることは好ましくないです。極端な話しで言いますと、こちらの学校に通っていたら検査を受けるよう言われてこちらの学校に通っていたら検査の話しなど言われない可能性がある訳です。色々な所がグラグラとしている訳なんです。グラグラしている理由は明確な基準がないからです。現場判断に委ねてしまっている現状がグラグラに繋がっています。
初めに戻りますが、このA校とB校の数値には色々な思いが詰まっていると思うんです。特別支援教室に通わせるかどうか悩まれた保護者の方々も沢山いらっしゃると思います。不安を抱えた子どもたちも沢山居ます。担任としてその子のためにどうすれば良いか苦悩なされた先生方もいらっしゃります。逆に通うことによって良い方向に進んだケースもあるかと思います。そういうみんなの思いや気持ちが詰まった数字なんです。それを軽く扱わないで欲しいと私は思っています。みんなの思いを未来に繋げる。文科省や教育委員会はそのような場所であって欲しいです。