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子どもたちとの別れが次へと背中を押してくれる
先日6年生が数人来て一緒に算数をやりました。その時ある男の子が九九を忘れてしまったようで考えながら独り言をぶつぶつと言っていました。
「うーん。出そうなんだけどな。出そうで出ないんだよな。あと少しなんだけどな。うーん。うーー出そう。」
私はすかさず
「何そのトイレみたいな九九の思い出し方!」
っと言いました。すると隣に居たもう1人の6年生の男の子が、
「あっ!確かにう◯こみたいな感じで捻り出してる!」
っと言いました。私は、
「言うな言うな。あえてトイレって言って濁してるねん!」
っと言いました。この一連のやり取りで九九思い出してた男の子がめっちゃ笑ってくれていたのですが卒業前にウケて良かったです。いつもクールな感じで全然笑ってくれなかったので最後に決めてやりましたよ!クールな6年生の男の子でまさかツボが未だにう◯こやとは思わんかったです(注;この子たちとこのタイミングなら大丈夫と思って言った冗談ですので誰にでもこのような事は言いません!)。
あー楽しいなぁと思いながら時間が過ぎました。このクールな子は出会った頃半年ぐらい一言も言葉を発してくれませんでした。時々鋭い目でこちらを睨む事もありました。横からう◯こみたいと言った男の子も初めの頃は自由に振る舞っていまして根気強く声をかけて来ました。この間久しぶりにハメを外し過ぎた事があったのですが、自分から後で私の所に来て、頭を下げながら
「先生。さっきは調子に乗ってすいませんでした。」
っと自ら考えて言いに来てくれました。言われた瞬間泣きそうになりましたよ。半泣きなのバレると思ってクルッと回転しまして、
「え、ええんやで。」
っと言って背中で語って立ち去りました。2人とも3学期になってから毎週会うたびに聞いてくれるんです。
「あと何回会える?」
っと。この学校はまだそんなに長くないのですが、実は大変と言われている学校なんですよ。私が異動が決まった時に色々な先生方やカウンセラーさんにめっちゃ止められました。今からでも間に合うなら他の学校に変えてもらった方が良いと何人にも言われたんです。それでも私はその時全然大丈夫です〜っと言ったんです。
「どこでも子どもたちは一緒で私がやる事も一緒ですから。関係ないっす!」
と答えました。先日その小学校の副校長先生からこっそりメモを貰いまして、
「良ければ来年もうちの学校に勤務希望を出して欲しい」
と書いてありました。もちろん希望を出しました。
この小学校で勤務して数年が経ちますが、やはり子どもたちはどこも変わらないです。先生方も子どもたちの事を考えていらっしゃる方ばかりでいい先生ばかりです。私ともめっちゃ連携出来ています。学校の評判は子どもたちや先生方が原因でそれが必ずしもイコールになるとは限らないという事です。問題はもっと複雑で色々な事が絡み合っている事もあります。先生方が優秀だからこの状態を何とかキープ出来ているという見方も出来る訳です。
ああ、寂しいなぁ。もっと一緒に前に進んで行きたい。私だってやれる事や教えたい事聞きたい話しがまだまだ沢山あるのに。今年度は6年生で来てくれている子がどの学校も多くて20人ぐらい送り出します。全員に対して同じ気持ちで寂しいです。他の6年生達もこの子達と同じように言ってくれているのですが、それを聞くのも中々辛いものです。
「じゃあ、あと1年。また一緒にやろうか!」
それが私には言えません。笑顔で背中を押して応援する。それが私が出来る事です。毎年毎年乗り越える事なのですが、この時期は色々と考え悔いがないよう行動しています。子どもたちに携わる仕事は出会いと別れを絵に描いたような仕事やなと思います。でも、この別れは本当の別れではなくて思い出となって次の出会いへと私の背中を押してくれます。子どもたちの背中を押しつつ私も背中を押してもらっているのです。次の出会いというのは来年度の仕事という事になります。もう一年頑張ろうと思えるのは子どもたちとの別れが背中を押してくれているからなのです。残り1ヶ月。一分一秒を大切に子どもたちと過ごしていきたいと思います。