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苦しいこと辛いこと悲しいことが人の数だけある

職場である幼稚園にお弁当箱とサランラップ、アルミホイルをおいてあってお弁当をつくれないときに、コンビニで買ったおにぎりや、おかず、サンドイッチ等をお弁当箱につめてごまかしてました。

『小鳥とリムジン』のリムジン(理夢人)のお弁当屋さん『リムジン弁当』では、自分で用意したお弁当箱に詰めてもらえます。『リムジン弁当』が近くにあればよかったのになぁ。

いい匂いと食べものと人との出会いに恵まれれば、はじめの一歩につながる愛と勇気のお話しです。

小鳥とリムジン 小川糸

主人公の小鳥のささやかな楽しみは、仕事の帰り道に灯りのともったお弁当屋さんから漂うおいしそうなにおいをかぐこと。人と接することが得意ではない小鳥は、心惹かれつつも長らくお店のドアを開けられずにいた。
十年ほど前、家族に恵まれず、生きる術も住む場所もなかった18歳の小鳥に、病を得た自身の介護を仕事として依頼してきたのは、小鳥の父親だというコジマさんだった。病によって衰え、コミュニケーションが難しくなっていくのと反比例するように、少しずつ心が通いあうようにもなっていたが、ある日出勤すると、コジマさんは眠るように亡くなっていた。
その帰り、小鳥は初めてお弁当屋さんのドアを開ける――

ポプラ社

あら。この間読んだのは母親がアルコール依存症で、これはセックス依存症の母を持つ小鳥のお話し。幸せは人によって違うというけど、苦しいこと、辛いこと、悲しいことが人の数だけある。無傷な人なんていない。

境遇と境遇を比べて、ジャンケンでもするみたいに、自分の方が幸せだとか不幸だとか、それで満足したり、そういうこと自体がナンセンスだ(P26)

美船は、ひとりじゃない。ここに仲間がいる。己の人生と、共にたたかう戦友がいる。(P114)

小鳥

友達と自分を較べて、自分の人生をかわいそうだって感じたりする隙間がないぐらい、次の食事はなんだろう、って、いっつもそればっかり楽しみにしてたから。常に満たされていたんだよね。

P140 リムジン

小鳥とリムジン。ふたりが歩んできた道は悲惨で壮絶だ。読んでいて、げっ!となるほど。小鳥は鬱々してるけどリムジンは飄々としていて不思議なところがある。それぞれの傷口は違い、それとの付き合い方、戦い方も違う。彼らのように、匂いや食べ物、人が絆創膏になる人もいりし、ならない人もいる。

夫もわたしも、それぞれ違う傷口があったけど痛い、辛い、苦しい、せつない、傷ついたなんて言葉でいっている暇はなかった。ただ生きていただけ。

真理は全部一緒だと思う。ただ、そこへ行き着くまでの道のりっていうか、通過点が違うだけ。あとその方法もだけど。ほら、同じ山でもさ、どの登山口からどのルートで登るかで、途中に見える景色とか難易度が全然違うでしょ?

P154 リムジン

山伏でもあるリムジン。登山にたとえるのはわたしにぴったりはまる。なるほど。同じ山でも違う。同じ痛みでも、同じ苦しみでも、同じ幸せでも景色とか難易度が違う。同じ山なのに。

はじめての企画#本代サポートします でみとんさんが購入してくださった本です。

不思議なのは、この企画でそれぞれの好みで購入された本たちなのにどこかつながっているように思えるの。

Mrs.chocolate さんの『シャギー・ベイン』と『小鳥とリムジン』の母親の依存症。小川糸さんの文章によしもとばななさんのようなところがあって。凹凸って、ばななさん「あなとぼう」という表現していたような。よしもとばななさんの選書は、葵さんで。山はblancheさんだし。かすかなつながりがおもしろい。

みとんさんがお読みになった本、図書館に予約したら84番だったのでみとんさんのご好意で送っていただきました。

ありがとうございました。