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その人のせいじゃない自分のせいじゃないお互いの『脳』のせい
トラブルになったとき「あなたがわたしのこと嫌いでもわたしはあなたが好き、という言葉に「嫌いじゃない、わからないだけ」と応えました。嫌い、って言ってないのに。嫌いという言葉は人に対して使わない主義なのに。好きと嫌いでしか分類できない彼女たちがわからなかった。わからないから、会いたいと言ったら弁護士同士でと言われて、ますますわからなくなりました。話してもわからない。論点を巧みにずらして、都合の悪いことはスルーして、自分の得意な分野だけするどくついてくる。
まぁ、SNSだけの言葉のやりとりは不毛だからしょうがない。
家族でも仕事でも友だちでも「話せばわかる」と能天気なことは通用しません。話す=言葉、言い方でなく、心と脳のシステムを理解すると、お互いが無意識に持っているスキーマ(学び、経験、育ち、環境等による思考の枠組み)とバイアス(思い込み)のエラーでその人のせいじゃない、とすっきりします。
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 今井むつみ
認知科学の研究者である著者が、例題をあげわかりやすく「伝わらなさ」を展開していきます。
忘れる、覚えてない、言った言わない、やった、やらない、というトラブルが身近に起こるので人の記憶が曖昧なもので、簡単に操作される、という実験が興味深かったです。
たとえ嘘をつくつもりがなくても、誰かの発言や自分の願望、感情、そして自身のスキーマによって、記憶は影響を受け、あなたにとっての「事実」がいつの間にかつくり上げられてしまうのです。
無意識の思い込み、自分自身の思考のクセに対峙していくのは難しいけど、そうしたことがある、と知っているだけでも少し前にすすめるのではないでしょうか。
「強く言い切った者勝ち」「断言したもの勝ち」「自分の記憶が正しいと信じられた人の勝ち」ということが日々起こっているのだと思います。
ああ、これだ。SNSのトラブル、炎上。自信満々に「こうだった!」と言う人に押し切られ、大多数の人がリツイートしてしまう。悪意があってもなくっても。
本書に描かれていることを理解しても、それを実践するのは難しい。わかりあえない、話してもむだ、会わなくってもいい、と相手のことを考えずスルーするのは簡単でラクだけど、こんな考えもある、そんな捉え方もある、と相手の考えを知り、相手の立場で考える力を培うことができたら、いいコミュニケーションができるのではないだろうか。
チョコさんもこの本の感想文を書いてくださいました。
本と本、感想文と感想文で会話ができているような楽しさを味わいました。
ありがとうございました。