私をハワイに連れていって
結婚して最大の我儘で、お願いでした。ホノルルはひとりで行かせてもらい42.195kmを走りましたが、行きたいのはハワイ島のコナです。走るのは夫です。走るだけでない、3.8km泳いで、180kmの自転車を漕いで、42.195kmのマラソンというトライアスロンです。
世界各国でアイアンマンレースというトライアスロンが開催されています。その予選で上位入賞しなければ、コナのスロット(=出場権)を獲得できません。アイアンマン世界選手権(World Championship)の開催地であるコナはトライアスリートの聖地で、1度は行ってみたい、参加したいという憧れの場所です。
ふたりでトライアスロンをはじめて20年になります。
夫は54歳で、泳げないところからトライアスロンをはじめました。何度もスイムリタイヤで、漁船にひきあげられてました。
夫が66歳のときにチャンスが訪れました。5歳刻みの年代別(エイジグループ)で、60-64 65-69 70-74というカテゴリーなので、元気で健康で長い時間身体を動かし続けられればいつかはチャンスがあります。
スウェーデンで、3位に入賞しハワイのスロットを得ることができたのです。夫の名前が呼ばれたとき、思わずキャーッ!!と叫び涙が出てきてしまいました。日本人はいなくって、ただでさえ目立つのに。
2014年のはじめてのコナでは、夫は完走することができませんでした。スイムに時間がかかり、バイクの180kmはどうにかフィニッシュしたけど、そこで制限時間を7分タイムオーバして、走らせてもらえませんでした。夫を待つ間のあの心細さ、苦しさ、ずっと泣いていたのもいい思い出です。
2016年の68歳、コペンハーゲンで再びハワイのスロットを得ることができ、その年の10月のハワイは、完走することができました。真っ暗なランコースで夫を見つけたときは、うれしかった。
2018年夫が70歳の上海で、夫とわたしも優勝することができ翌年のハワイにふたりで参加することができました。
わたしは選手としてはじめてのハワイで、夫婦ふたりで参加できたことがうれしく、レース中もバイクで声をかけあったり、ランで会うこことができ、ふたり一緒のゴールがしあわせでした。
いつかは走りたいと憧れていたコナ。もっと先のことだと思っていた。夫と一緒に出れるとは思ってなかった。夫と一緒のコナ、たぶん一生に一度のことだ。大きなプレゼント。ありがとうございます。
夫は74歳になり、長い距離のトライアスロンは難しくなってきてます。今度はわたしが、夫をハワイに連れていきたい。あのハラハラする心細い応援を夫にもあじ合わせてあげたい。夫は選手でなく応援で。
わたしが選手としてあなたをハワイに連れていきたい
いきたい、と強く願いトライアスロンを続けていれば いつか
はくると信じてます。