「自分のトリセツ」をつくったら、断然、生きやすくなりました/前編
若いときの、何がつらかったかって。
「分からないことも、分からない」ってことが、ひとつありました。
分からな過ぎて、分かっていないことにも気づいていないし、分かっているつもりで生きてもいるし……
外側の世界のことも分からなけりゃ、自分のことなどもっと分からない。
私は、今よりもずっと自己肯定感が低く、不安がりで自信がなく、そのくせ虚勢を張って、強がったりしながら、どうにかこうにか生きてきました。
周りからはキャピキャピはしゃいで楽しそうに見えたかもしれませんが、心の中は「確固たる自分」みたいなものが希薄で、いつもぐらぐらと不安定、いろいろなことが怖く、未来を憂いていました。
そして「自分」という存在について「説明せよ」と言われても、いつも困ってしまう。就活のエントリーシートにあれこれ書いたとて、やっぱり「私」は曖昧であり、ぼやけていました。
そんな、若い頃の私みたいな人がいたら、シェアしたい。
「自分の取扱説明書を作ると、生きやすくなるよ」ってことを。
そもそも私たちは、小さな頃から学校に通い、時間にするとものすごい量の勉強をしながら育ってきました。
しかし、誰も教えてはくれなかった。
「私って、どういう人間で、どういう風に生きると、幸福なのかな」ってことを。
そういうことは自分で考えなさい、自分のことなんだから。
これが、暗黙の了解でした。
イヤーーー。
考えることは自分でするとしても、その方法論くらいは、大人が教えてくれたってよかったじゃんと、私は思っています。
もちろん、今の時代はネットで検索すりゃ、情報はなんだって手に入るけども。でも「何を知るべきなのかを知らない」のが子供なんだからさ……ぶつぶつ。
そして大人になった私は、知っています。
実は多くの大人が、その方法論を持っていないし、持っていたとしても言葉ではうまく説明できないことを。
だからこの記事では、「自分のトリセツづくり」を現時点の私が認識している範囲で、言語化してみたいと思います。
もちろん私自身もまだ途上であり、満足に説明できるか分かりませんが、若い人のなんらかの参考になったら嬉しいです。
前置きが長くなりましたが、
まずはじめになぜ、トリセツを作るかと言えば「自分が幸福に生きるため」。
目的はこれ、ただ一点に尽きます。
そして、トリセツを作る際の「全体イメージ」を一言でお伝えしますと、
「自分を彫刻し、粘土で埋める」
なんとなく、この感じを意識しながら読んでみてくださいね。
(長文になりますので、時間があるときにどうぞ)
*****
『自分のトリセツ』をつくるためのヒント①
【①五感をベースに考えてみる】
まずは、五感レベルの「好き・嫌い」「快・不快」「気持ちいい・気持ち悪い」をはっきりさせておくこと。
おそらくあなたの感覚やカラダは、あなたの快不快を、自然と「知っている」けれども、それを自分の頭でも「そうなんだ」と自覚しておくと、一層生きやすくなります。
とても当たり前のことですが、今日一日を「幸福」に過ごせれば、それを365日繰り返したとき、「楽しかった幸福な一年」があなたの過去として紡がれます。
だからこそ、まずは「今日一日を楽しく過ごせる自分」を作り出すために、日常で、自分が何をして、何をしないでいるのが幸福なのか、細かく知っておく必要があるのです。若いほどに経験の量が限られているため、自覚できないものです。
例えば、外出の際、私たちは服装を選びます。
私は若い頃、どんなファッションをしたら良いのか分からず、人の服装を見て「周りから浮かないような無難な服装」を選んだり、とりあえず「流行の服」を買ったりしたことがありました。
選んだファッションは、「いいな」と思って、そのときは満足したつもりになって着ていた服です。
しかし、ある時、突如思うのです。
「あ、私、実は自分の服装にちっとも満足していない、なんか全然私らしくない」
そう自覚できたのが、まさかの30歳を超えてからです(笑)
その気づけなさに、我ながら呆れました。
なぜ、こんなに分からないまま30年以上も生きてきたのかと申しますと、
「自分がどんな服装をしたら、私らしくて、気分がよく、満足するか」という明確な指針がなかったからです。
私の服装選びは、「自分らしさ」よりも、まず「自分の体形の欠点をカバーするにはどうしたらいいか」という視点でなされていました。
ファッション誌でも、よくそんな特集が組まれていましたっけ。
「私らしく、満足する服装」という視点がすっぽり抜け落ちており、自分のトリセツの「ファッション編」のページは、ほぼ真っ白。
どんなファッションが素敵と感じ、それはなぜなのか。
そのファッションをすることで、どんな満足を得て、どんな自分らしさを表現するのか。
それよりも「どうやったら、脚の短さをごまかせるか」などに血道をあげました(笑)
だからか、選ぶ服は限られたものになり、それなのにその時々によってテイストが変わり、ブレブレでした。
「なんか方向性が定まっていないよな」という感じ・違和感がありながら、そのことに気づけなかった若き日の自分。
たかがファッション。
されどファッション。
私たちは、ファッションひとつから、他者を「こんな人かな」と想像しますし、同時に自分も「こんな人なのかな」とイメージされています。
「人からどう見られるか」は、自分で決められることではありませんが、なるべく自分という人間性と、そのファッション性が、ズレないように考えておく。
すると他者から誤解されることが少なくなり、「自分を適切に表現できている感覚」が実現され、人生の満足度は高まります。
例えば、「花柄・レース」の甘い服装をしながら、心では「私は本当はクールな女ですから!!」と思っていても、人からは誤解される可能性があります。
巷では、婚活中は「異性にはこういう服装がウケる」などと、服装を「モテ目的」で選び、合コンなどに臨む話などを耳にしますが、長い目で見て、絶対にやめた方がいいと、私は思います。
それよりも「あなたらしさ」をまっすぐ追及すれば、絶対にそれを「いいな」と思ってくれる人がいる。そっちの方が、正確に「あなたという人間性」を理解してもらえますし、近道だと私は思う。
とどのつまり、「自分はどんな自分でありたいのか」。
これを明確化しないことには、服選びひとつとっても、満足への道は遠いのですよね。
自分の満足を自分で把握していくことは、「トリセツ」の根幹にかかわる部分ですので、たかがファッションの話で大げさになりましたが、ひとつの例として参考にしてみてください。
***
長くなったついでに、もうひとつ、卑近な例を。
ずっと昔の話ですが、私は、甘いモノが好きな夫に問うたことがあります。
「甘いお菓子やパンはいろいろあるけど、どんな食感が好き?」と。
夫が「バター味」を好きなのは知っていますが、私一人で買い物に出かけ、夫の好きなものを選ぶ際、それらが売り切れてると困るんですよね。
別の商品を選ぶ際、
「何を買ったら夫が満足するのか、分からん」。
それを解消するための上記の質問「どんな食感が好き?」でした。
夫は私の質問に、少し考えたあと
「しっとり」
と答えました(笑)
バター + しっとり ね(笑)
はいはいはい、絶対美味しい、太るヤツだよね(笑)
これは夫に対してでしたが、同じように自分に対しても「これ好きでしょ、こうすると満足なの知ってるよ」って、自分自身に言ってあげるためには、シンプルに自分の五感を研ぎ澄ませておくことと、それを自分で自覚しているかどうかが肝心。
例えば「卵が好き」でも「卵のどういう料理法が一番好きか、どういう硬さ・味付けが最も好きか」とか、コーヒーの味ひとつとっても、ドンピシャで好みの味や銘柄が分かっている方が、幸福度はあがりますよね。
こんな風に、自分の好みを明確化してゆき、頭の中の『自分のトリセツ』をひとつずつ増やしていきます。多ければ多いほど、自覚できていればいるほど、生きやすくなります。
朝起きてから眠るまでのあらゆる選択を、ひとつずつ「快適化」していくだけで、日常はグレードアップします。
推し活の合間にでも、どうぞあなたオリジナルの「心地よさ」「満足」の追求に貪欲になってあげてください。
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そしてふたつ目は、上に書いた「彫刻」について。
……というか3つ書きたいのに、ひとつめでこんなに長くなってしまった。
ここまで根気よく、おつきあいいただいたあなた、どうもありがとう。
続きはまた後日。
よかったらまた遊びにきてください。
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