これがリアルな 男と女の大ゲンカでござい
数日前、夫と久しぶりにケンカをした。
正味3~4時間ほどの、どなり合いのケンカである。
ケンカの発端は、そう。
「夫のお母様たちが、我が家にいらっしゃる」という、この世で最も恐ろしい事件、予定に端を発する。
詳しい経緯は、この記事をどうぞ⤵
お母様たちがいらっしゃる「Xデー」は、1週間後。
重たい腰を上げ、少しずつ掃除する日々がはじまっていた。
しかしその日、夫が「旅行の日にちが、まだ確定できない」などと言ってきた。
(はぁ……まだそんなこと言ってるの?)
私は、ため息をついた。
旅行の予定日の天気予報が雨となっており、「もう一週間延ばそうか」との案が浮上。日程A案と日程B案で、行ったり来たりしているらしい。
夫自身も、複数のウェザーニュースで確認したりしている。
せっかくの旅行、そりゃあ晴れた方がいいに決まっている。
だが、日程を早く確定しておくれよ。
掃除や買い物の予定も狂ってくるじゃないか。
私「天気予報なんて日ごとに変わるんだから、気にしてたらキリないよ。それに、気にすればするほど、雨になる確率はあがる気がする」
私は好き勝手な持論を展開し、不機嫌さをあらわにした。
***
そのような、ちょっとした前哨戦を経たのち、しばらくして、私はその日のミッション『ガスレンジまわり』の掃除を始めていた。
超絶面倒くさいが、年末の大掃除を前倒ししたと思って、キレイにしよう……キレイになれば、気持ちも晴れるというもの。
そんな風に、気を取り直してゴシゴシしていたら、夫が私に声を掛けてきた。
「なんで掃除なんてしてるの?」
「……………」
私の心はふたたび曇った。
夫は、「鈍感なタイプ」では、決してない。
わたしは、夫の「なんで」が、単純な「Why?」ではないのは、分かっていた。
しかし、そのままの意味として受け取ったフリをして、
「……なんでって……そりゃ、お母さんたちが来るからだよ」
と応えた。
すると、夫がわたしに言い放った。
「親が来ることでストレスを溜めて不機嫌になるくらいなら、俺が掃除するから、やらなくていい。そのことをストレスに感じているのは、はっきり言って、あなた自身の問題だろう? そんなふうに不機嫌になって、俺との関係性にまで波及させるのはやめてくれ。とにかく掃除はすべて俺がやるから、やらなくていい」
きいいいいいいいっ!!
ゆってくれるじゃないのっ!
これが私の好きになった人である。
えーと、わたしは夫のどこを好きになったんだっけ……えーとえーと
私たちは、男女のジェンダーの差異について、日頃より、おしゃべりを重ねてきた。
互いを理解し合うために欠かせないプロセスだと思うからこそ、私は男の夫にあれこれと質問し、夫も、女である私の考え方を聞きながら、理解を示してくれていた
……と思っていた。
だが、とんだ勘違いだったようだな!
ゴングは鳴った。
来客を
「気にしてストレスに思う女」
VS
「気にするなと言ってくる男」
カーン
私は声を張り上げた。
「日頃、ジェンダーの話を山ほどしてきたけれど、あなたは、女性側の気持ちなど、少しも分かっていない!! 家の中に他者がやってくる、それも夫の家族がやってくる、その事態に、女がどれだけ巨大なストレスを抱えるのか、あなたは口では分かったようなことを言いながら、まったく分かっていない!! 感覚が分からないのに、ストレスを抱えるな、なんて簡単に言わないでくれるっ!?」
夫は夫で、「私の来客のストレス」がまるで絶対的・普遍的なもので、未来永劫変えられないとばかりに主張する「私のかたくなさはおかしい!!」と言及してくる。
確かに、来客を「気にしていない側」にとって、「気にする側」は、滑稽にさえうつることだろう。
私 「あなただって、男のジェンダーに関することで、今すぐそれを手放せ、アップデートしろって言われて、できるの? できないでしょ! もちろん、わたしが今、ストレスを感じているのは、100%私自身の問題だよ。お母さんが家に来る程度のことで、女のわたしが、勝手にストレスを抱えている、その通りだよ!! だから、それはそれとして、気を取り直して少しずつ掃除をはじめていたの! 『なんで掃除なんかしてるんだ』なんて言わずに、放っておいてくれたらいいじゃない!!」
私は泣いていた。(すぐ泣く)
夫「親が家にくる、その程度のことで、そこまでストレスを溜めるなら、もう家に来てもらうことは断る!」
私「だから、『その程度のことって思えないのが、オンナだ 』と何度説明したらわかるの! 断ってくれなんて、言ってない!」
それからしばらく、ふたりでワーワー言い合ったのだが、途中でわたしは、ふと思いついて、前回書いたnoteの記事を夫に読ませることにした。
なぜかと言えば、私は「話すのがへたくそ」との自覚があり、自分の心模様をうまく伝えるための言葉が、はなし言葉のスピードでは、つねに消化不良だと感じているからである。
……にしても、例の記事は……
……書いてある内容が内容である(笑)
「……ねえ、ひどいことを書いてあるけど、気を悪くしないでね」
夫に念を押し、読んでもらった。
(こわ……)
途中、私の率直すぎる文章に、夫が悶絶し、叫んだ。
「こんなんじゃもう、絶対にお袋たちを家には呼べないよ!」
私が、「お母さんの来訪」を、「バンジージャンプ」と同程度に嫌がっているという事実に、夫は驚いたはずである(笑)
しかし、すぐにまた続きを読む夫。
その後は、だんだんと夫の様子が軟化してゆくのを感じた。
決して、夫の家族をないがしろにしたいわけじゃない。
そして私だって、女としてのとらわれを、自分なりに解放していきたいと思っている。
そういう気持ちを、すこしでも文面から読み取ってもらえただろうか。
夫の怒りがトーンダウンしてゆくのを、私は後ろでじっと見守った。
ふたりともが落ち着くと、夫がわたしの記事の中身に言及してきた。
夫が一番食いついたのは、
女にとって「家の中=自分」
という、私の独断で勝手に作ったフレーズであった(笑)
だが、そう言われて、「確かに」と思う女性はいるはずなのだ(きっと)
しかし夫は、なぜ「家の中=自分」なんだ、「そんなわきゃねーだろ!!」というわけだ。
そうだろう、そうだろう
男の人には理解しがたい感覚であろう(笑)
女のわたしにだって、これが生得的な「女」から来るのか、文化的に刷り込まれた「ジェンダー」からくるのか、分からない。
分からなくても、客が来るとなれば、大慌てで部屋を片づけるのは、きまって女である。
さらには「ステキな暮らし」「ステキなインテリア」の特集が組まれているのは、女性誌が圧倒的多数を占める。
家も自分も、できれば、美しく保ちたい。いくつになっても、自分の見た目を気にするように、汚い部屋を人様に見られれば、自分の価値まで貶められたように感じる、女とは、そんな悲しい生き物なのである。
まあ、年がら年中、ほぼスッピンで近所をうろついている私が言うのもなんだが……スッピンを多少なりとも気にしている時点で、わたしは立派にオンナなのである。
***
昼ごはんを食べぬままの怒鳴り合いに、私たちは腹が減っていた。
「ラーメンでも食いにいくか」
夫の言葉にさくっと着替え、近所のラーメン屋に出かけて行った。
ラーメン屋の店主も、まさか私たち夫婦が、少し前まで怒鳴り合っていたとは、想像もしないであろう。
疲れ果てた脳みそに、あつあつのスープが染みわたる。
夫が、自分の煮卵の片割れを、ころんと私の器に乗せてくれる。
問題は何ひとつ解決していない……だがとりあえず今は、何もかも忘れてエネルギーをチャージするとしよう……。
そんな夕暮れ時のことでした。おしまい
…………って、わたしは何の記事を書いているのだろう(笑)
この記事のどこが『若い頃に知りたかった』なんだ!!
……と、自ら突っ込んでおきます。
夫婦ケンカの記事を書いておきながら、パートナーシップを良好に保つための記事も、大まじめに書いています。
前半だけでも、よかったら読んでみてください⤵⤵