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芸人時代のファンに路地裏に連れて行かれ見せられたモノ

いつものように夜20時くらいに
舞台が終わり
1人で帰ろうと裏口の扉を開ける

そこには4〜5人くらいの
ファンの女の子が色んな若手芸人の
出待ちをしてる。

通り過ぎて帰ろうとしたら1人の女の子から
声をかけられた。

「平松さん!」※僕の名前

彼女は何がそんなに良いのか分からないが
売れてない僕らのライブに
毎回通って出待ちをしてくれる。

お世辞にも綺麗な子ではないが
モテた事もない僕からすると悪い気もしない。

むしろ、わざと冷たい感じで接して
モテてる感を出す典型的な若手芸人病。

声を掛けられて
今回のネタはこういう所が面白かったや、
最近の彼女の私生活の話や色々聞かされた。

最後にいつも通り写真を撮って
帰ろうかとしたら
彼女が僕に真剣な顔で話してきた。

「ちょっと話したい事あるんで
 そこの路地まで来てもらっていいですか?」

僕は直感的にヤバいと感じた。

こういうのでエッチな事を求められ
手を出したら
怖いお兄さんがやってくる。

合意でエッチをしたのに
レイプされた!など吉本に言われて
クビにされる。

こんなケースで芸人仲間が消えていったのを
何人も見てきた。

大きな夢を持って
田舎から東京に出てきて
これから売れて沢山の人を笑わせて
みんなを幸せにするんだ。

僕はそう誓ったのに
こんな所で躓くなんてバカらしい。



そして、僕は付いて行った。

ノコノコ付いて行った。

大きな夢より目の前のエッチがしたかった。

沢山の人の笑顔より
今晩の彼女のエロ顔が見たかった。

そして、路地に2人で入って
彼女は自分の足元に手を伸ばす。

お、スカートめくって
パンツでも見せてくれるのか?

そんなワクワクをしながら
彼女の手がスカートをめくるのを待つ。


しかし、彼女は自分の靴を脱ぎ
靴下も脱ぎ出した。

すると、彼女の
右足首ら辺に包帯が巻かれていた。

ん?包帯?

頭の中の色んなエロプレイの辞書を引いたが
あいにく「足首包帯プレイ」
は記されていなかった。

半分混乱状態になってると
彼女はその包帯もゆっくり外し始める。

包帯が全て取れ
そこには横線の傷が無数に入った
彼女の足首があった。


半分混乱していた僕は
それをみて満杯で混乱した。

彼女は笑顔で僕にいう

「この傷はね、平松さんのライブを観に行った夜にライブの事を思い出しながらカッターで一本ずつ切ってるの。ほら見て今日で19本目」


僕は思った。
せめて20本目の時に報告しろよ。

なぜ切りの悪い19本目の時に
カミングアウトしようと思ったんだ。

なぜあと一本まで待てなかった。
爪の甘い奴だ。

そんな事を考えてる時に
彼女が僕に追撃してくる

「ねぇ、どう思う?」

僕は答えた。

「なんで言うねん」


クソ野郎すぎる。
普通だったら
「大丈夫?」とか「身体大事にして」

などが相場であろう。


そんな相手の事より
知らされて反応が困ったこの状況を
イラっとしたんだよ。
ただこれだけの思いしかない一言

「なんで言うねん」

クソ野郎だ。

彼女は黙ったままで
そのまま振り返って走って行った。

心配して欲しかったんだろう。
20本目を入れるまで待てないくらい
早く僕に心配して欲しかったのであろう。
そんな気持ちで勇気を振り絞って見せたのに

「なんで言うねん」

ごめんよ。
今になって謝りたい。


当時の僕はそのまま恐怖を
感じながら真っ直ぐ家に帰り

一瞬でもエッチできるかもしれなかった
思いを込めてティシュケースに手を伸ばした。



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