NFS FES.九州 #萌え断米粉サンドウィッチ 作成レポート
私たち福岡キャリナリー農業・食テクノロジー専門学校製菓・製パン科
製パンコースの学生16名は11月にららぽーと福岡で行われたイベント、【NIPPON FOOD SHIFT FES.九州】で九州7県の食材を使った
“萌え断米粉サンドウィッチ”の作成レポートを発表しました。
(萌え断とは昨今SNSなどで流行している、断面が美しく“萌え”な気分に
なれる料理などの事です)
九州各県の農家さんへの収穫体験に始まり、メニューの考案、試作、
レポートの作成など、“萌え断米粉サンドウィッチ”の完成までを記事に
まとめたので、是非最後までご覧下さい。
まず私たちは九州7県の農家さんをグループに分かれて訪ね、
実際にサンドウィッチに使う食材の収穫体験を行いました。
そこでは日頃スーパーなどで目にしている野菜や果物、食肉などが
作られている現場を生で体験させて頂き、農家を経営する大変さや、
一つ一つの野菜やお肉が出来るまでの拘りや工夫など、普段の生活では
気づけないことを沢山学びました。
その中でも今回は鹿児島県と長崎県の農家訪問についてお伝えします。
鹿児島県では鹿児島県農協青壮年組織協議会 委員長である、
前原さんの畑を訪ねました。
訪問時の9月頃はオクラをメインに出荷されていましたが、季節に合わせて様々な野菜を作られています。
体験時に前原さんの作るオクラを生で食べさせてもらったのですが、
新鮮さゆえの粘りと歯ごたえがあり、とても美味しかったです。
「良い物を心を込めて作っているので、変に売値を下げる事はしない」
という前原さんの言葉に、生産者としてプライドを持って作物を育てられている強い想いを感じました。
また、普段の働き方を伺ったのですが、シフト制で週休2日で休めるようにしているとお聞きしました。何となく、農業=休みがない。というイメージがあったので、とてもびっくりしました。
そして、長崎県では長崎県農協青年部協議会 委員長である、
宮崎さんの元を訪ねました。
今回は宮崎さんの元でトマトができるまでの一連の流れを教えていただき
ました。
トマトは種まき、鉢入れ、定植、収穫の流れで生産されており、種まき後に生えてくる5本の苗から、栄養が行き届くように2本に選別を行い、
鉢に入れ替えてからは、水を限界まで与えないようにする事でトマトの糖度を高めているとの事でした。
そうして大きく育ったトマトが収穫されると、全てがそのままスーパーに
並ぶわけではなく、近くの選別場で形や糖度を確認し、選別された後、
ようやくスーパーなどに出荷されます。
糖度にこだわり工夫されている事、機械を使った選別方法など、ここでも
普段の学校の授業では体験できない、現場のリアルを知る事が出来ました。
そして各県の訪問を終えた私たちは、いよいよ萌え断米粉サンドウィッチの試作に取り掛かりました。各県を訪問して集まった食材が沢山あった為、
2グループに分かれてサンドウィッチを作る事にしました。
それぞれのチームの第一回目の試作ではメイン食材の肉にこだわり過ぎて、分厚くなってしまい萌える断面には程遠い結果に・・。
そこで2回目は野菜がメインになる様に作りました。
しかし今度は盛り付けのバランスが悪く、見た目がチグハグに・・。
改良を重ね、満を持して挑んだ3回目の試作では素材と素材の繋ぎの部分に使う食材をよく考え、カットの仕方や重ねる順番を変える事で、綺麗に
盛り付ける事に成功しました!
そうして出来上がった1つ目のサンドウィッチが、
こちらのプルコギサンドです。
沢山の野菜をカラフルに使いながら、お肉は少量でもインパクトと味を
残せるように、韓国の定番料理であるプルコギ風の濃い味付けにしました。
全体の見た目は丸いイメージで可愛らしさを感じれるサンドウィッチに
仕上がりました!
もう一方のチームは前原さんのオクラ、宮崎さんのトマトなどをふんだんに使った、トマトすき焼きサンドを作りました。
トマト農家の宮崎さんに伺ったトマトのおすすめの調理法である、
“トマトすき焼き”をサンドイッチに取り入れ、
その肉汁がパンに染み込まないようにきゅうりやパプリカなどを並べ、
さらに切った断面が星形に見えるオクラも並べる事で、綺麗な四角形の
サンドウィッチが出来上がりました。
そしていよいよ迎えた、11月のイベント本番の日・・・
初めて大きなステージの上に立つという事で、とてもとても緊張しましたが、無事に(?)発表を終える事が出来ました!!
また、イベント会場では私たちが伺った農家さんの作った野菜や乳製品の数々を「九州7県マルシェ」と銘打って販売を行い、お客様には私たちの
現地での体験談などを交えながら、農家さんの想いの詰まった野菜たちを
沢山販売する事が出来ました!
私たちが今回の取り組みを通して気付けた事が2つあります。
萌え断米粉サンドウィッチを作る上で、見た目を重視するあまり、
形を整える為に余分にカットしてしまい、沢山のロスが出てしまいました。これまでの自分達であれば、もしかしたらあまり気にしなかった事かも
しれませんが、今回は自分達が見てきた農家さんの食材という事もあり、
極力捨てずに全て使いきりたいと考えるようになりました。
(もちろん切れ端はこの後みんなで美味しく頂きました♪)
もう一つはやはりこだわりを持った食材を使うと、それなりのコストが
かかってしまうという点です。
土地代やビニールハウスを建てるお金、肥料や燃料の価格高騰などの
影響・・・1つの野菜を作る為には色々なコストがかかっていて、
生産者の方々も、出来るだけ手に取りやすい価格で消費者の元へ届けたい!
という想いがありながらも、味や形に妥協は出来ない。
ですが、そうやって農家の皆さんが本気で作った食材たちは、やっぱり
とっても美味しい!
そんなこだわりを持った食材たちをこれからも作ってもらう為には、
私たち消費者が生産者の思いを知る事が大事だと思いました。
野菜やお肉に限った話ではないですが、国内外の価格競争が激化している
最中、波に押されて安い価格で売るのではなく、価値のあるものはそれに
見合う金額で販売する事も、一方では大事なのだと気付かされました。
これから私達はプロのパン職人として働く事になります。
今回学んだ事を忘れないことはもちろん、これからも様々な事柄に対して、少し立ち止まって考えてみる事を意識し、多くの人を喜ばせるパン職人に
なれるように頑張っていきたいです。
最後になりましたが、今回お世話になった農家の皆様、関係者の皆様ありがとうございました。