キャット・ホームズさんと学ぶインクルーシブデザイン⑦
キャット・ホームズ(Kat Holmes)さん著書『MISMATCH 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』を教科書にインクルーシブデザインについてまとめていく連載です。自分用のメモでしたが、共に学び、共に考え、共に行動できる人に向けて連載という形で公開していくことにしました。
標準的な人間
標準とは?
「ベルカーブ」(ガウス分布)
19世紀 アドルフ・ケイトレー
数学的な手法を使って人間社会の不確実性を解明
人体を測定して、統計モデルを作った
データからベルカーブを描くことを発見
完全な平均値を物差しに比較
優生学とその能力・人種・人間の階級の優位性の主張はケイトレーの完全な平均人の偶像化から生まれた
「80:20の法則」(バレートの法則)
ヴィルフレド・バレート
8割の問題は2割の原因から発生するという考え方
多くのデザインチームは「80:20の法則」と「ベルカーブ」を融合した考え方を採用している
平均人に合うソリューションをデザインすれば大多数の人々の役に立つだろうということ
それ以外の2割は先送りか無視しても良いカテゴリーになる
平均人のためのデザインは誰の役にも立たない
1940年代の戦闘機
平均的なパイロットに合うように設計し、すべて所定の位置に固定
↓
墜落事故が多発
誰にでも合うように設計したが、誰にも合わない事実が発覚
↓
個人にフィットするように調整可能にした=イノベーション
裏付けられたことは、平均人のためにデザインすると誰の役にも立たないということだった
標準的な人間という考え方
全ての人は、生涯を通して変化する
私たちの心と身体は予測できない
標準的なユーザーもいなければ、極端なユーザーもいない
ベルカーブの端に位置する人間などない
数字には限界があり、人間の個性は説明できない
インクルージョンを実現するにはデザインするものを受け取る対象についての思い込みを変えなければならない
ペルソナ・スペクトル
ひとりのために解決したものを大勢へと拡張するというインクルーシブデザインの手法
その領域にいる人々がなぜそのソリューションを求めているかを理解するためにある
何が動機になって人がそのソリューションを使うのか理解する
動機は純粋に実用的なものであることは滅多にない
人間として持つ普遍的なニーズが動機になっている
一時的もしくは状況によって排除される人々にデザインを拡張する手がかりは彼らにとって共通する動機である
使いたがっているにもかかわらず一時的か状況によって使えなくなっているのが誰なのかが問えば良い
ペルソナ・スペクタルは既存のソリューションのインクルージョンを向上させる
一見ニッチに見えるソリューションを幅広い人々に拡張し、将来も使えそうなデザインにすることができる
社会的なインクルージョンを目指すデザインは、デザインを取り巻く広い文化的な背景を考慮する
シックデータ
人間の行動をその背景を説明するために収集
人がどのように感じ考え、反応するかに加え、その根底にある動機を理解する方法
シックデータを使えば本当に起きていることに焦点を合わせた理解が可能になる
また、シックデータによってビックデータのパターンが存在する根本的な理由を特定できる
ビックデータとシックデータはともに人間の多様性を再びデザインのプロセスに取り入れるための特別かつ重要な機会を与えてくれる
時間をかけて人間の深さと複雑さを特定することでビックデータの欠点を補うのに役立つ
共感
「心を込めて推論すること」であり
「全体の状況を感じること」
世界的なソリューションを作るにはデザイナーはこの両方を同等にこなすこと
まとめ
この世界には「普通」という概念があります。でも「普通」とはどのようなものでしょうか?
この章であるように、平均的な人・標準的な人間など存在しないと言っています。私たちの「普通」も存在しないものです。
でも、その存在しないものを点として、思考したり、作ることは、短期的にも長期的にも誰の役に実は立っていないのであれば、今目の前にあるものもサービスも誰のためのものなのでしょうか。
「普通」や「平均」が存在しない多様なわたしたちは、インクルーシブな存在であり、私が私であるために多様な中から選択でき、調整できるものが必要です。そのような前提を持つことが大切だと感じます。
また、ペルソナ・スペクタルを用いてシビックデータを扱う仕事ができたら良いなと思いました。私の学びや取り組みがどこにつながるのかが見えてきたように思います。
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